直販系PCメーカーのデスクトップPCは、たいていの場合ディスプレイは別売りであり、標準構成には含まれていない。量販店に並ぶ大手メーカー製のデスクトップPCは、液晶一体型や液晶セットモデルが大半だが、すでにディスプレイを持っているのであれば、直販系PCメーカーで本体のみを購入することにより、ディスプレイ分の予算を節約したり、マシンスペックの底上げに投資できるのが利点だ。
ただし、ディスプレイもあわせてそろえる場合は、BTOメニューで追加するか、別途購入する必要がある。当然、予算にはPC本体の価格にディスプレイの価格を足して購入を検討しなければならない。「何をいまさら」という気もするが、こんなことを考えたのには理由がある。
非常に個人的な話で申し訳ないが、春までに家人向けのPCを購入する必要が出てきてしまいインターネットでPCを物色していたら、ディスプレイ込みだと「これはお買い得!」と思えるような製品が少ない気がしたのだ。例えば、直販サイトを眺めて「かなりハイスペックなのに9万円を切るなんて安いなあ」と思っていても、最終的にディスプレイまで含めてしまうと最初の印象よりもだいぶ高価に感じてしまう、というケースが多々あった(家人向けのPCということで、できるだけ安く抑えたいという気持ちが強かったのも一因だが……)。
家人向けPCの条件を簡単にまとめると、「フルHDで23型以上のディスプレイ込み」(持ち運ぶ必要はなく、画面は大きいほうがいい)、「Core i7などそれなりに高いスペック」(一通り何でもできる構成)、「10万円以下の手ごろな価格」(予算は絶対条件)の3つ。少しワガママな要求だが何とかなるだろう、と思っていたものの、ディスプレイ込みとなるとなかなか条件にあうPCが見つからず困っていたのだ。
そんな折り、筆者にとって非常にタイムリーなタイミングで、液晶ディスプレイとのセットモデルがマウスコンピューターからリリースされていた。「今後の購入予定もあるので実際にチェックしてみたい」と、無理を言って送ってもらったのが、今回紹介するLUV MACHINESシリーズの「Lm-i735X-P23S」だ。
液晶セットモデルとは言え、安いだけが取り柄のパネルでは購入意欲も半減してしまう。そこでまずはじめに、付属のディスプレイをチェックした。
Lm-i735X-P23Sについてくるのは、iiyamaブランドの23型ワイド(1920×1080ドット)モデル「ProLite X2377HDS-B」だ。Advanced Contrast Ratio機能により最大500万:1(パネルのスペックは1000:1)というハイコントラストを実現し、応答速度をオーバードライブ機能によって最大5ms(5段階)まで改善できるほか、上下/左右178度という広視野角を確保。また、バックライトに白色LEDを採用し、3つのエコモードも搭載するなど省エネも十分配慮されている。
表示モードは、標準的なモードに加えて、文書閲覧に向く「テキストモード」、静止画や写真閲覧に向く「風景モード」、すばやい動きでも残像の少ない「ゲームモード」、映像再生に適した「映画モード」を持ち、それぞれ簡単に切り替えられる。入力系統はHDMI、DVI、アナログRGB、そして小さいながらもステレオスピーカーを内蔵する。目視の印象でも十分なレベルの画質だし、搭載されている機能も多く、“使える液晶ディスプレイ”だと感じた。
ディスプレイは十分に及第点――それならPC本体はどうだろうか。続いて評価していこう。
Lm-i735X-P23Sは、LUV MACHINESシリーズ用のケースに、Intel H61 Expressチップセットを採用したmicro ATXマザーを搭載する。マザーボードはマウスコンピューター向けにカスタマイズされたECS製の「H61H2-M5」だ。CPUは“無印”のCore i7-2600(3.4GHz)だが、無印とはいえ4コア(8スレッド処理)で、Turbo Boost時にはクロックが最高3.8GHzまで跳ね上がる。現在でも十分にハイスペックなモデルといえる。なお、BTOではCore i7-2700Kも選択できるようになっている。
メインメモリは、PC3-10600の4Gバイトモジュールが2つのスロットにそれぞれ装着されて合計8Gバイト。64ビット版のWindows 7 Home Premiumを快適に動作させるのに十分な容量だ。HDDは標準では500Gバイト(7200rpm)、光学ドライブはDVDスーパーマルチという構成になる。HDDの容量がテラバイトクラスでないのは若干気になるところだが、将来的に大容量HDDの価格が下落したら増設すればいいだろう。
拡張スロットはPCIExpress x16スロットが1基に、x1スロットが3基という構成だ。このx16スロットにNVIDIAの「GeForce GTX550 Ti」(メモリ容量は1Gバイト)を積んだグラフィックスカードが搭載されている。ミドルレンジのGPUではあるが、DirectX 10までの3Dゲームなら余裕でプレイできる性能を持つ。
拡張スロット以外のインタフェースは、本体前面側にUSB 2.0×2とヘッドフォン出力、マイク入力が並び、本体背面はUSB 2.0×6、USB 3.0×2、ギガビットLAN、サウンド関連のジャックにディスプレイ用のDVI-DとアナログRGBとなっている(ただし、ディスプレイ用のコネクタはグラフィックスカードの端子を利用するため、背面I/Oパネル部分のポートは使わない)。電源ユニットは500ワットと、この構成なら安定動作する容量だ。
いくつか気になった点を挙げると、同社の製品ではめずらしく標準でマルチカードリーダー/ライターが搭載されていないこと。また、ディスプレイ出力用にDVI−HDMI変換アダプタが付属していることだ。液晶ディスプレイにはHDMIケーブルが標準で付属してくるのだが、グラフィックスカードの端子はMini HDMIポートとなっている。HDMI−Mini HDMI変換アダプタがあれば音声まで含めて1本のケーブルで済むので、セットに含めてもらえるとなおよかったと思う。
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