定番Ultrabookが“フルHDのIPS液晶”で劇的進化――「ZENBOOK Prime UX31A」を徹底チェックする2代目に死角なしか(1/5 ページ)

» 2012年07月10日 00時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Ultrabookの代表的なシリーズに“Prime”モデルが登場

IPS方式の13.3型フルHD液晶ディスプレイを搭載したUltrabook「ZENBOOK Prime UX31A(UX31A-R4256)」

 UltrabookにもフルHD液晶の恩恵を――。

 ASUSTeK Computerから、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを搭載するUltrabook「ZENBOOK Prime」が登場した。13.3型/11.6型のUltrabookとしては突出した高解像度表示に対応し、かつ広視野角のIPSパネルを使用するというイノベイティブ(革新的)な意欲作だ。

 ASUSの「ZENBOOK」といえば、美しいデザインと圧倒的なコストパフォーマンスで第1世代のUltrabookをリードしてきた存在といえる。2012年6月23日、そのZENBOOKブランドがリニューアルし、新モデルが発売された。先代機からデザインイメージをそのまま引き継ぎつつ、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを採用することで、いわゆる「第2世代Ultrabook」へと進化している。

 それとともに、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを装備したモデルを「ZENBOOK Prime」として、13.3型(UX31A-R4256)と11.6型(UX21A-K1256)のそれぞれに用意してきた。しかも、価格はそれぞれ13万9800円、12万9800円とリーズナブルで、実に興味深い製品となっている。

 今回はそのZENBOOK Primeの13.3型モデル「ZENBOOK Prime UX31A(UX31A-R4256)」を入手したので、性能、バッテリー駆動時間、使い勝手などを検証していこう。

高解像度かつ広視野角・高輝度の液晶ディスプレイを見よ

IPS方式の13.3型フルHD液晶ディスプレイは明るく、発色もよい

 ZENBOOK PrimeのPrimeたる所以(ゆえん)は、液晶ディスプレイにある。ZENBOOK Prime UX31Aは、13.3型ワイド画面でフルHD解像度(1920×1080ドット)という他のUltrabookを圧倒する高解像度に対応していることに加えて、IPSパネルを採用しており、上下/左右178度の広視野角、350カンデラ/平方メートルの高輝度をうたう。

 フルHD解像度の魅力は、WindowsノートPCで標準的な1366×768ドットに比べて、約1.97倍以上もの広大な作業領域にある。Webブラウザやオフィスアプリケーションなどで複数のウインドウを同時に開いて作業する場合に、ウインドウの切り替えや開閉が最小限で済むのは便利だ。クリエイティブアプリケーションのパレットを作業エリアの周囲に置くにも都合がよい。

 また、フルHDの映像コンテンツを本来の解像度で楽しめるのもポイントだ。13.3型ワイド画面でのフルHD解像度は高密度で表示されるため、精細感が増し、高解像度の動画や写真、文字などを美しく表示できるというメリットもある。

画面解像度の比較。左が1600×900ドット表示の「ZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)」、右が1920×1080ドット表示の「ZENBOOK Prime UX31A(UX31A-R4256)」だ。13.3型Ultrabookとしては高解像度の1600×900ドットに比べても、フルHDの解像度は精細で一覧性が高い

 もっとも、画面サイズが同じままの高解像度化はすべてのユーザーに対してメリットがあるわけではない。高解像度になればなるほどドットピッチが狭くなるため、OSの標準設定ではアイコンや文字は小さく表示されてしまう。そのため、表示設定を変えずに無理なく利用できる1600×900ドットや1366×768ドットのほうを好むユーザーもいる。

画面上の文字サイズは「中(125%)」に設定されている

 ZENBOOK Prime UX31Aでは画面上の文字サイズが「中(125%)」に設定してあるため、初期状態で画面上の文字が小さすぎてしまうことはない。ただし、高解像度での利用を想定していないアプリケーションなどを追加すると、表示のバランスが崩れてしまうこともあるので注意が必要だ。

 もちろん、文字サイズを「小(100%)」に設定すれば、画面上の文字がかなり小さくなる一方で、フルHDの広大な作業領域を最大限に利用できるが、視力がよい若いユーザーでないと、常用するには少々厳しいかもしれない。

 それでも、これまでの薄型軽量ノートPCにおいて、フルHD解像度の選択肢を提供しているのはソニーの「VAIO Z」くらいで、ほとんど選択肢がなかった。ZENBOOK Primeのように、リーズナブルな価格のUltrabookでフルHDに対応する製品は異例中の異例であり、他のUltrabookに対する大きなアドバンテージといえる。

 さらに、ZENBOOK Prime UX31Aの液晶ディスプレイは高解像度なだけでなく、IPS方式の液晶パネルならではの広い視野角を実現し、輝度が高いことも大きな魅力だ。

 視野角については、一般的なTNパネルとの差は歴然としており、画面を見る角度を変えても色味が変わらず、ディスプレイ全体を美しく見渡せる。この広視野角はVAIO Zにもないアドバンテージだ。輝度に関しては、最大輝度設定でとても明るいのは当然として、最小輝度(10段階中)でも十分実用に足る。エンターテインメントコンテンツの鑑賞、クリエイティブアプリケーションなどとの相性も抜群だ。

液晶ディスプレイのヒンジの角度は約137度まで開く。

 なお、液晶ディスプレイのヒンジの角度は約137度まで開く。視野角が広いことから、画面を正面から見なくても視認性は高いが、ディスプレイの可動範囲は十分だ。先代の「ZENBOOK UX31E」ではヒンジの固定がゆるい個体もみられたが、今回入手した機材に関していえば、ヒンジがゆるいという印象はなく、しっかりとしていた。

 液晶ディスプレイ表面は半光沢のような仕上げで、照明や外光などの映り込みは少ない。色温度も少し暖色系ながら正常に近く、高解像度ならではの精細感と相まって、非常に美しい。ノートPC用の液晶ディスプレイにしては色域も広いほうで、発色も良好だ。

 今回は比較用として、従来と同じ1600×900ドット表示の液晶ディスプレイを搭載するノーマルの(Primeモデルではない)「ZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)」も入手したが、表示品質の差ははっきり分かる。こちらも輝度はUltrabookとして水準以上のレベル(目視でMacBook Air 2011 Midモデルと同レベル)にあるが、ZENBOOK Prime UX31Aに比べれば見劣り、色味も青が強く、精細感に欠ける表示に見えてしまう。

発色の比較。左が1600×900ドット表示のZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)、右が1920×1080ドット表示のZENBOOK Prime UX31A(UX31A-R4256)だ。ZENBOOK UX31Aの液晶は青っぽいが、ZENBOOK Prime UX31Aの液晶は色温度が標準的な6500Kに近く見える。色域も視野角も後者のほうが広い

 とにかく、ZENBOOK Primeの液晶ディスプレイは精細さ、明るさ、見やすさ、華やかさ、どれもUltrabookとしては最上位といっていい。“Prime”の名はダテではない。

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