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Androidタブレットを簡単テレビリモコンに──CATV局とNECが実証実験CATV局に要望多数「リモコン使いにくい」

» 2011年08月30日 16時38分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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いろいろできるAndroidタブレットではなく、「簡単リモコン」として訴求

photo デバイスはAndroid OS搭載のNEC「LifeTouch(TCNカスタマイズ版)」。CATV STBを操作するもう1つの「簡単リモコン」として展開する

 東京ケーブルネットワーク(TCN)とNECは8月30日、NECのAndroidタブレット「LifeTouch」を用いたCATV加入者向けサービスの実証実験を開始すると発表。2011年9月より3カ月、TCNサービスエリアの既存加入者200世帯を対象にモニターを募り、サービス展開の可能性を探る。

 TCNは東京都文京区、荒川区、千代田区でサービスを展開するCATV事業者。赤外線ポートの搭載や一部ハードウェアキーの変更、ホーム画面や搭載ソフトウェアに工夫を取り入れたTCNカスタマイズ版のNEC製7型Androidタブレット「LifeTouch」を同社が展開するメディアコンシェルジュサービス用機器として採用し、テレビ放送サービス操作および地域情報を表示・操作する「簡単リモコン」としてサービス商用化を図る。

 ターゲットは機械操作が苦手な高齢層や主婦層。今後、テレビ放送のデジタル化やIPTVサービスの普及により競争が激しくなると見込むCATV事業者だが、事業エリアが狭く、地域に密着したサービスを展開できるCATV局としての強みを“タッチ”を軸にした、これまでと異なる「簡単さ、便利さ」を訴求したい考えだ。

photophotophoto 「地域に密着したCATV局だからこそ、ユーザー目線に立った細かなサービスを展開できる。簡単リモコンを軸にした“メディアコンシェルジュ”としてのサービス展開を今後もより推進したい」TCNの棟田和博社長)

 「自社の強み、競合の弱みを考慮した施策を行っていかないと今後勝ち目はない。CATV局の強みは事業エリアが狭いこと。地域に関連したユーザー目線のサービスを提供できることは大手がやりたくてもできないこと。また、局への苦情・要望で“リモコンが使いにくい”という声が非常に多い。リモコンの改善は最優先課題であり、それならばリモコン以上のサービスを提供するには何か──を考え、同サービスの実現に適した機器を用意するNECさんと共同で取り組むことにした。見るテレビだけでなく“生活に役立つテレビサービス”を目指して開発した」(TCN棟田社長)

 サービス仮呼称は「TCNタッチコン」。簡単リモコン機能は、サービス契約者向けにカスタマイズしたホーム画面より呼び出せる。特にチャンネル数が多いCS系チャンネルでのリモコン操作性に不満を持つユーザーが多かったとし、カテゴリから選びワンタッチで選曲できる「チャンネル名称からダイレクト選択」、多チャンネルの楽しさをより訴求できる目的の「番組レコメンド機能」、ユーザーそれぞれの専用ユーザーインタフェース(UI)を設定できる「家族別リモコンインタフェース設定」といった機能を設けた。

 「録画予約機能の拡張やユーザー動向に応じたパーソナルリコメンド機能、難しさを意識させないSNS系サービスとの連携、今後CATV事業者が取り組むスマートグリッドサービスとの連携なども推進したい。本機は原則として無線LANでのインターネット接続を必要とするが、自社インターネット/地域WiMAXサービスの訴求とともに、無線LAN接続サポートなどを含めた地域のCATV局だからできる施策も積極的に行う」(TCN CATV統括部の遠藤昌男統括部長)

photophotophoto 「LifeTouchはSmartiaと同様にBtoBtoCとする製品だが、それだけに納入・採用社さんのサービスや構想、要望に沿った細かなカスタマイズをハードウェア・ソフトウェアともに施して提供できる。370グラムの軽量ボディで家の中で自由に使えるホームユースとしての利用シーンを想定した設計となっている」(NEC西大氏)

 「TCN版LifeTouchは、他社採用(NECビッグローブのSmartia)の仕様からリモコン機能用の赤外線ポートを追加するなど、より簡単にCATVサービスを利用できるようにした。タッチパネルの力は“何のマニュアルがなくても使える”こと。こちらはiPadなどとは違うホームユース・パーソナルユースへの導入を想定しており、採用社とともに提供サービスに合ったサービス・ソフトウェアを作り込んで提供できるのが強み」(NEC パーソナルソリューション事業本部の西大和男本部長)

photophotophoto 大きな「買い物」「健康(管理)」「リモコン」ボタンから使う機能を選択できるホーム画面。多数あるCS系チャンネルもタッチ/ペン操作でワンタッチ選曲できる。ユーザー別にUIをカスタマイズする機能も用意する

 このほか、極力少ない入力で健康・介護の相談を可能とする“健康支援サービス”、地域の店舗情報やチラシをネットワーク配信する“生活支援サービス”、犯罪といった地域情報の配信/災害アラーム機能といった“緊急情報伝達サービス”、定型文/音声での簡単メール機能、町内掲示板や電子回覧板機能による“コミュニケーション支援サービス”などの機能も実装する。商用サービスは、希望加入者に基本料金プラス数百円といった体系となる予定とする。

photophotophoto 未使用時は地域情報がスライドショーとして30秒おきに表示される。地域のネットチラシサービスのほか、オンラインショッピング支援なども想定する
photophotophoto このまま相談もできる健康管理・医療サポートメニュー、定型文から決められた人(家族など)へ容易に電子メールを送る機能なども備わる。メールアドレスの登録は、ユーザー要望に応じてあらかじめ登録済みの状態で提供するといった、不慣れなユーザーもすぐ使えるようにするサービスも実施するという


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