次にアプリケーションベースの定番ベンチマークテストであるPCMark Vantage x64とPCMark7を実行し、システム全体のパフォーマンスを確認した。
参考までにPCMark Vantage x64のグラフには、東芝のUltrabook「dynabook R631」、ソニーのハイエンドモバイル「VAIO Z(VPCZ21AJ)」、アップルの「MacBook Air(11インチCTOモデル)」といった薄型軽量モバイルノートPCのスコアも併記した。いずれもZENBOOKより高価な製品だ。
テスト結果を比較したノートPC | |||||
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製品名 | ZENBOOK (UX21E-KX064) | ZENBOOK (UX31E-RY256) | dynabook R631 | VAIO Z (VPCZ21AJ) | 11インチMacBook Air (CTO) |
OS | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Ultimate (SP1) | 64ビット版Windows 7 Ultimate (SP1) ※Boot Camp |
液晶ディスプレイ(解像度) | 11.6型ワイド(1366×768ドット) | 13.3型ワイド(1600×900ドット) | 13.3型ワイド(1366×768ドット) | 13.1型ワイド(1920×1080ドット) | 11.6型ワイド(1366×768ドット) |
CPU | 超低電圧版Core i7-2677M(1.8GHz/最大2.9GHz) | 超低電圧版Core i7-2677M(1.8GHz/最大2.9GHz) | 超低電圧版Core i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz) | Core i7-2620M (2.7GHz/最大3.4GHz) | 超低電圧版Core i7(1.8GHz) |
グラフィックス | CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000) | CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000) | CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000) | CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000) ※ドック非接続 | CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000) |
メモリ | 4Gバイト(DDR3-1333) | 4Gバイト(DDR3-1333) | 4Gバイト(DDR3-1333) | 4Gバイト(DDR3-1333) | 4Gバイト(DDR3-1333) |
SSD | 128Gバイト(6Gbps) | 256Gバイト(6Gbps) | 128Gバイト | 512GバイトSSD (256Gバイト×2、RAID 0、6Gbps) | 256Gバイト |
テスト結果を見ると、UX21E-KX128の高速なSSDによるパフォーマンスが目立つ。特にPCMark Vantage x64のHDDスコアでは4万を超える驚異的な値が出ており、ほかのスコアにも好影響を与えている(テスト結果は5回以上測定した平均)。PCMark7ではそこまで飛び抜けたスコアは出ていないが、全体的にUX31E-RY256よりワンランク上の成績だ。
一方のUX31E-RY256は、SSD以外がUX21E-KX128と同等の基本スペックだが、そこから予想されるスコアよりは少し控えめな傾向だった。この価格帯の薄型軽量モバイルノートPCとしては健闘しているが、ベンチマークテストにおけるSSDのパフォーマンス差は大きく、総じてCPUグレードの低いdynabook R631と同程度のスコアにとどまっている。
3Dグラフィックス性能を総合的に評価する3DMark06と3DMark Vantage、定番ゲームベンチソフトのモンスターハンターフロンティア(MHF)ベンチマーク【絆】、ストリートファイターIVベンチマークも実行したが、ほかのテストと同じ傾向だった。
3Dグラフィックス関連のテストは、UX31E-RY256がUX21E-KX128より全体的に低調だ。また、MHFベンチマーク【絆】はどちらも想定されるスコアより少々低い印象を受ける。
もっとも、多少のスコア差があるとはいえ、グラフィックス機能にCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000を使っている他機種と同様、ライトなゲームタイトルならば対応できるだろうが、最近の本格的な3Dゲームなどを楽しむには力不足だ。
3Dグラフィックス関連のテストが予想より振るわない理由としては、ボディの放熱との関係が考えられる。詳しくは後述するが、ZENBOOKは薄型のアルミボディにハイスペックと薄型のファンを搭載する一方、デザインのノイズとなる放熱用の通風口などは極力省くか、液晶ヒンジ部に目立たないよう配置している。そのため、放熱に無理が生じないよう、パフォーマンスとのバランスを調整しているのではないかと予想される。放熱設計が難しい薄型ノートPCではまれにある症状だ。
テスト時の室温は約22度と高くなかったが、試しにノートPC用のファン付き冷却台にセットして空冷を強化すると、ゲーム系ベンチマークテストは一部で明らかなスコアアップが確認できた(3DMark06や3DMark Vantageのスコアは変わらなかったが)。
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