最大450Mbps通信に対応するコンシューマー向け無線LAN機器は、まず親機側(ルータ側)が先行して登場した印象だ。日本では、2011年4月にロジテック「LAN-WH450N/GR」とバッファロー「WZR-HP-G450H」が登場し、子機(クライアント側)は前述のインテル製無線モジュールのほか、2011年9月〜10月にUSBアダプタ型の子機「LAN-W450AN/U2」、「WLI-UC-G450」が登場した。ひとまずこのUSBスティック型の子機を装着して450Mbps対応通信を使用するイメージだ。
もう1つ、他社とは少し違うアプローチで最大450Mbps対応製品を投入するのが、NECアクセステクニカ「AtermWR9500N」だ。
AtermWR9500Nは、ルータ本体単体の「PA-WR9500N-HP」のほかに、同じ450Mbps通信対応の本体を2台同梱したイーサネットコンバータモデル「PA-WR9500N-HP/E」の2種類をラインアップする。
イーサネットコンバータとは何か──は本特集の『第2回 「5GHz帯」の速度チェック+「テレビを無線LAN対応」にする方法』を参照いただくとして、かつ、クライアント側にも複数のアンテナを適切に配置する必要があるのは前述したとおりだが、昨今のノートPCに無理して大きめのUSBスティック型機器を接続するのは少し無理がある。本機は、それならこちらの用途にもと、「AV機器の高速無線化」のニーズも含めたホームネットワーク全般での利用を強く意識したモデルといえる。
ネットワーク対応が進むテレビやレコーダーなどのAV機器分野に目を向けると、高速なネットワーク接続、さらに配線の必要がない無線LAN接続のニーズがどんどん増している。
最新のテレビは、録画した番組の配信、あるいはレコーダーやPCで録画した番組をネットワーク経由で再生するDLNAクライアント/サーバー機能のほか、インターネットで配信する放送サービス、インターネット上のハイビジョン動画コンテンツの再生などが行え、ネットワークを活用した便利な家庭内利活用シーンが急速に普及してきている。
このうち映像ビットレートが最大25Mbpsにもなるデジタル放送の録画番組を、家庭内の離れた場所でも、複数の場所からでも快適に利用するには、電波がきちんと届き、かつ安定して実測100Mbps以上の速度を実現する性能を持つ無線LAN環境が必須だ。本特集でポイントとて取り上げる無線LANルータの「5GHz帯」と「450Mbs通信」は、まさにここにある。
次回は実際に450Mbps対応製品を用意し、「では450Mbps通信はどれだけ高速か。設置場所や機種別で通信速度に変化はあるか」を検証していく。
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