スマートフォンやポータブルバッテリーなど、小型電子機器でじわじわ対応製品が増えているワイヤレス充電の世界標準規格「Qi」。機器へのケーブル接続なしに充電できる手軽さで、「なかなか便利そうだ」と思う人は多いだろう。
Qi(チー)は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)により標準規格化され、「Qi」マークが付与された機器であれば、どのメーカーの機器+充電器でも置くだけで充電できる特徴を持つ。充電に必要な電圧、電流は機器それぞれだが、Qi対応機器同士で通信して適切な設定に自動で決めてくれる。
2011年10月現在、スマートフォン程度の小型機器を対象に最大5ワット出力のものが製品化されている。機器側は本体(バッテリー)内蔵型、専用カバーをはめるタイプなど、充電器はマウスパッドサイズの個人用のものから、テーブルに埋め込んだもの、クルマのセンターコンソールタイプなど、いわゆる小型機器を充電するシーンに合わせた製品化が可能となっている。テーブルタイプは自席のほか、オフィスや喫茶店、駅・空港のロビー、ホテルなど、パブリックな場所への導入を訴求する。
さらにテーブルスタイルであれば、ノートPCを中心に5ワットでは足りない中型の機器でも対応してくれると、より活用シーンが広がる。WPCは今後、30〜120ワットのハイパワータイプの規格化も進めているという。
モバイル環境におけるノートPC活用シーンといっても、基本的にテーブルに置いて使うことが多い。Qi対応バッテリー搭載のノートPCと出先の喫茶店やホテルにQi対応テーブルが置いてあれば、PCもスマートフォンも、携帯音楽プレーヤーなどもバッテリー切れの心配なくモバイル環境でも快適に作業できるようになるというわけだ。
ハイパワー化における課題は、既存の5ワット型とハイパワー型で充電器の電源管理をいかに効率よく、かつ安全に行うかといった基準をWPC内でどう規格化する点などがあるという。ともあれスマートフォン類だけでなく、PCでもハイパワーQiで置くだけ充電──早期の実用化に期待したい。
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