では試聴しよう。
音色傾向としては、モニター系に近いイメージだ。表現が素直で脚色がほとんどなく、そのぶんダイレクト感の高い演奏を楽しませてくれる。とはいえ、本格モニタースピーカーのような高域側の痛々しさはない。ヴォーカルやギターなどのメイン楽器は解像度感こそ必要十分なレベルにとどまるが、抑揚感の高い表現をもち、しかも普段より1歩前にせり出したかのような、かなりキャラクターの立った歌声・演奏を聴かせてくれる。
ベースとドラムは、あくまでも伴奏という役割に徹している印象。ウーファーユニットのサイズのわりには芯のある低音がボトムライン近くまで伸びているが、ボリューム感をバスレフで補っているためにその主張は弱めだ。しかし、これはこれで聴かせどころをわきまえている。ほどよく良好なバランスで、心地よく楽しめる。
一方、高域の質感は若干気になった。本機が想定するニアフィールド、いわゆる一般ルームでの利用より距離が近いPCオーディオ/机上スタイルだと、声がわずかにかすれ気味になる傾向がある。この傾向はスピーカーから1メートル以上離れれば消え、本来のストレートで力強い表現になる。
というわけで、本機はある程度離れた位置に置くほうが良好そうである。実際、10畳ほどの部屋でも十分フォローできるサウンドボリュームとクオリティは確保するので、デスクトップだけでなく、ルームオーディオ用として……いや、やはりルームオーディオ用とするほうが本来の姿なのかもしれない。
本機はペアで1万4999円である。これは、試聴し終えて“そういえばこんなに安価なのか”と気がついたほどで、実感としてはそれ以上の価格帯のペアスピーカーで聴いていると錯覚していた。このコストパフォーマンスはかなり高いと評価できる。USB DACなどとともにPC+高品位オーディオをはじめたい人はもちろん、ちょっとしゃれた雰囲気のプライベートルーム向けサブシステムを考えている人にも有力な候補になる、低価格ながらも本気度の高いスピーカーだ。
音質評価 | |
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解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
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