求めたのは圧倒的な軽さ――重さ1キロを切る11.6型Ultrabook「LuvBook X」3面カーボンファイバー!!(1/3 ページ)

» 2012年04月26日 11時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

3面カーボンファイバーを採用した985グラムの軽量ボディ

11.6型Ultrabook「LuvBook X」

 マウスコンピューターが満を持して投入する「LuvBook X」シリーズは、11.6型液晶ディスプレイを搭載する同社初のUltrabookだ。正式な製品発表は未定とのことだが、いち早く試作機を入手したので早速見ていこう。

 LuvBook Xの特徴は何と言ってもその軽さにある。携帯性が求められるモバイルノートPCでは、強度と耐久性に優れ、かつ軽量なカーボン素材を採用した例はそれほど珍しくないが(最近ではデルの「XPS 13」がカーボン素材を採用している)、たいていの場合はボディの一部のみで、LuvBook Xのように天面と底面、キーボード面の3面にカーボンを用いたPCはなかったと記憶している。少なくともアルミとガラスという2つの素材を使ってミニマルなデザインを追求した製品が多いUltrabookでは初めてのことだろう。このため、数あるUltrabookの中でもLuvBook Xは一際軽い。

 LuvBook Xを手にとって眺めると、外装を覆う格子状のパターンで、ボディ素材にカーボンファイバーを採用していることが分かる。表面は光沢感のあるUVコーティングが施されており、光源の位置によって繊維の落とす影の方向が変化するため、デザインに立体的な印象を与えている。アルミボディ特有の、触ったときに感じる硬い質感はないものの、見た目はなかなかいい。

カーボンファイバーにUVコート層を重ねているため、外装は光沢感がある。目を近づけると繊維のパターンが見え、奥行きがあるのが分かる。緩やかにカーブしている天板の上部はスモーク塗装されている

底面も周辺部に向かって薄くなっていくデザインだ。こちらも光沢感があり、カーボンファイバーの模様が見える。トルクスネジの頭部は、うっすらとスピンドル加工されている

 液晶ディスプレイを開くと、アイソレーションタイプのキーボードが現れる。キーボードはパームレスト面と完全に一体化されており、各キー部を抜いた型となっている。アルミニウムと比較して、高熱による化学変化で成形するカーボンファイバーは、精密なデザインに向いているとは言いがたいが、軽さを追求した結果としてカーボンファイバーでのユニボディを目指した同社の挑戦は特筆に値する。光沢のある外装とは反対に、さらさらとしたマット調の塗装も好印象だ。手の汗や指紋が付着しやすいという難点はあるが、パームレストに手をのせたときの触り心地もいい。

 なお、液晶フレーム部は唯一グラスファイバー製になっている。同社によると、これはフレーム内部にある無線LANアンテナの受信感度を確保するためとのことだった(カーボンファイバーでは感度が極端に下がる)。フレーム部の表面にはナナメにヘアライン加工が施されており、光の加減で微かにグラデーションを描く。底面のネジもよく見ると頭部にスピンドル加工を施したものを使っており、こうした細かいデザインにマウスコンピューターの本気度が垣間見える。

一体成形のアイソレーションキーボード。この部分もカーボンファイバー製だ(写真=左)。グラスファイバーのフレーム部にはうっすらとヘアライン加工が施されている。液晶フレームの右上部分に磁石が内蔵されており、ディスプレイを閉じると磁力で吸着する仕組み。ボディが全体的に軽いためか、人差し指でディスプレイを開こうとすると本体が浮いてしまう(写真=右)

 試作機の本体サイズは、298(幅)×194(奥行き)×5.5〜17(高さ)ミリと、11.6型クラスのUltrabookとしては標準的なサイズだ。同じ11.6型クラスの「ZENBOOK」や「MacBook Air」と比べても、前者が299(幅)×196.8(奥行き)×3〜17(高さ)ミリ、後者が300(幅)×192(奥行き)×3〜17(高さ)ミリなのでフットプリントはほとんど変わらない。ディスプレイ部の先端を極端に絞り込んでいないため、最薄部の厚さは5.5ミリとやや厚めだが、最厚部は同じだ。

 一方、本体重量はLuvBook Xの約985グラムに対して、ZENBOOKが約1.1キロ、MacBook Airが約1.08キロと95〜115グラムほど軽い。100グラム前後の差は、普段PCをリュックに入れて携帯している筆者にはほとんど分からなかったが、液晶ディスプレイを開いたままPCを手で持ち運ぶという状況であれば体感できる差でもある。1キロを切るという数字的なインパクトもあり、モバイルPCはできるだけ軽いほうがよいと考える人には魅力的に映るだろう。

基本スペックをチェック

 LuvBook Xシリーズは店頭向けモデルと直販モデルで、全4モデルがラインアップされる。下の表を見れば分かるとおり、差別化のポイントは店頭向けモデルがCore i7-2657M(1.6GHz/最大2.7GHz)を、直販モデルがCore i5-2467M(1.6GHz/2.3GHz)を採用している点であり、そのほかの違いはOSやオフィススイート、付属品の種類くらいだ。

LuvBook Xシリーズの主なスペック
製品名 LB-X200S(直販) LB-X200S-Pro(直販) LB-X200S-Pro-B(直販) LBXC700C(量販)
CPU Core i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz)) Core i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz)) Core i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz)) Core i7-2657M(1.6GHz/最大2.7GHz)
メモリ 4GB 4GB 4GB 4GB
データストレージ 120GB SSD 120GB SSD 120GB SSD 120GB SSD
グラフィックス Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000
OS 64ビット版Windows 7 Home 64ビット版Windows 7 Professional 64ビット版Windows 7 Professional 64ビット版Windows 7 Home
オフィススイート なし なし Office Personal 2010 なし
価格 8万9800円 9万4500円 10万9830円 9万9800円

 LuvBook Xの基本システムは、Intel HM65 Expressチップセットをベースに、上記のCPUと4Gバイトメモリ、120GバイトSSDを搭載し、グラフィックスはCPU統合型のIntel HD Graphics 3000を利用する。Ivy Bridgeこと第3世代Coreシリーズが正式に発表された今となっては、最新システムというわけではないものの、現在市場に出ている多くのUltrabookと同水準の仕様だ。

 なお、評価機のSSDは、SandForce SF-2281コントローラを採用したADATA製のXM11を搭載していた。システムやアプリケーションの起動、休止状態からの復帰が非常に速い。移動の合間にちょっと作業をする、といったモバイルPCならではの使い方にぴったりだ。

CPUZの画面。CPUはデュアルコアのCore i5-2467M(1.6GHz)で、4スレットの同時実行に対応するほか、Turbo Boost時は最大2.3GHzまでクロックが上がる。TDPが17ワットの超低電圧版CPUだ(画面=左)。試作機に搭載されていたSSDは、ADATA製のXM11(画面=右)

 インタフェースは、USB 3.0とMini DisplayPortを左側面に、Micro SDメモリーカードスロット(Micro SDXC対応)とUSB 2.0、およびヘッドフォン/マイクのコンボジャックを右側面に並べている。ネットワーク機能は、IEEE802.11a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0で、有線LANは省かれており、店頭モデルは付属のUSBイーサネットアダプタを付属。液晶フレーム部には130万画素Webカメラを内蔵している。

 コネクタ関連はほぼ必要最低限の構成で、メモリーカードスロットが携帯電話で採用例の多いMicro SDというのも珍しい。ただ、この点はデジカメの記録メディアで一般的に使われているSDメモリーカードスロットのほうが個人的にはよかった。人によっては有線LANアダプタやメモリーカードリーダーを持ち歩く必要があり、せっかくの軽量ボディがスポイルされてしまうかもしれない。

 そのほか細かいところでは、キーボード面からインジケータを排除する一方で電源やHDDアクセスランプを左側面に残し、液晶ディスプレイを閉じてカバンに入れていても、すぐにPCの状態を視認できるようにしている点など、デザインに寄りすぎないマウスコンピューターらしい部分が見て取れる。外部出力をHDMIではなくMini DisplayPortにした理由も、店頭モデルにD-Sub変換アダプタが付属することからも分かるように、社内プレゼンなどで使用されるプロジェクターの多くがアナログRGB入力ということを考慮した結果だろう。

本体前面(写真=左)/背面(写真=右)。吸排気を背面側で行っており、ヒンジの部分は排熱の関係からステンレスを採用している

本体左側面(写真=左)/右側面(写真=右)。インタフェースは左右に振り分けている。有線LANを省いた必要最低限の構成で、メモリスロットにMicro SDを採用するなど、ちょっと変わっている。なお、ACとUSB 3.0ポートの間隔が狭いため、大きめのUSB 3.0メモリを使うと干渉してしまう

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