過去20年あまりにわたって、CES開催する前日の夜、プレ・キーノートと呼ばれるMicrosoftの基調講演が恒例になっている。当初は同社元CEOで会長のビル・ゲイツ氏が主要プレゼンターだったが、ここ4年ほどは、ゲイツ氏に代わってCEOになったスティーブ・バルマー氏がその役目を担当している。
2012 CESのプレ・キーノート開催に先立ち、CESの主催母体であるConsumer Electronics Association(CEA)プレジデント兼CEOのゲリー・シャピロー氏が、過去20年近くにわたってMicrosoftがCESとCEAに対して果たしてきた功績をたたえている。
CES最後の基調講演は、バルマー氏によるプレゼンテーションというより、テレビ番組のパーソナリティや司会で著名なライアン・シークレスト氏が司会となって、バルマー氏にインタビューをするという演出で進められた。こうした基調講演のスタイルは過去にも行われており、2005年にはコナン・オブライアン氏が登場して、人気番組「Late Night with Conan O'Brien」に模したステージの中に、ゲストとしてゲイツ氏を招く形で進行した例もある。
シークレスト氏に答える形で示される基調講演のメッセージは、時代の変節と現在Microsoftが注力しているテーマが中心となっている。PC時代の覇者として過去20年を走り抜いてきたMicrosoftだが、一方で、スマートフォンやタブレットデバイスの普及に見られるように、新しいモバイルデバイスが興隆しつつあり、また、インターネットをベースとしたサービスやアプリケーションが拡大しつつある状況に直面している。
バルマー氏は、現在も10億台以上のPCが稼働する世界でにおけるWindowsの強固さを強調する一方で、こうした時代の変化についても認めており、Microsoftは、新しく、よりユーザーに訴える技術やサービスの開発を進めていかなければならないと述べている。その1つが、「Metroスタイル」と呼ばれる新しいユーザインタフェースを採用した「Windows Phone」、ならびに、現在開発中の「Windows 8」であり、また、コンシューマの世界では「Xbox Live」のようなソーシャルネットワークを意識した新しいオンラインサービスになる。
Windows Phoneについては、ここで多くを語るまでもないが、先進的なユーザーインタフェースと比較して、ハードウェア面での「技術的なキャッチアップが遅い」という指摘がある。
バルマー氏は、パートナー企業でもあるNokiaが発表したばかりの「Lumia 900」というWindows Phone 7.5端末を取り出し、その概要についてシークレスト氏や来場者に説明した。Lumia 900は、Lumia 800とLumia 710に続く、2011年10月に発表されたLumiaシリーズのフラッグシップモデルで、LTEを標準サポートしている。このほか、HTCのLTE対応最新端末も紹介するなど、新しい端末でLTEといった高速通信の最新技術を続々とサポートしつつあることを強調している。Nokiaの端末もHTCの端末も、米国では2011年の末からLTEサービスを開始した米AT&T向けに提供する予定だ。
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