5月30日、株式会社クレバリーが3億3200万円の負債を抱え、東京地裁に自己破産を申請した。それに伴い、インターネットショップはすべての受注業務を停止し、クレバリー秋葉原店は閉店。日中でも下ろしたままのシャッターには、破産手続きを担当する法律事務所名義の告示書が張り出された。
1996年12月から秋葉原で営業をスタートしたクレバリーは、2012年2月末から3月にかけて、入力デバイス専門店の2号店を含む3店舗を1つに統合。「クレバリー秋葉原店」として再スタートした矢先だったが、3カ月にも満たないうちに幕を下ろすことになった。店舗脇に残された価格表は、現場にとって突然の決定だったことを無言で伝えている。
周辺のPCパーツショップにとっても、クレバリーの破産申請は寝耳に水だったようで、「昨日まではいたって普通だったのに、今朝来たらクレバリーの前に人だかりができていて、『まさか……!』という感じでした」や、「通勤の途中でツイッターで知りました。いや、驚きましたよ」といった声を聞いた。
それでも、不穏なウワサは2012年に入ってからいくらか流れていた様子だ。某ショップは「2月に店舗の移転と統合を決定する少し前は、全店舗閉めるのではという話も聞きました。今回のタイミングでという兆しは見えませんでしたが、慢性的に経営が厳しかったのは知られていましたから。……残念です」と声を落とす。
さらに、別のショップからは「3月ごろから週末に赤字のキャンペーンを打っていましたし、4月ごろには給料未払いのウワサも出ていました」という話もある。
自作PC業界に対する不安を口にするスタッフもいた。「趣味としての自作と、実用品としての自作。ハードの進化にソフトが追いついていない現状、後者のニーズを中心に据えて営業するのはどんどん大変になっている印象です。実用できるマシンということなら、数年前のものでも全然普通に使えてしまいますから。そうではなく、前者……趣味として自分なりにより良いスペックを追求するニーズに応えていくような方向に伸びていかなければと、改めて強く思いました」と語る。
そうした業界全体の“やさしくない現状”を踏まえたうえで、取材の最後にはクレバリーの現場スタッフを思いやるコメントが多々寄せられたのが印象的だ。
2010年11月に廃業したT-ZONE.PC DIY SHOPに所属していた経験を持つある店員氏は「ぼくも痛いほど分かるんですけど、店員としてはちゃんと事前に閉店を伝えて、お客さんに『今までありがとうございました』と言えないと、“次”にいけないんですよ。クレバリーの人たちにカーテンコールさせてあげたかったなぁと思います。あまりに急なことで、無念でしょうね」と話していた。
2月末にクレバリー1号店と2号店、インターネット館が閉店する際は、各店で閉店セールを実施するなどしっかりカーテンコールしていた。それだけに今回の幕切れがいっそう寂しさを感じさせる。
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