「3D」に多少のあこがれはあるが、コンテンツはまだ少なく、多額のコストをかけてまで……。そう思っている個人ユーザーに向け、フラットパネルディスプレイの総合展示会「Display 2012(国際フラットパネルディスプレイ展)」でいくつかの企業がスマートデバイスやPC用「カンタン裸眼3D化キット」の展示を行っていた。
まずは「保護フィルム」スタイルの製品から。日本システムプロジェクトは、張るだけでiPhoneが裸眼3D対応になる「3D Picassoフィルム for iPhone 4/4S」の販売を国内でも開始した。価格は3980円。
よくある液晶保護シートと同じ感覚でディスプレイ面にフィルムを張るだけ、これが大きなポイントだ。3D Picassoフィルムは、偏光フィルム層を含むことで裸眼立体視を実現する仕組み。3D写真撮影アプリ「PicassoCam」、2D→3D変換カメラアプリ「PicassoPhoto」、YouTubeなどの動画配信サイトのサイドバイサイド方式3Dコンテンツを変換できる「PicassoMovie」(いずれもiOS対応/無料)といった対応アプリケーションを用意し、専用フォーマットに変換して利用するのは少し手間だが、ほどよく簡単に利用できる。また、フィルムを張る=張ったまま普段も使うことになるのはデメリットの1つだが、「影響ないことはないが、普段の2D表示も意外に大丈夫。ノングレアタイプのフィルムを張った場合と同程度の印象」(説明員)という。
iPhone 4/4S用とiPod touch用以外に、今後、ノートPC(Let'snoteシリーズなど)用、MacBook用、iMac用、PS Vita用を開発中。液晶パネルの画素サイズや配列に応じて偏光度合いの調整を要するため、基本は専用品になる(仮にサイズは同じでも、他モデル用ではうまく3D効果が出ない)のが製品化における課題という。
裸眼3D対応のLEDビデオウォールや視差バリア方式のグラスレス3Dディスプレイ設計などを展開するニューサイトジャパンも、パララックスバリア方式のフィルムスタイル「裸眼3Dフィルム」を張ったiPad 2、およびレンチキュラー方式の3D化キットを組み込んだ「裸眼3D対応iPad 2プロトタイプ」を公開した。
フィルムタイプは上記の3D Picassoフィルムと似たスタイルで、フィルムを張るだけでサイドバイサイド方式の3Dコンテンツとともに裸眼3Dが楽しめる。一方のレンチキュラーレンズ方式3D化キットは、本体内部に3Dフィルムを組み込んだ仕様によりiPad本来のフラットな表面のまま利用できるのが利点となる。「“新しいiPad”のRetinaディスプレイへの対応は画素の形状やサイズなどiPad 2とかなり違うので、実現はかなり難しい。今後の課題にしたい」(説明員)
ニューサイトジャパンは、“ケーススタイル”でiPhoneを裸眼3D化させるカナダSpatial View製「3Dee slide」の販売も行う。価格は標準キットが3980円、3Dコンテンツ付きモデルが4980円。2012年4月中にAmazonなどの通販サイトで販売するという。
ケースに備わるレンチキュラーレンズ方式の3Dフィルターは着脱が可能。着脱式の機構により、普段の視認性はそのままに「より手軽に3D化」できるのがポイントだ。iOS向けアプリ「3DeeCentral」より3Dコンテンツをダウンロード(有料コンテンツはApp Store決済が可能)して楽しめる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.