前回紹介した真空管ヘッドフォンアンプ「PA-10」と同サイズの卓上デジタルアンプがTrends Audio「TA-10」だ。
TA-10は、76(幅)×150(奥行き)×46(高さ)ミリのコンパクトなボディにまとめ上げられた、デスクトップ向けのステレオパワーアンプだ。Class Dアンプと同等の電源効率とClass ABアンプに匹敵する原音再現性を両立するという──“Class T”とうたうパワーIC、Tripath Technology「TA2024」を採用する。
その出力は15ワット×2(4オーム)。デスクトップ向けの小型モデルとしてはなかなかのスペックだ。また、アンプ部と電源部を分離した内部設計とともに、金メッキ処理済みRCA入力端子、バナナプラグ対応のスピーカー端子、アルミ素材を用いた金属ボディなど、サウンドクオリティと所有欲の向上に対するこだわりが感じられる。同時に過電流保護機能や高温保護機能なども搭載し、当然ながら安全性にも十分な配慮がなされている。
その外観は、PA-10と同サイズでデザインのイメージも同じ。積み重ねて設置すると、まさにミニコンポ的なスタイルとなる。この小型コンポーネントサイズは実際に机上で使ってもかなり扱いやすい。
また、本機は単体パワーアンプながらボリュームコントロールを搭載することもありがたい。このため、iPodやウォークマンなど、ポータブル音楽プレーヤーとともに使うシンプルかつ高品位志向なデスクトップサウンドシステムを望むなら(別途RCA接続ケーブルは必要だが)本機とお気に入りの(一般的なパッシブ)スピーカーだけでスッと構築することもできる。入力はアナログRCAの1系統のみだが、プリアンプやセレクター必要としない人にとって、シンプルなスタイルが意外にありがたかったりする。
もちろん、2系統のアナログRCA入力を備える前述した真空管ヘッドフォンアンプ「PA-10」と組み合わせてもよい。このシステムにおいては、内部に用意するジャンパースイッチでボリュームコントロールをバイパスすることも可能となっている。PA-10や、ボリューム調整が可能なプリアンプやセレクタを使うのであれば、音質傾向のさらなる向上のためにもバイパスしたほうがよさそうだ。
さて、本機はボディサイズが小型なので端子類がある背面はかなり込み入っているように見えるが、実利用における間隔は十分確保されている。隣り合うバナナプラグが接触することはなく、比較的太めのRCAケーブルも使用可能だった。背面にある電源スイッチだけはできれば前面パネルにあってほしいが、PA-10を含むシリーズ共通で背面にあるところを見ると、別に電源ユニットを用意しつつ、そちらで電源制御を行うようなシステム展開を前提としているのかもしれない。本国のWebサイトによると、確かにTrends Audio製品を3台接続できる専用電源を含めたセットシステムを用意するようだ。PA-10とTA-10をセットで使うなら、この手のものが出るまで待つか、……より簡単にするならスイッチ付きの電源タップを利用してもいいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.