ソニーの考える、「PlayMemories」の今とこれから(1/2 ページ)

» 2012年05月21日 11時40分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 2012年1月のInternational CESや2月のCP+でも大きくアピールされていた、ソニーの「Playmemories」。写真と映像を複数デバイスをまたぎながら活用するというもので、パソコン用ソフト「Playmemories Home」、PlayStation 3用ソフト「Playmemories Studio」、モバイル機器用ソフト「Playmemories Mobile」、クラウドサービス「PlayMemories Online」などで構成される。

photo 同社 デジタルイメージング ネットワークサービス推進部 1課 統括課長の敷田康氏

 しかしながら誤解を恐れずに言ってしまうと、個々のソフトやサービスが利用者へ提供する機能や利便性について現時点では――International CESやCP+といった注目度の高い大型のイベントで大々的に紹介されることに違和感を覚えてしまうほど――目新しさはない。ソニーという大きな企業が、構想として掲げるほどのインパクトには乏しいように感じてしまう。

 International CESでは現同社社長の平井一夫氏(同時は副社長)が説明に当たるなど、同社としてはPlaymemoriesに相当、期するものがあるはずだ。Playmemoriesの「いま」と「これから」について、PlayMemoriesのプランニングや企画運営を担当する、デジタルイメージング ネットワークサービス推進部 1課 統括課長の敷田康氏に話を聞いた。

クラウドは重要だが「ありき」ではない

photo 2012年1月に米ラスベガスで開催されたInternational CESでは、現同社社長の平井一夫氏(同時は副社長)がPlaymemoriesのプレゼンテーションを行った

――クラウドサービス「PlayMemories Online」も開始され、また、多くのソフトには「PlayMemories」の冠が付きました。まずは「PlayMemories構想」とも呼べるものがどのような経緯で計画されたのか教えて頂けないでしょうか。

敷田氏: ソニーとしては、これまでにも写真や映像を扱うソフトやサービスを多く用意してきました。デジタルカメラに付属する画像管理ソフト「PMB(Picture Motion Browser)」やPS3用の動画管理ソフト「Filmy」、写真と動画の共有サービス「Personal Space」などです。

 これらを提供していく中で「ユーザー体験をどれだけリッチなものにするか」を主眼とした際、ソフトやサービスをさらに拡張していくことが必要と判断し、「Playmemories」というカタチでまとめていこうとしたのです。その当時にPlaymemoriesという名称でのブランディングをする計画はありませんでしたし、構想ありきのスタートではありませんでした。

photo 「Playmemories」サイトにて紹介されているPlaymemoriesの概要。

 理想を言えば何かの製品を選ぶ際、「Playmemoriesがあるからソニー製品を選ぼう」となってくれることです。ソニーのサービス体験から抜けられなくなる、そんな状態を作り出す事とも言えます。

――「ユーザー体験をリッチにする」という大きな目標は理解できますが、少し漠然としすぎていると思います。現状、どのようなユーザー体験、ユーザーメリットを提供できているのでしょう。

敷田氏: パソコン用ソフト「Playmemories Home」では、HDDの写真もオンライン(Playmemories Onlineにアップされた)の写真も、UBSケーブルで接続されたデジタルカメラの中の写真もシームレスに閲覧、管理できます。可能な限りシンプルでありながら、自由度の高いUX(ユーザーエクスペリエンス)を楽しんでもらえると思います。

photo パソコン用ソフト「Playmemories Home」
photophoto 画像の場所がカメラ内(写真=左)でもクラウド上でも同様の操作感が保たれている(写真=右)

 スマートフォンについては、その画面サイズと携帯性を生かしてコンテンツビューワーとして使っている人が多く、これからもパーソナルコンテンツを楽しむ機器としての役割は高くなっていくと思います。そのため、iOSとAndroid用のアプリを提供しています。

 ただ、アプリは無線LAN対応サイバーショット「DSC-TX300V」など画像をワイヤレス転送する「Playmemories Mobile」と、クラウドへデータをアップロードする/アップロードした画像を見る「Playmemories Online」と2つがあって、状況としてシンプルではないのでそこは改善していく予定です。カメラから直接クラウドにデータをアップロードして、その後にスマホで見るような体験を提供できるのが理想ですが、まだ障壁が多いのが現状です。

photophotophoto スマートフォン用アプリ「Playmemories Online」からも、クラウド「Playmemories Online」にアップした画像や動画を閲覧のほか、アルバムのシェア、ポストカードの送付などが行える

 クラウドの「Playmemories Online」にアップロードした画像や映像は、パソコンやスマートフォン、タブレットだけではなく、薄型テレビ「BRAVIA」やデジタルフォトフレーム「S-Frame」でも閲覧できます。まだ対応製品は多くありませんが、そこで提供するUXは共通化していくつもりです。閲覧のほか、アルバムの共有、アップロードした写真を使ってのポストカード送付なども行えます。

photo 薄型テレビ「BRAVIA」からの「PlayMemories Online」表示例

 こちらが懸念するのは、撮影した写真や動画がメモリカードやパソコンのHDDに保存されるだけの死蔵状態となることです。それを防ぐためにクラウドの利用を推進していきます。できるだけオンラインに上げてもらって、そこからユーザー体験を広げていく方向にしていきたいのですが、オンラインに上げないでも楽しめる、という状況にしたいです。わたしたちはネットワークサービスの専業ベンダーではありませんから、「まずはクラウドに上げてから」とはしません。

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