6月20日、ファイルメーカーはApp Storeにてデータベースアプリ「Bento 4 for iPad」の販売を開始した。データベースというとなんだか難しそうで身構えてしまうが、“まとめておけば便利な情報”というのは意外と多い。どんなシチュエーションで役立ちそうか、バージョン4ではどんな新機能が追加されたのか、詳しく見ていこう。
いきなりだが、人間とは忘れる生き物である。せっかくいい知識や経験に出会っても、数週間経つと記憶に残っているのはごくわずか。人生とは貴重なデータの積み重ねなのに、それを記録しておかないのはもったいない。
そんなシチュエーションで役立つのが、データベースアプリだ。単なるメモなら「Evernote」などのクラウド系アプリが向いているが、1つの事柄に対して複数の説明を加えて、リストで振り返りたいときにはデータベースのほうが向いている。
行って美味しかった飲食店、作って好評だったレシピ、今まで試したワインのリスト、所有する書籍やDVDのリスト、ダイエットやエクササイズの記録、車やバイクのメンテナンスログ、ガーデニングや熱帯魚の管理、家具の購入日と金額、お中元やお歳暮の履歴……。ちょっとしたときに、以前に残しておいた記録が役立ってくる。仕事ならもっと必要性に迫られるだろう。顧客リスト、取引履歴、機材リスト、請求書や領収書などの帳票発行など、すぐにデータベースが役立つシチュエーションが思いつく。
ただ、まとめておけば便利なことが分かっていても、データベース作りというのはなんとなく面倒で、始める気が起こらないという人もいるはず。アプリの画面が機械的で入力しにくかったり、デザインが気に入らなかったり、無骨なインタフェースを触っていて使わされている感が強くなってくると、打ち込むのがおっくうになって未入力の件数が増えていく。そうなるとますます入力するのが面倒に……と悪循環に陥りがちだ。かといって、小規模なデータベースは、誰かに頼んで運用してもらうのもコスト的に難しい。
そこでBentoの出番である。Bentoは初めてデータベースに触れる人でもシンプルに使えるように設計された製品で、グループではなく、コンシューマーや個人のナレッジワーカーが使うのを想定している。その名前は、いろいろな料理が分かりやすく入っていて見た目が美しい日本の「弁当」にヒントを得たという(そのまま!)。
Bentoは2008年にMac版が登場し、その後、2009年にiPhone/iPod touch版、2010年にiPad版が追加された。中でもiPad版は、iPhone/iPod touchより画面が広く、マウスではなく指で触って直感的に操作できることもあって、PCの操作に慣れてない人にも向いている。
Bentoを作っているファイルメーカーは、ビジネス向けで定評あるデータベースソフト「FileMaker」を開発/販売している企業で、アップルが100%出資する子会社だ。古いMacユーザーにはおなじみの統合ソフト「クラリスワークス」を作っていたクラリス社がその前身で、1998年にファイルメーカーに社名変更して現在に至っている。ファイルメーカーも、ITに慣れない人でもITのよさを引き出して使えるようにするアップルの血を受け継いでいる会社なのだ。
Bento 4 for iPadのウリは、まずテンプレートにある。連絡先、レシピ、ダイエットの記録、目録、イベント計画、請求に関する情報、生徒リスト、顧客、寄付など、あらかじめ25種類を用意している。名前を見るだけで、だいたい中身が想像できるものなので、探すのにもそう困らない。テンプレートの見た目が趣味に合わなければ、40種類のテーマから別のものを選べる。
テンプレートを選ぶだけで、データを入力する「フィールド」と説明文や区切り線といった「オブジェクト」が埋められた状態で現れるので、あとはいきなり入力していけばいい。分からないフィールドは無視して、とりあえず必要そうなものだけ埋めていけばOK。
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