米Cloud EnginesとソフトバンクBBは1月31日、パーソナルクラウドを気軽に構築できるデバイス「Pogoplug Mobile」の発売を発表した。「SoftBank SELECTION」取扱店およびSoftBank SELECTIONオンラインショップで、2月3日から販売する。価格は7980円。
デバイスを必要としない一般的なクラウドサービス「Pogoplug Cloud」の提供開始も併せて発表。5Gバイトの容量を無料で提供する。有料プランは月額300円(50Gバイト)から。Pogoplug製品の購入者に初年度のみ20Gバイトを無料提供するキャンペーンも行う。キャンペーン期間は2013年3月31日まで。
Pogoplugは、自宅のルータ、およびハードディスクなどのストレージに製品を接続することで、簡単にパーソナルクラウド環境を構築できる製品。外出先でも自宅のハードディスクにアクセスできるようになり、動画や写真などの各種ファイルを閲覧したり、アップロードしたりできるようになる。Webブラウザやアプリを通じてサービスを利用でき、PCやMac、モバイル端末からアクセスが可能だ。
Pogoplug Mobileは2011年2月に発売した「Pogoplug」の後継モデルで、旧製品から40%の小型化、80%の高速化を果たした。また新製品の提供に合わせ、iPhoneやiPad、Androidといったスマートデバイスでの使い勝手に注力したという。端末内の写真や動画などのデータを自動的にPogoplugにアップロードする機能をアプリに追加し、ユーザーが意識することなくコンテンツをクラウド化できる環境を整えた。
このほかにも、ファイルやフォルダをFacebook、Twitter、Google+などのSNSへ簡単に公開できたり、閲覧用のパスワードを設けて特定の仲間だけに公開できたりと、便利な共有機能を持つ。
なお、旧製品では4つのUSBポートを備え、複数のハードディスクを接続できたが、新製品では小型化を優先し、USBポートは1つだけ(USB 2.0)となった。一方で、新たにSDカードスロット(SDHC対応)を搭載し、SDカードをクラウドストレージとして活用できるようになっている。このほか、インタフェースとしてLANポートを備える。
個人向けクラウドサービスとしては、Dropboxなどをはじめとする“容量制限付きで無料で使える”サービスがよく知られているが、Cloud Enginesのダニエル・プッターマンCEOは、「クラウドでコンテンツを制限のない形で入手できるようにする」ことをビジョンとして掲げる。デバイスさえ購入すれば、自宅のハードディスクの容量が許すかぎりコンテンツを共有できるのがPogoplugの強みだ。Pogoplugはこれまで全世界で100万台を販売し、クラウド化されたデータの総量は150Pバイトに上るという。
プッターマン氏はさらに、利用者にクラウドの「選択肢」を提供することも必要だと話す。自宅のハードディスクをクラウド化できるのは便利だが、ハードディスクの故障や思わぬネットワークトラブルでアクセスできなくなる可能性も考えられる。「コンテンツによっては自宅以外に預けたいものもある」(プッターマン氏)と考え、そうしたユーザーに向けてPogoplug Cloudを提供する。
Pogoplug CloudはPogoplugデバイスを持っていないユーザーも利用できるオンラインストレージサービスで、無料で5Gバイトまで利用できる。2012年3月31日までにPogoplugのデバイスを購入し、サービスのアクティベートを行ったユーザーには、初年度のみ20Gバイトまで無料で提供する。ユーザーは1つの利用者アカウントを通じてPogoplug CloudやPogoplugデバイスを介したクラウドサービスを一括して管理できる。
Cloud Enginesは約1年前からPogoplug製品のリテール販売を始め、取り扱い店舗は2012年夏までに全世界で1万店舗以上になる見込み。日本においてはソフトバンクBBが製品を取り扱い、SoftBank SELECTIONのブランド製品として展開する。
旧製品はITに関心の高い層が主なユーザーだったが、新製品はより幅広いユーザーに訴求していく考え。ソフトバンクBBの倉光哲男執行役員は、Android端末ユーザーが防水やワンセグと同等に「外部メモリへの対応」を重視している同社アンケート調査結果を紹介。クラウドストレージの潜在的ニーズがあるとみて、同社は従来よりもPogoplugの販売体制を強化する考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.