ジャカルタで「Telkomsel」と「XL」の通信速度を比べちゃった海外プリペイドSIM導入マニュアル番外編(3/3 ページ)

» 2011年08月16日 17時21分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

データ通信するならTelkomselとXLどちらがいいか試してみた

 インドネシアで使うプリペイドSIMカードはTelkomselとXLが無難、とはいったものの、どちらを選ぶかとなると難しい。Telkomselは、インドネシアでシェアと規模が最も大きい。インドネシアに暮らす、または、仕事や観光で訪れる日本人は、どこでも使えることを重視してTelkomselを選ぶケースが多い。一方、XLは後発の移動通信事業者で、インドネシアに詳しい日本人からは「後発だけに、Telkomselとの違いを出すためにデータ通信サービスに力を入れている」と評価されている。

 ジャカルタで会ったベテランの自作PCユーザーで、かつ、同国でも知られるオーバークロッカーに「ジャカルタでインターネット接続に限定して使う場合、プリペイドSIMカードはTelkomselとXLのどちらがいいだろう」と質問したところ、彼は即座に「XLを勧める」と答えた。その理由として挙げたのが、通信速度の安定性とデータ通信プランの安さだ。

 有効期間だけ考えれば、4泊5日程度滞在する旅行者は、有効期間が1日間のプランを連日更新することになる。

事業者 料金 通信速度 容量制限
Telkomsel 5000ルピア 384Kbpsp 30Mバイト
Telkomsel 1万ルピア (たぶん)512Kbps 60Mバイト
XL 2500ルピア 512Kbps 25Mバイト
XL 5000ルピア 512Kbps 50Mバイト

 こうして並べると、XLが提供する5000ルピアのプランを選ぶのが最も望ましいように思える。仮に、Telkomselの1万ルピアプランで通信速度が1Mbpsだった場合、通信速度を重視するユーザーで、日本円で1日当たり約50円高いコストを容認できるなら、こちらが適しているだろう。ただ、どちらにしても、容量制限が1日50Mバイト、もしくは60Mバイトというところに不安を感じるユーザーは少なくないと思う。PCを接続したデータ通信を考えているなら確実に少ない。

 この場合、Telkomselの5万ルピアプランで300Mバイトか、両社ともに有効期間30日間で1Gバイト以上のプランを選ぶことになる。Telkomselの有効期間14日間のプランと有効期間30日間のプランで価格は5万ルピア、日本円にして約500円しか違わない。それで、容量上限は5万ルピアで300Mバイト、10万ルピアで1Gバイトなので、ここは、有効期間30日間のプランを選べばいいだろう。

 有効期間30日間のプランをTelkomselとXLで比較すると、料金はほとんど変わらず、通信速度でTelkomselが有利になる。ただ、通信速度の1Mbpsが意味のある値かどうかが問題だ。インドネシア、特にジャカルタなどの都市部でプリペイドSIMカードを使ったデータ通信を利用するユーザーの多くは「とにかく重い!遅い!」という。実際に使ってみてもそのことは体感できた。

 そこで、限られた時間ではあったが、TelkomselのFlash Unlimitedの1万ルピアプラン(通信速度は当時で384Kbps)と、XLの9万9000ルピアプラン(通信速度は当時で512Kbps)を使って、金曜日夕方の大規模ショッピングモールのほぼ中央でSpeedTest.net for androidを測定するとともに、土曜日夜のジャカルタ スカルノ・ハッタ国際空港でもPCに接続した状態でSPEED 2.5 (speed.rbbtoday.com)の測定を行った。

Speedtest.net for Android
プリペイドSIMカード Download Upload Ping
Flash Unlimited(384Kbps) 349Kbps 273Kbps 473ms
XL(512Kbps) 208Kbps 72Kbps 257ms

SPEED 2.5(speed.rbbtoday.com)
プリペイドSIMカード 下り(ISP→PC) 上り(PC→ISP)
Flash Unlimited(384Kbps)(1回目) 275Kbps 170Kbps
Flash Unlimited(384Kbps)(2回目) 40Kbps 86Kbps
Flash Unlimited(384Kbps)(3回目) 178Kbps 74Kbps
Flash Unlimited(384Kbps)(4回目) 111Kbps 79Kbps
Flash Unlimited(384Kbps)(5回目) 159Kbps 105Kbps
XL(512Kbps)(1回目) 857Kbps 60Kbps
XL(512Kbps)(2回目) 542Kbps 61Kbps
XL(512Kbps)(3回目) 1130Kbps 57Kbps
XL(512Kbps)(4回目) 1250Kbps 55Kbps
XL(512Kbps)(5回目) 1080Kbps 59Kbps

 ショッピングモールで行った同一ポイント同一時間におけるSpeedtest.netの測定は1パターンしか行っていないが、ショッピングモール内で時間と場所を変えて複数回行ったSpeedtest.netでも、Telkomsel、XLともに同程度の値となって、明らかに異なる通信速度とはならなかった。XLでは、公称値512Kbpsの速度を発揮した場面はなく、さらに、アップロードの速度はTelkomselを下回る。国際空港で行った夜の測定では、ダウンロードにおいて、XLが圧倒的に早い一方でアップロードの速度はTelkomselが上回っている。

 以上の測定結果や、実際に撮影画像のアップロードやダウンロードを試してみた体感的に、ジャカルタで高速通信速度が生きてくる局面は、かなり限られるように思える。そういう意味で、ジャカルタでプリペイドSIMカードを購入するなら、料金と容量制限を重視して選ぶのがいいだろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  9. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
  10. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー