“非同期”がSnapdragonの強み、最新「Snapdragon S4」のデモも実施――QualcommMobile World Congress 2012

» 2012年03月02日 09時06分 公開
[田中聡,ITmedia]

 スマートフォンやタブレットが普及するにつれて注目を集めるようになったのが「プロセッサー」だ。処理性能やバッテリー性能は、プロセッサーの種類、クロック数、コア数などに大きく左右される。携帯電話からスマートフォンまで幅広くチップセットを開発しているQualcommは、Mobile World Congress 2012で「Snapdragon」のパフォーマンスを示すデモを実施していた。

 スマートフォン向けのプロセッサーはSnapdragonのほかに、NVIDIAのTegraやTexas InstrumentsのOMAPなども提供されているが、Snapdragonならではの特長は、デュアルコアにおいて複数のコアが「非同期」で動くこと。他社のデュアルコアCPUの場合、例えば1つのコアが1GHzで動くと、もう1つのコアも連動してクロックが上がる仕組みになっており、必要な分だけコアを動かしてもう1コアを寝かせるといったことはできない。Snapdragonでは各コアが独立して動作するので、1つのコアにつられて片方のコアが動くことがなく、消費電力の低減につながる。デモではQualcommの最大1.5GHzデュアルコアCPUと他社のデュアルコアCPUを搭載したスマートフォンでブラウジングをする際の省電力を比較し、Snapdragonの方が3割ほど省電力を実現していることが示された。なお、ドコモのXiスマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」「Optimus LTE L-01D」「MEDIAS LTE N-04D」はデュアルコアCPU搭載のSnapdragon(APQ8060)を採用しており、この非同期の動作を実現している。

 さらに、Qualcommは1.5GHzのデュアルコアCPUを搭載した「Snapdragon S4」(MSM8960)を発表しており、MWCでも発表されたHTCの「HTC one XL」やパナソニック モバイルの「ELUGA power」などへの採用が決まっている。従来のSnapdragonは「Scorpion」と呼ばれるCPUを採用していたが、Snapdragon S4ではCPUが第2世代の「Krait」に進化し、処理性能が向上している。さらに45nmプロセスから28nmプロセスに微細化したことで低消費電力化にもつながる。Snapdragon S4はLTEモデムも内蔵しているので、アプリケーションプロセッサとの一体型として提供可能。一体型のメリットは「チップ同士を結ぶ必要がないので、処理能力向上につながる」(クアルコムジャパン広報 野崎孝幸氏)こと。デモでは4つのコアが独立して動いている様子が、各コアのクロック数とともに紹介された。

※初出時に「MSM8960」のCPUコア数が誤っていました。お詫びして訂正いたします(3/3 13:11)。

photophoto 各コアが非同期するSnapdragonの方が、3割ほど省電力を実現している(写真=左)。クアッドコアCPU搭載のSnapdragon S4で、4つのコアのクロック数を表示(写真=右)

 このほか、Snapdragonの性能を示すべく、Snapdragon S4(デュアルコア)をAndroid向けに最適化して搭載した端末と、最適化していない端末で動画を再生するデモも実施。前者の最適化された端末の方が、フレームレートが2倍以上高くスムーズに再生できていた。この最適化は従来のSnapdragonでも実施していたこと。「Snapdragonの性能を最大限実現するには、ハードだけでなくソフト側でのカスタマイズが必要」と野崎氏は話していた。

photo 画面のフレームレートが示すように、Snapdragon S4を最適化して搭載した端末の方がスムーズに動画を再生できる

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