このように、Ice Cream Sandwichと世界初のクアッドコアSoCとなるTegra 3の組み合わせは、タブレットデバイスの可能性をさらに高める。しかし、ここでネックとなるのが「価格」だ。発表会では、ASUS CEOのジェリー・シェン氏が登場し、ASUSが開発中の7型ワイドタブレットデバイス「Eee Pad MeMo ME370T」を249ドルで発売する計画を明らかにし、加えて、ファン氏から、ASUSの「Eee Pad Transfomer Prime」がGoogleから正式にAndroid 4.0の認証を受け、オンラインアップグレードが開始されたことが紹介された。なお、ASUSの関係者によると、日本市場にはAndroid 4.0を搭載したモデルが発売される見通しだという。
説明会では、ファン氏が“忍者コア”と呼ぶ、Tegra 3に搭載する第5のCPUコアを使ったタブレットデバイス向けの新機能も紹介している。
その中の1つ、「DirectTouch」技術は、忍者コアがタッチインタフェースを直接制御することで、10本指のマルチタッチ操作でも、速いレスポンスを実現するものだ。現在は、タッチパネルからのセンサー出力をコントローラが橋渡ししているため、5本指、10本指といったマルチタッチをした場合、パフォーマンスが大幅に低下したり、高価なコントローラを採用する必要があったりしたが、DirectTouch技術で忍者コアを使えば、タッチインタフェースのコントローラが不要になるばかりか、一般的なコントローラに比べて約6倍のパフォーマンスを実現することをデモのビデオで示した。
また、「PRISM Display」は、液晶パネルのバックライトを減光したときに,タブレットデバイスに搭載した液晶の特性に応じて低輝度における発色を通常の発色に近づけるよう、各ピクセルの色を置換する技術だ。
この技術は、忍者コアとTegra 3に統合したグラフィックスコアで制御し、バックライトの輝度を落とした状態でも自然な明るさのビデオ再生ができる。忍者コアだけでなくGPUコアのパイプラインも利用するため、Tegra 3側の消費電力はやや増えるが、タブレットデバイスでは、バックライトの消費電力の占める割合が大きいため、システム全体で40パーセント程度の省電力が可能になる。
ファン氏は、これらの機能を有効に使えば、「ユーザーが求めるものに応じて、さまざまなタブレットデバイスが可能になる」と、プレミアムアプリやすぐれたハードウェア機能と性能で、競争が激化するタブレット市場において、Tegra 3の優位性を保てる自信を見せた。
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