“Kepler”世代のGPUでは、ビデオエンコードエンジンがTegra3に内蔵されたエンコードエンジンをベースとする“NVENC”に進化した。アルベル氏は、新しいエンコードエンジンを「数ワットの消費電力で1080pのエンコードを4〜8倍速で実現できる」と説明する。
また、GeForce GTX 680では1枚のグラフィックスカードで最大4台のディスプレイに画面出力ができるようになる。リファレンスデザインのグラフィックスカードには、2基のデュアルリンクDVI-IとDisplayPort(1.2準拠)、HDMI(1.4a準拠)を装備し、3画面を用いる立体視表示もサポートする。なお、HDMI 1.4aはいわゆる“Fast HDMI”にも対応し、最大3840×2160ピクセルの4Kディスプレイ表示もサポートする。
NVIDIAは、GeForce GTX 680を搭載したグラフィックスカードのリファレンスデザインでも、さまざまな新しい取り組みを行っている。特に、ヘンリー氏が「より静かにゲームプレイを楽しめるよう、ファンの素材やヒートシンク、そして、電源コネクタの形状まで配慮した」というように、オリジナル設計のパーツを多数採用している。NVIDIAのハードウェアエンジニアによれば、電源コネクタは“3階建て”構造にして、基板エリアを有効に活用できるようにしたほか、ヒートシンクのカードエッジ側を斜めにすることで、より効率的な排気を可能にしたと説明する。このような工夫によって、GeForce GTX 680のノイズレベルは46dBAと、従来のハイエンドグラフィックスカードと比べて5dBA以上の静音化を実現している。
新世代のGPUアーキテクチャ“Kepler”を採用する最上位モデルの「GeForce GTX 680」だが、そのチップサイズはGeForce GTX 560 Tiよりも小さくなり、米国の実売予想価格は499ドル(4万2000円前後)となった。しかし、日本の流通関係者によれば、国内における実売予想価格は6万円をやや下回る程度の“プレミア”がつくといわれている。
そのパフォーマンスは別記事を参照していただくとして、「史上最速、かつ、最も電力効率のよいGPU」(ヘンリー氏)として開発したGeForce GTX 680と“Kepler”アーキテクチャが、今後どのように展開されていくのかは、実売価格の推移も含めて注目したい。
なお、NVIDIAは一部でKeplerアーキテクチャを採用したノート向けGPU「GeForce 600Mシリーズ」も同日発表したが、その詳細については、改めて紹介する。
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