スラスラ手書き、デジタイザーペンが心地よい──Windows 7搭載8.9型タブレット「HP Slate 2」を試すはじめての“オフィスタブ”にいかが?(1/3 ページ)

» 2011年12月15日 17時25分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]

“ちょっと小さめ”、8.9型のピュアタブレットスタイル

photo 日本HP「HP Slate 2」。Wi-Fiモデル(2012年1月上旬発売予定/6万9300円)とWi-Fi+3Gモデル(2012年2月上旬発売予定/7万2450円)をラインアップする

 Android OSやiOS搭載タブレットの普及が進んでいる。

 では、Windowsはどうか。こちらはコンシューマー層よりビジネス層への需要が高まっている。多くの企業でスタッフの作業用クライアントとして使われるWindows搭載PC。同じWindows OSを搭載し、中身も普段のPCと大きく変わらないWindowsタブレットは、社内システムや業務アプリケーション、スタッフ側の使い勝手を含めて、おおむねそのまま現在のIT資産を活用できる。「比較的低コストで、さほど変わりなく導入できる」こと、新たな利用シーンを創造できる可能性があること、ノートPCの1種といった感覚で導入できることがAndroid OSやiOS搭載デバイスに対するメリットとしてとらえられている。

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の「HP Slate 2」も、そのWindows 7をOSに採用するビジネスタブレットだ。他社に採用例の多い10.1型サイズに対し、“少し小さめ”となる8.9型ワイドのタッチパネルディスプレイを搭載する。


photophoto 立ったままでも扱いやすい。「PC作業において、小さすぎず大きすぎないボディサイズを深く検証し、8.9型の選択に至った」という。専用ケースも付属する

 「立ったままでも使いやすい」を追求して採用したという8.9型サイズは、なるほど、ほどよく小さく、軽量で持ちやすい。本体サイズは234(幅)×150(奥行き)×15(厚さ)ミリ、重量は約690グラム。ライバルの1つとなるであろうNECのビジネス向け10.1型Windowsタブレット「VersaPro タイプVT」(個人向けは「LaVie Touch(LT550/FS)」)と比べ、上下で約30ミリ小さく、重量で約40グラムほど軽量だ。

 もちろん業務内容にもよるだろうが、1.5〜2キロほどのノートPCを日々持ち歩くビジネスユーザーがこの重量差を目の当たりにすれば「タブレットを携帯し、オフィス内業務はノートPCで」などといった、より効率のよさそうな使い方が思いつくのではないだろうか。

photophoto ディスプレイは1024×600ドット表示に対応する8.9型ワイド液晶。静電タッチパネルとデジタイザーも搭載し、マルチタッチ操作+デジタルペン操作を手軽に使い分けられる。背面は滑りにくく、上質な印象設けるラバー風のつや消し塗装施してある。中央にHPロゴ、その上に3Mピクセルのアウトカメラがある

 主な仕様を確認しよう。基本システムはデュアルコアのAtom Z670(1.5GHz)+Intel SM35 Expressチップセットによる“OakTrail”プラットフォームを採用し、OSは32ビット版のWindows 7 Professional(SP1)をインストールする。

 メインメモリは2Gバイト(PC2-6400 2Gバイト×1)、ストレージは64GバイトSSD(評価機はmSATA接続のSamsung「MZMPA064HMDR-000H1」が搭載されていた)、ディスプレイは1024×600ドットのデジタイザー+タッチパネル搭載8.9型ワイド、グラフィックスはCPU統合のIntel GMA 600、通信機能にIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0+HS(CDMA2000 1x EV-DO+W-CDMA・HSPA対応でGPS機能付き3Gデータ通信モジュールを内蔵する「Wi-Fi+3Gモデル」も別途用意する)、TPM1.2準拠のセキュリティチップを実装する。

 このほか、3Mピクセルのアウトカメラ/Webカメラ(インカメラ)、SDXC対応SDメモリーカードスロット(標準サイズ)、マイク/ヘッドフォン入出力、USB 2.0(Standard-A)、電源兼拡張コネクタといったインタフェースを搭載する。

photophotophotophoto デバイスマネージャ画面の一部
photo 付属品一覧 本体を立てて使えるスタンド機能付きの専用ケースが付属する

 内蔵するリチウムポリマーバッテリーは容量30ワットアワーで、公称のバッテリー動作時間は約6.7時間となる。ACアダプタは19ボルト/1.58アンペア出力仕様で、サイズは約90(幅)×35(奥行き)×25(高さ)ミリ、ACケーブル込みの重量は336グラムとなる。AC側は3穴タイプで、別途ウォールマウントプラグも付属する。

 本機はピュアタブレットスタイルのため、前面は画面のみ。本体の上下左右にいくつかのインタフェースや操作キーを実装する。上面にUSB 2.0、ボリューム調整、ホームキー(デスクトップ表示)、「Ctrl+Alt+Delete」キー、下面に電源兼拡張コネクタとステレオスピーカー、左側面にSDメモリーカードスロット(Wi-Fi+3Gモデルは重ねてSIMカードスロットも実装)、外部マイク、ソフトウェアキーボード出現キー、右側面に電源スイッチとマイク/ヘッドフォン端子が並ぶ。


photophoto 厚さは15ミリだ。上面にUSB 2.0や「Ctrl+Alt+Delete」キー、底面にスピーカーとDC入力兼拡張コネクタがある
photophoto 本体左側面はソフトウェアキーボード出現キーとSDメモリーカードスロット、3GモデルはSIMカードスロットがSDスロットに重ねて搭載される。本体右側面は電源スイッチとマイク/イヤフォン入出力。普通、PC機器の底面に記載されるいわゆる商品基準/電波基準など満たす認定マークやシリアルナンバーなどは、中央上部付近の“スロットっぽい”ものの中に記載されている。シュルりと引き出す仕組みだ

 これら操作キーは、まずCtrl+Alt+Deleteの操作を割り当てた専用キーを備えるのがWindowsマシンらしく少しほほえましい。それより電源兼拡張コネクタが下面にあるのは「充電をしながら使う」シーンに使いにくい。

 本機にはかなり上質なケースが付属し、携帯時のカバーとして、机上作業時は本体を横位置で立てられるスタンドとして機能する。一方、電源コネクタは幅が約20ミリ、一般的なHDMIコネクタほどもある大型のものを接続して充電するが、こちらを下面の端子に差すと机上での使い勝手が非常に悪くなる。傾きセンサーによる画面回転機能とともに本体の向きを逆さにすれば解決するが、今度はUSBポートが使いにくくなる。この配置はやや悩ましい。机上で使う機会が多いなら、オプションの「HP Slate ドッキング ステーション」(6300円)の導入も検討しておくとよいだろう。

photophoto HP Slate ドッキング ステーションは充電+スタンド機能のほかに、HDMI出力や2つのUSB 2.0も実装する。外部ディスプレイや外付けマウス+キーボードを併用しやすい
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