今回の性能評価では、評価用機材がノートPCであるため、デスクトップPC向けのAPUのような検証環境の統一はできなかった。そこで、参考としてSandy Bridge世代のCore i5-2467M(1.6GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大2.3GHz、デュアルコア、TDP 17ワット)を搭載する「IdeaPad U300s」のスコアを参考として挙げる。
PCMark系ベンチマークテストの結果では、SSDの性能が異なるため、Overallは無視するとして、PCMark 05では、CPUで上回り、メモリでわずかに上回り、グラフィックスで2倍以上のスコアを出している。また、PCMark VantageでもHDDを除く各テストで上回った。一方、PCMark 7では、Lightweight、Productivity、Entertainmentの3つで上回ったものの、Creativity、Computationという2項目で下回る結果となった。とくにComputationは約6割のスコアである。
このあたりをSandraベンチマークテストの各項目で個別の性能を確認してみると、まず、CPU Arithmeticでは、Dhrystone、Whetstoneともに及ばないスコアではあるが、大きな差というほどには開いていない。一方、CPU Multi-Mediaでは、Multi-Media Integerで上回るスコアを見せたものの、FloatとDoubleのテストは差をつけられている。.NET Arithmeticでは、CPU Arithmetic同様、Dhrystoneで健闘し、やや上回るスコアを見せた。Whetstoneも、大きな差はつけられていない。一方、.NET Multi-Mediaは、Integerのほか、Double、Float/Doubleでも上回っており、唯一、Core i5-2467Mを下回ったFloatに関しても、大きな差とはなっていない。
Cryptographyでは、AES256で1GB/sの差をつけ上回った。一方、SHA2ではCore i5-2467Mの約5割というスコアだ。MemoryBandwidthは、9.16GB/sとなり、8GB/s台のUltrabookを上回っている。ただし、シングルチャネルのDDR3-1333に対するデュアルチャネルのDDR3-1600の値であって、そういう意味では厳しい結果といえる。
Cache and Memoryでは、1次キャッシュメモリに収まる範囲ではCore i5-2467Mを上回り、32K〜128Kバイトで逆転される。また、2次キャッシュメモリからシステムメモリまでの領域で上回ってくる。デュアルコアのCore i5-2467Mとの比較ではあるが、全体的に見ればデータの帯域も良好といったところだ。
APUであるTrinityで注目したいグラフィックス関連のパフォーマンスでは、やはり、Intel HD Graphics 3000を大きく上回る結果が出ている。MHFベンチマーク「大討伐」では、2242対1309で、Final Fantasy XI Official Benchmark 3でも、Lowで7365対5380、Highで5700対3469という大差だ。加えて、DirectX 11にも対応しているアドバンテージもある。
3DMark Vantageでは、P4568対P1497という圧倒的な差が出た。GPUコンシャスなベンチマークテストで、純粋なGPUパフォーマンスとしてはこの程度の差があると考えてよいだろう。ExtremeではX1942対X527で、4倍近い結果で、GPU負荷が高ければ高いほど差が広がるようだ。とはいえ、統合グラフィックスコアでそこまで高画質設定しても、実質的にはゲームを楽しめるレベルでないため、あまり意味はない。
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