日本で本格展開を開始した「Samsung SSD830」の実力に迫るIntelやPLEXTORのライバル機と比較(4/4 ページ)

» 2012年04月05日 18時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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データパターン/サイズに左右されないシーケンシャルアクセスの強さが光る

 これまでの結果から、SamsungのSSD830は、特にシーケンシャルアクセスに優れたSSDであることが分かる。特に小さめのファイルをまとめて転送するようなシーンでははっきりとしたアドバンテージがある。逆にランダムアクセス(特に書き込み)が連続するような処理は、別の最速クラスのSSDが有利だ。また、データパターンにも左右されない安定的な強さを持っている。

 一方、ランダムアクセスで特に優れているのはIntel 520だ。シーケンシャルアクセスの性能はデータパターンに大きく左右されてしまうが、ランダムアクセスについてはデータパターンにかかわらず優れている。そして、PLEXTOR M3Pはシーケンシャル、ランダムともにバランスのとれた性能を持っており、データパターンにも左右されない。

 このような傾向だったが、日常のPC操作をシミュレートしたPCMark 7のストレージテストではほとんど変わらないスコアになってしまった。トータルの性能はどれも甲乙付けがたいものがある。

 あえて性能面で選択するならば、ポイントの1つに、シーケンシャル性能を重視するか、ランダム性能を重視するか、ということが出てくるだろう。これはユーザーの使い方や好み次第ではあるが、判断する際に認識しておきたいのは「もうHDDの時代やSSDの黎明期とは違う」ということだ。

 HDDが主流だった時代は「ランダムアクセスの高速さ=体感しやすい」あるいは「シーケンシャルアクセスの高速さ=体感しにくい」という見解が、(中上級者の間では)主流だったし、筆者もそう主張してきた。それはランダムアクセスのアクセスタイムに数ミリ秒の差があったからだ。数ミリ秒の差は人間でも確実に体感でき、その数ミリ秒の高速化が使用感の大きな差になっていた。しかし、SSDがここまで高速になった今ではどうだろうか。

 もちろん、比較対象がHDDであれば、やはり最も体感できるのはランダムアクセス性能の違いによるレスポンスの差だろうが、高速なSSD同士の比較ではそう単純な話ではない。0.1ミリ秒を大きく下回る攻防……、これを体感できるのだろうか。「ランダムアクセス性能=体感しやすい」という考え方は、現行の最速レベルのSSDにはもう当てはまらないように思う。単体で使うならば、データのコピー時間などの部分で確実にメリットが実感できるシーケンシャルアクセスのほうが価値があるという見方もできる。

 もちろん、ランダムアクセス性能に意味がないといっているのではない。シーケンシャルアクセスをRAIDで稼ぐことを前提に、少しでもランダムアクセスの速いSSDがほしいというニーズもあるだろう。どちらを重視するにしても、こういった状況の変化は頭に入れておいたほうがいいだろう。

 性能面以外の選択のポイントとしては、信頼性や安心感、使い勝手などだろう。信頼性や安心感という部分は、従来並行輸入品やバルク品しか流通していなかったSSD830の弱点といえたが、国内正規代理店となるITGマーケティングの取り扱いによってその弱点は解消され、逆に強みにもなりそうだ。そして、使い勝手においても、英語版とはいえMagicianが使えるSamsung製SSDは上位の部類にある。今後の製品展開次第では、SSDの勢力図も変化するかもしれない。

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