10月には、AMDのCPUを愛する自作PCユーザーがその登場を長く待っていた“Bulldozer”世代のデスクトップPC向け“Zambezi”クラスが登場した。新しいアーキテクチャを採用する性能重視のCPUだが、最上位モデルで8コア搭載のFX-8150をベンチマークテストで検証した結果は、比較対象のCore i7-2600Kはおろか、テスト項目によってはPhenom II X6 1100Tも下回った。
“Zambezi”クラスのFXシリーズでは、その後も6コア搭載のFX-6100と4コア搭載のFX-4100を検証している。ともに、搭載するコアの数は少ないが、動作クロックは高く、FX-8150、Phenom II X6 1100Tとベンチマークテストの結果を比較しても、マルチスレッドの影響が大きい項目以外では、互角か、もしくは、上回ることもあった。
AMDの最上位クラスCPUが苦戦する中、インテルのCPUで最上位クラスとなる“Sandy Bridge-E”のCore i7-3960XとCore i7-3930Kが11月に登場する。LHA 2011対応の“ごつい”マザーボードとともに導入コストはただならないものになるが、自作PCユーザーの人気は高い。ただ、レビューで検証した“定格動作”におけるベンチマークテストの結果は、FX-8150は別として、CPU関連テストで常に最高のスコアを出すものの、その差は、Core i7-2600K、Core i7-990Xを圧倒するほどではなかった。
2011年で最後に取り上げたのは、“倍率設定ロック解除”となった“Llano Refresh”こと、A8-3870Kだ。同時に登場したA6-3670Kとともに、12月28日から出荷を開始している。型番末尾の“K”は、インテルの“K”モデルと同様に、オーバークロック設定を想定したモデルであることを示す。CPUの倍率設定が可能になっただけでなく、統合したグラフィックスコアの動作クロックもチューニングできるなど、“遊べる”Llanoとなっている。
レビューで行った検証では、CPUコアを3.5GHzに、グラフィックスコアを720MHzにそれぞれクロックアップしてベンチマークテストを測定したが、定格と比べた性能向上は、クロックアップ分に届かない。ドライバ関連のチューニングが進むと改善されるのだろうか。
AMDは、Zambeziの不調を「アプリケーション側でBulldozerアーキテクチャへの対応が遅れているため」と説明する。となれば、2012年にはFXシリーズの性能が改善する可能性もある。そして、インテルからは22ナノプロセスルールと三次元トライゲートを導入した“Ivy Bridge”世代のCPUが登場する。AMDが追いつくのか、インテルが突き放すのか。2012年もベンチマークテストが“楽しく”なりそうだ。
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