ジャストシステムの「ATOK」を搭載したメモアプリ「ATOK Pad for iOS」(旧ATOK Pad for iPhone)が2月3日に公開された。ATOKといえば日本語入力環境の代表格。その変換精度や推測変換の使いやすさは、PC USERの読者なら改めて説明することはないだろう。
2010年に登場した「ATOK Pad for iPhone」は、iPhoneでATOKを使えるとあり非常に注目を集めたアプリだ。アップルの方針からアプリでの提供(ATOK Padで入力した内容をほかのアプリに受け渡す形)にはなるが、英語の予測変換やEvernoteとの同期機能など精力的にバージョンアップを重ねており、ATOK Padと連携するアプリも増え続けている(実はATOK Pad初の連携アプリが「ITmediaアプリ」だったりもする)。WindowsやMacでATOKを使っているユーザーの中にはiPhoneでもATOK Padを多用している人がいるはずだ。
そのATOK Padが「ATOK Pad for iOS」と名前を改め、バージョン 4.0.0で正式にiPadに対応した。具体的には、メイン画面をiPadの広い画面を生かしたレイアウトにし、タグ、メモのタイトルリスト、メモの内容が一覧できるユーザーインタフェースを採用している。最大3ペイン表示になるため、メモの数が膨大になっても階層を行ったり来たりすることがなくなり、目当てのメモをすぐに探し出せる。また、ここで設定したタグはEvernoteのタグと同期するため、適当に書き散らかしたメモを管理するのが楽になった。
一方、親指入力用の「テンキーボード」を自由に配置できるようになったのもポイントだ。両手用のQWERTYキーボードだと入力する際の姿勢に制限があるが、テンキーボードならiPadを両手で持ち、立った状態でもメモを取ることができる。特にテンキーボードの位置を自由に動かせるようになったことで、ソファに寝そべってテレビを見ながら(腹の上に置いたiPadに)フリック入力で文章を書く、というとても素敵な作業環境が実現する(仕事の効率化という点では疑問だが)。
実際に試してみたところ、最初はiPadをホールドする右手の近く、つまり画面の右下にキーボードを置いていたのだが、これだとiPadの画面が広いために、かえって入力している文章からキーボードまでの視線移動が大きくなってしまいやや使いづらいと感じた。個人的には、入力している文字の高さに近い位置にテンキーボードを移動すると入力しやすかった。iPadの画面に対してキーサイズが小さめだが、これ以上サイズを大きくするとiPadをホールドしたままでは指が届かなくなるので仕方のないところかもしれない。
もう1つ、辞書引き機能に対応したのも目を引く。単なるメモ書き程度であればその段階で単語の意味を正確に調べる必要はあまり感じないが、Bluetoothキーボードを使ってiPadとATOK Padで最終的な原稿にまで仕上げる、といった用途なら重宝しそうだ。ただ、辞書引き機能に対応したことで、ATOK Pad for iOSの対応OSは最新のiOS5になっている。
以上、iPadに対応したATOK Pad for iOSを駆け足で紹介してきた。ノートPCの代わりにiPadとモバイルキーボードを持ち歩いている人にとって、高度な日本語変換機能を持つATOK PadのiPad対応は朗報だろう。また、以前購入してインストールしたけど使ってなかったという人も、既存ユーザーは無料でバージョンアップできるので、これを機会にもう1度試してみてはいかがだろうか。
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