「ライバル不在で共倒れなんてケースも……」 自発的なAMD応援フェアの心境古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2011年11月28日 11時00分 公開
[古田雄介(ぜせ)&ITmediaアキバ取材班,ITmedia]
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「CPUは色々な意味でバランスが悪くなっています」――自作市場の好材料とマイナス材料

パソコンショップ・アークのメモリ棚。2000円台の8Gバイトセットが複数並んでいた

 HDDの高騰と品薄傾向が続くなか、DDR3メモリの低価格化が再び目立つようになっており、3000円を切るDDR3-1333 4Gバイト×2枚セットが各ショップで人気を集めていた。また、ソフマップ秋葉原本館など、限定特価でDDR3-1600の8Gバイトセットを2000円切りで売り出す店舗もみられるなど、にかわに注目度を高めている。

 この変動について、ある仕入担当の店員氏は「円高などの影響もあるでしょうけど、HDDの代わりの目玉特価に使いたいという各店舗の思惑も大きい気がします。HDDだけでなく、今年は年末にかけて目玉パーツの動向が不安視されているので、プラス材料になり得るものは何でも利用したいんですよ」と話していた。

 年末に向けての目玉としては、今月登場したSandy Bridge-EとAMD FX-8000シリーズといった、各社のハイエンド級CPUが挙げられる。先週もSandy Bridge-E対応のX79マザーの新モデルがギガバイトから登場した。XL-ATXサイズの基板に4基のPCI Express x16スロットを備える「GA-X79-UD7」と、8基のDDR3メモリスロットを備えるE-ATXサイズの「GA-X79-UD5」で、実売価格は順に4万円前後と3万円前後。

 クレバリー1号店は「ともにATXを超えるサイズなので搭載するケースを選びますが、チップの選定から総合的なオーバークロック機能など、出色のこだわりを感じますね。どちらも細部まで比較して買うという人に選ばれるマザーだと思います」と評価していた。

 ただし、各ショップで売れ行きは「悪くもないが、良くもない」といった状況らしい。PC DIY SHOP FreeTは「やはり、Core i7-3930Kがある程度安定して供給されないと話にならないという部分はあります。年末までに潤沢になってくれればいいんですけど」と語る。X79マザー対応のCPUは、現行で8万円前後の「Core i7-3960X Extreme Edition」と5万円前後の「Core i7-3930K」の2種類しかなく、コストパフォーマンスに優れたCore i7-3930Kの入荷を待つユーザーが多いというわけだ。

ギガバイトのX79マザー(写真=左)。ギガバイト「GA-X79-UD7」(写真=中央)。ギガバイト「GA-X79-UD5」(写真=右)

 一方のAMDは、ハイエンドの8コアCPU「FX-8150(空冷版)」が2万5000円前後と比較的安価で人気を集めているが、こちらも売り切れが多発している。ただし、「潜在需要がインテルとまったく違うので、FX-8150が潤沢化したら、すぐに需要が満たされて動きが止まると思います。正直、現在のAMDはインテルのライバルとは呼べないくらい、シェアが落ち込んでいます。どんな市場でも、1社独占より2社以上がしのぎを削っているほうが盛り上がるじゃないですか。このままだとライバル不在でインテルも、ひいては自作市場全体が傾くなんてこともあり得ますから、本当頑張ってほしいんですけど……」(長年のAMDユーザーでもある某店員氏)と、より根の深い声を聞く。

 こうした背景もあり、TSUKUMO eX.は11月初旬から自発的に「がんばれ!! AMDフェア」を実施しており、AMD製CPUを購入した人に先着で非売品のAMDグッズをプレゼントしている。が、半月経っても、グッズの目玉のダイチャームがたっぷり残っているなど、売れ行きは今ひとつのようだ。

 同店は「FXシリーズも処理の種類によってはかなり良い成績を残しますし、コストパフォーマンスの高さは目を見張るものがあります。それが世間に浸透していないのが残念なんですよね。イベントでも何でも、『こうやって使えば、すごく速い!』みたいな提案が広がる機会があればうれしいのですが」と複雑な心境を覗かせた。

TSUKUMO eX.の4階で実施中の「がんばれ!! AMDフェア」。ダイチャームなどの非売品がオマケでもらえる

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