レノボ・ジャパンが発表したThinkCentreの新製品は、「ThinkCentre M92p/M92 Tiny」「ThinkCentre M72e Tiny」「ThinkCentre M92z All-In-One」の3シリーズだ。“M92z”シリーズは液晶一体型PCだが、“M92”シリーズと“M72e”は、新しいフォームファクタの「Tiny」を取り入れて、容量1リットルのコンパクトボディを採用する。
レノボ・ジャパンによると、オフィスで使うPCに対する省スペース化は、日本だけでなく世界中の市場で要求が高まっており、性能を抑えることなくコンパクトなボディを実現してほしいというこれまでのThinkCentreユーザーのリクエストに応えるためにTinyフォームファクタを用意したという。また、開発コンセプトを紹介する資料に「2011年の震災以降の経験を取り入れ、デスクトップPCのありかたを一から考え直し」と示すように、ユーザーの利用環境を考えた新しい工夫を導入したと説明している。
レノボ・ジャパンは、液晶一体型PCと比べた場合のセパレートタイプデスクトップPCの優位点として、液晶一体型PCは液晶ディスプレイと一緒の提案になるが、セパレートタイプは液晶ディスプレイが選べる柔軟な環境構築を挙げている。その柔軟な環境構築をもとめるユーザーは、PC本体を設置する場所の自由も求めるため、ボディサイズがコンパクトであることが必要だという。
システム構成は、インテルが2012年に投入を予定している第3世代CoreプロセッサーファミリーでvProにも対応するが、その詳細については、現時点で非公開としている。ただし、製品発表会において、レノボ・ジャパンはスペックの一部について明らかにし、CPUはTDP35ワットモデルのCore i3、または、Coore i5を搭載。Core i5搭載モデルの実売価格は8〜9万円台になる予定と説明している。なお、日本では、4月9日に発表したが、ほかの国では5月初旬の発表予定で、さらに、出荷は日本を含めて6月になるという。日本で先行発表した理由について、レノボ・ジャパンは「日本のユーザーにいち早く訴求したいため」と述べている。
ボディサイズも「一辺がゴルフボール4個分」という表現のみで、重さも含めて明らかにしていない。ただ、その用途としてはオフィスのデスクトップクライアントPCとしてだけでなく、デジタルサイネージデバイス用システムやショップのキオスクカウンター用システムなど、組み込み用途も想定している。ボディパネルには100×100ミリ、75×75ミリのVESA規格対応ネジ穴を設けているので、ディスプレイの背面やディスプレイアームへの取り付けも可能だ。
また、コンパクトサイズのボディでも拡張性を確保するため、ユーザーがインタフェースの種類を選べる“オプションポート”を背面に用意する。標準構成でこのポートはブランクになっているが、ユーザーの要望に合わせて、USB 2.0、DisplayPort、無線LAN用アンテナのほか、組み込み市場で需要が依然としてあるシリアルポートのいずれかを選択して搭載できる。
容量1リットルのボディでも高い性能を確保するため、冷却効率を向上させる技術として「Intelligent Cooling Engine 2」(ICE2)を導入した。すでに、ThinkCentreシリーズに導入しているICEのバージョンアップ版で、静音モードと冷却優先モードをユーザーが選択できるほか、ファンに不具合が生じた場合にメールなどでリモートアラームを発信する機能を追加した。
レノボ・ジャパンの説明によると、グラフィックスカードを追加することなく、4台のディスプレイに同時出力できるだけでなく、レノボとインテルの共同開発によって、4台のディスプレイを1台のディスプレイのように使える“モザイクモード”も利用できるとしている。
さらに、本体ごと収納できるドライブベイユニットを標準で用意する。このドライブベイには、ユーザーの用途に合わせて光学ドライブ、HDD、または、バッテリーが搭載可能だ(バッテリーの提供は2012年末の予定)。
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