「2011年のUltrabookは2012年の準備」──インテル吉田社長、2011年を総括するいまの日本でインテルはどうあるべきかを考える(1/2 ページ)

» 2011年12月21日 00時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

いまの日本でインテルがどうあるべきか

インテル代表取締役社長の吉田和正氏。話を聞く側からすると、インテルだけでなく、日本技術産業の将来に言及する場面も多かったように思う2011年だった

 インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、「これからの成長も大事だが、日本のおかれた状況でインテルはどうあるべきか。2011年を思い返すとき、最初に思う」という言葉で2011年の統括を語り始めた。

 2011年は大地震と原子力発電所の事故など、日本が初めて経験する出来事が起きた。インテルも、つくば事業所をはじめとして震災後の業務遂行に大いに苦労したが、その回復は予想以上に早かったという。震災後の復旧復興、将来に向かって新しいものを作り上げていく活動において、その大きな要因となったのがITCの活用であったと吉田氏は語った。

 インテルのつくば事業所は、震災の被害で7カ月にわたってその利用が制限され、つくば事業所に所属するスタッフは、オフィスなしで業務を行う状況にあったが、ノートPCを業務システムの中心においていたおかげで、その期間における自宅勤務などのリモート業務のノウハウが蓄積されたという。「場所があれば、情報インフラがあれば、業務は遂行できることが実証した。どのように行ったかをまとめて、今後に活用する」(吉田氏)

 吉田氏は、これまでのITビジネス、生産性や効率を中心に語れることが多かったが、ITCの活用に関する議論は意味が深いと考える。「緊急時には、情報発信と発信された情報をいかにして受け取るかが問われる。震災の時には無線インフラが有効だった。日本は、有線無線で強じんなネットワークインフラを用意していた」(吉田氏)

 今回の震災では、被災地域が広範囲であったことからピンポイントで情報を発信するメカニズムも必要になった。情報発信で大きな力を発揮したのが、オープンネットワーク、ソーシャルネットワークでさまざまな支援に活用されたと吉田氏は分析する。こうした実例から、インターネットは限られたユーザーのものではなく、だれもが使う、社会の重要なインフラに成長したことを再確認できたが、それとともに、インターネットをインフラとして、離れたところでシステムを遠隔制御できるようになったことも、これからのイノベーションにつながると吉田氏は訴える。「ビデオコミュニケーションシステムを応用した医療や教育現場における導入は、従来では受け入れがたいとする意見も多かったが、これも、震災以降のおける状況の変化で必要とされるようになるだろう」(吉田氏)

 また、吉田氏は日本の技術をどのように製品として作りこんで世界に出していくかを見直すという。それぞれの企業が提供できるものをメーカーがすり合わせて製品として具体化するが、そこでは、国際標準の技術を積極的に採用し、世界中のユーザーから求められる商品に作りこむことが必要という。「ここまで作りこんで商品を提供する企業に進化しないといけない。日本の強みを積極的に外に出していきたい」(吉田氏)

 その上で、吉田氏は、「“これから豊かになろうとしていく国”に対して伝えることはたくさんあり、共存のパターンを提示する」と述べるとともに、日本の問題を解決して新たな成長に結び付けていく姿勢でこれからのインテルは努力していくと語った。

3月の震災直後、インテルは業務継続ためにICTの活用して業務の停滞を防いだ。日本の多くの企業でICTの重要性が広く再認識されたという

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