Core i7-3000シリーズは、Sandy Bridgeをベースとしたハイエンドセグメント向けCPUだ。インテルの開発フェーズとして定着した、新しいプロセスルールを採用する“TICK”、新しいアーキテクチャを採用する“TOCK”モデルでいえば、Sandy Bridge-EはTOCKに相当する。ハイエンドセグメント向けCPUでいうと、従来の“Gulftown”からプロセスルールは変わらないが、アーキテクチャがSandy Bridgeへと更新されている。メインストリーム向けのCore i7-2000シリーズが2011年1月に登場したから、ハイエンドセグメント向けはおよそ11カ月遅れということになる。その第1弾として投入されるのがCore i7-3960XとCore i7-3930Kの2製品だ。
型番 | Core i7-3960X | Core i7-3930K | Core i7-990X | Core i7-980X | Core i7-970 | Core i7-2600K |
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コードネーム | Sandy Bridge-E | Sandy Bridge-E | Gulftown | Gulftown | Gulftown | Sandy Bridge |
コア数 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 4 |
スレッド数 | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 | 8 |
動作クロック(ベース) | 3.3 | 3.2 | 3.46 | 3.33 | 3.2 | 3.4 |
TBT有効時最大クロック | 3.9 | 3.8 | 3.73 | 3.6 | 3.46 | 3.8 |
BCLK | 100 | 100 | 133 | 133 | 133 | 100 |
3次キャッシュメモリ | 15 | 12 | 12 | 12 | 12 | 8 |
プロセスルール | 32 | 32 | 32 | 32 | 32 | 32 |
TDP | 130 | 130 | 130 | 130 | 130 | 95 |
DDR3メモリ | 1600 | 1600 | 1066 | 1066 | 1066 | 1333 |
メモリチャネル数 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 2 |
統合グラフィックス | - | - | - | - | - | Intel HD 3000 |
PCIeグラフィック | PCI Express 3.0(40レーン) | PCI Express 3.0(40レーン) | PCI Express 2.0(36レーン) | PCI Express 2.0(36レーン) | PCI Express 2.0(36レーン) | PCI Express 2.0(16レーン) |
ソケット | LGA 2011 | LGA 2011 | LGA 1366 | LGA 1366 | LGA 1366 | LGA 1155 |
VT-x | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
VT-d | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 非対応 |
AES-NI | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
AVX | 対応 | 対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 |
Core i7-3960X、Core i7-3930Kともに、Core i7-990Xと同様、6コアでHyper-Threadingに対応し12スレッドの同時実行を可能としている。動作クロックは、定格で見るとCore i7-3960Xで3.3GHzと、Core i7-990Xの3.46GHzから下がっている。しかし、第2世代Turbo Boost Technologyに対応しており、その有効時における最大クロックは3.9GHzと、Core i7-2600Kの3.8GHzを上回る。(記事掲載当初、VT-xの記載に誤りがありました。おわびして訂正いたします)
3次キャッシュメモリの容量は15Mバイトで、Sandy Bridge世代のCPUで適用されていた“1コアあたり2Mバイト”というルールから外れている。それだけでなく、3次キャッシュメモリの容量は、Core i7-3960Xで15Mバイト、Core i7-3930Kが12Mバイトと、同じ6コアモデルであるのに容量が異なる。この点についてインテルは、Core i7-3930Kは1コアあたり2Mバイト、Core i7-3960Xは2.5Mバイトを割り当てているためと説明している。それにしても、Sandy Bridgeでは、1コアあたり2Mバイトであったはずだ。
Sandy Bridge-Eシリーズでは、1コアあたりの容量をマーケティング的(?)に変更できることになる。ただし、Sandy Bridgeというアーキテクチャ自体が1コアあたり2.5Mバイト搭載しているというわけではない。公開されたダイ写真には、6つのコアの下に何も明記されていないちょうどCPUコアと同じサイズのスペースがある。Core i7-3000シリーズの設計としては原則8コアであり、そのうち2基をDisabledしているものの、3次キャッシュメモリは有効になっていて、そこを利用しているわけだ(3次キャッシュメモリが16Mバイトでない理由が不明だが)。
メモリに関する仕様も大きく変わった。Core i7-2000シリーズのデュアルチャネル、Core i7-900シリーズのトリプルチャネルに対し、Core i7-3000シリーズはクアッドチャネルとなる。また、Core i7-2000シリーズのDDR3-1333、Core i7-900シリーズのDDR3-1066に対し、Core i7-3000シリーズではDDR3-1600をサポートする点も大きい。クアッドチャネルとDDR3-1600のサポートにより、メモリ帯域は大幅に増えた。
ただし、クアッドチャネルでDDR3-1600という高速駆動を行うため、メモリモジュールの相性は厳しくなることが予想される。また、8DIMM搭載に対応したマザーボードでは、8基のスロットすべてにメモリを組み込んで安定して動くのか、という問題もある。マザーボードベンダーの関係者によると、インテルのデザインガイド(マザーボードメーカーに対して公開される基本設計書)では4DIMMだったという。8DIMM構成で安定して動かすためには、マザーボードのメモリ回路設計が確実であること、そして、メモリモジュール自体も信頼できる必要があるだろう。
PCI Expressの仕様では、PCI Express 3.0への対応が注目される。しかし、仕様上では対応しているものの、現在の市場にPCI Express 3.0対応機器は登場していない。そこで、インテルとしても検証できる状況になく、当面はPCI Express 2.0と同様という状況にある。一方、PCI Expressレーン数は40レーンに増加した。これにより、CPUに接続するPCI Expressレーンだけで、マルチグラフィックスカードの構築が可能となる。
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