「ぼくはMacBook、君は中華PC」──中国電脳教育の“格差”を知る山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2011年11月04日 11時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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若い親はPCメーカーで学校を選ぶ

 小学生から大学生の親はPCやインターネットを利用したがらないハイテクが苦手な世代だ。ところが、幼稚園児の親はインターネットを利用してきた世代となり、所得の高い世帯であれば、積極的にPCやスマートフォン、タブレットデバイスを子供に触れさせる。

 授業料が平均月収程度という富裕層向け幼稚園では、PCを常備するのは当たり前だ。それもPCの基本的な操作方法を教えるのではなく、PCで音楽をダウンロードして再生音楽したりアニメを見せたりしている。授業参観では、デコレーションされたiPhoneやiPadを取り出して授業そっちのけで遊ぶ親も出てきて、それをみて我慢できない子供たちも大人が遊ぶゲームを見はじめたり遊びはじめたりと、教室はカオスな状態となる。

幼稚園の授業参観。親は子どもの授業より自分のスマートフォンが気になる(写真=左)。えーっと、まだ、授業中です(写真=右)

学校も塾もITで親を呼び込み

 この世代の親はITを利用した教育が好きなので、近年教育ビジネスの優良顧客として個人情報収集のターゲットとなっている。子供用教育ビジネスで代表的なものは、子供向けの英語学校やモラル教室などだ。新興住宅地を中心に教室を展開する各種学校は、PCやプロジェクタを導入して自分たちの特徴をアピールする。筆者が取材した英語学校チェーンでは、Flashを利用した“フリーの”英語学習Webサイトを壁一面に映して教えていた。

 また、親の世代が自分のためにPCやスマートフォンなどを導入しており、これらを使って家庭でも無料教育ゲームを利用して、子供にゲーム感覚で勉強やしつけを教えている。子供向け学習ゲームは、Webサイトの数も内容も充実してきており、日本企業からもベネッセが“しまじろう”(中国語で巧虎)が登場するミニゲームを多数用意している。

 「00後」と呼ばれる21世紀生まれのチャイナキッズは、それ以前の「80後」「90後」世代と異なり、子どものときからPCやスマートフォン、そして、インターネットサービスを利用している。彼らが大人になったとき、この世代のITリテラシーがそれ以前の世代と比べて、どれほどすごいことになっているのだろうか。

PCとは別に、こうした辞書などのコンテンツを含む学習用ガジェットも普及している

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