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エプソン「EP-804AR」は、まさに“迷ったらコレ”の完成度か?2011年末プリンタ徹底検証(1/5 ページ)

» 2011年12月18日 06時00分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

2011年のエプソン主力プリンタは大胆なレッドに注目

エプソン「EP-804AR」

 エプソンが2011年の年末商戦に向けて発売した個人向けインクジェットプリンタは、前年を上回る10機種14モデルにもおよぶ

 ラインアップの内訳は「カラリオ(Colorio)」シリーズのA4複合機が7機種(カラバリ含めて計9モデル)、「カラリオミー」シリーズの小型はがき/フォト機が2機種(カラバリ含めて計4モデル)、「プロセレクション」シリーズのA3ノビ対応シングル機が1機種となっている。

 主力のA4複合機は、売れ筋機種のカラーバリエーション拡充をはじめ、操作性の向上、スマートフォンやクラウドサービスとの連携強化、液晶モニタの全機種採用、4色顔料インク機の設計見直しによる小型化など、さまざまな工夫を凝らしてきた。2011年モデルが掲げる「いたれり、つくせり」が販促のためだけのキャッチコピーではないことの証左で、同社の意気込みが感じられる。

 今回はA4複合機の新ラインアップから同社が“迷ったらコレ”とおすすめするミドルハイモデル「EP-804A」に注目した。3色のカラバリから入手したのは、新色のレッドだ。


洗練されたデザインのボディは設置性も良好

 ボディカラーを3色から選べるのは、キヤノンの売れ筋A4複合機「PIXUS MG6230」と同様だ。ただし、PIXUS MG6230の新色が落ち着いたトーンのブロンズなのに対して、EP-804Aは華やかな深紅ともいえるレッドを採用してきたのが目を引く。このレッドモデルの製品名は「EP-804AR」とされている。

 A4複合機のサイズで全体がレッドというカラーは非常に存在感がある。およそプリンタのイメージとはかけ離れるカラーだが、複合機の家電化とリビングへの進出を目指すエプソンとしては、それこそが狙いなのだろう。最近はレッドのノートPCも増えており、それと組み合わせるのもアリだ。ちなみに残る2色はブラック(EP-804A)とホワイト(EP-804AW)で、EP-803Aからのカラバリを引き継いでいる。

 前面は光沢仕上げで少々指紋が付きやすいが、側面はザラリとした手触りのマット調で指紋などの汚れが目立ちにくい。天面も光沢仕上げだが、原稿台カバーには細かなドットのテクスチャが施されており、指紋が目立たないよう工夫されている。

電源を入れると、前面のカバーが自動的に開く。こちらは排紙トレイを伸ばして、操作パネルを少し傾けた状態だ

 ボディは従来と同じく、高さを抑えた直方体のフォルムだ。本体サイズは445(幅)×386(奥行き)×150(高さ)ミリ、重量は約9.1キロと、背が低いので圧迫感がなく、デザインが洗練された印象を受ける。

 ボディに余分な突起がなく、狭いスペースにも無理なく設置しやすい。フロントパネルのデザインには多少の変更があり、給紙カセットをフロントカバーの内部に収めることで継ぎ目のないシンプルな外観にしている。これもリビングへの設置を意識し、デザインに配慮した結果だ。

 ちなみにフロントカバーは電源投入時に自動で開く仕組みだ。プリンタを買い替えて最初に電源を入れたときは、ちょっと驚くかもしれない。

 排紙トレイは伸ばしきった状態だと、200ミリ強の長さになる。前面給排紙機構を採用し、給紙は前面下部の2段カセットのみで、後部のトレイがないため、無線LANで運用するならば、設置の際に背後のスペースを考慮する必要はない。USB接続や有線LAN接続で運用する場合はコネクタが後ろに少しだけ飛び出すが、これも数ミリ程度で済む。付属の電源ケーブルはコネクタがL字型で収まりがよい。

 後部トレイがないということは、使用時の高さが抑えられることも意味する。原稿台カバーが少し開く程度の狭い高さのスペースに押し込んでも、運用にさしたる不都合は生じないだろう。

 こと設置性に関しては、実によくできたデザイン、給排紙機構といえる。

左からボディの前面、背面、側面。利用時はトレイが手前に伸びるが、前面給排紙機構を採用するため、高さは変わらず、後方にスペースを必要とすることもない

BD/DVD/CDトレイはボタン1つで出し入れ可能

 2段式の給紙カセットは、上段にはがき、L判、KG、2L判、ハイビジョンサイズをセットでき、下段がA4、はがき、ユーザー定義サイズ用となっている。給紙容量はA4が最大120枚、はがきが最大20枚(上段)もしくは最大50枚(下段)だ。

 Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイを本体に内蔵し、ボタン1つで出し入れできるのはありがたい。Blu-ray/DVD/CDトレイが別パーツとなっていて、ユーザー自身で着脱しなければならない他社製品よりスマートに利用できる。

 自動両面印刷の機能は標準装備ではないが、オプションで自動両面印刷ユニット(実売価格は3000円前後)が用意されている。ただし、自動両面印刷ユニットのカラーはブラックかホワイトしか選べないことと、装着時に奥行きが70ミリ程度増すことは覚えておきたい。

2段式の給紙カセットを採用する(写真=左)。排紙トレイは前面に伸び、排出された紙が落ちないよう先端が反っている(写真=中央)。操作パネルの「CD/DVDトレイ」ボタンを押すと、Blu-ray/DVD/CDトレイが現れる(写真=右)

オプションの自動両面印刷ユニットはブラックの「EPADU1」(写真=左)とホワイトの「EPADU1W」(写真=右)から選べるが、レッドは用意されていない

充実のインタフェース、無線のセットアップは容易

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備する。プリンタドライバの対応OSは、Windows 2000 Professional/XP/Vista/7、Mac OS X 10.4.11以降とされている。

 付属ソフトの「EPSON Net Setup」をPC/Macにインストールし、画面の案内に従うだけで、SSIDやパスフレーズの入力をせずに無線LANの設定が行えるのは便利だ(Windows XPはパスフレーズの自動入力に非対応)。また、簡単に無線接続が可能なAOSSとWPSもサポートしている。

 そのほか、PictBridge用のUSBポート、IrDAポート(Ver.1.3準拠/IrSimple対応)、CF Type IIスロット、メモリースティックPROスロット、SDXC対応SDメモリーカード/MMCスロット、xDピクチャーカードスロットも備えており、デジカメやケータイとの接続もしやすい。

背面の少し奥まったところにUSBと有線LANのコネクタを配置しており、ケーブルが飛び出さないようにしている(写真=左)。前面の右下にPictBridge用のUSBポート、IrDAポート、各種メモリカードスロットを集めている(写真=右)。未使用時はカバーで覆われ、見た目がすっきりする

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