いまあるハードウェアで、ちょっと先の未来へResearch@Intel 2012(1/3 ページ)

» 2012年07月13日 11時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

「こんなの欲しいね」(切実)といいたくなるPC利用の身近な技術

 Windows 8の登場が近いこともあって、注目されていたのが「Always On Always Connected」のコーナーだ。「Always On Always Connected」は、Windows 8でも重要なテーマで、PCが、起動していない状態でもバックグラウンドでネットワークにアクセスして、常に情報のアップデートを行う仕組みだ。スマートフォンやタブレットデバイスでは、すでに利用できる機能だが、これをPCでも可能にするのがWindows 8の課題となる。

Research@Intel 2012のメイン展示会場。入り口から展示場まで、CPUの回路を模した通路が続く。会場は例年のComputer History Museumに比べるとコンパクトだ

 具体的には、PC(Ultrabook)が待機状態のときはS3のスリープ状態にして電力消費を抑えるが、バックグラウンドでは常に通信を行って、送られてくるパケットをフィルタリングして、重要なパケットを受信したときだけCPU側に通知する役割を担うのがNIC(ネットワーク側のコントローラ)となる。実際のところ、ネットワークを飛び交うパケットの多くはブロードキャストを含むノイズで、実際に処理すべき情報は少ない。そのため、非アクティブ状態を維持できるとバッテリー駆動時間が長くなり、連続待ち時間も向上する。このフィルタリングの仕組みを導入することで、Ultrabookのバッテリー駆動時間を大幅に引き延ばせるというのがポイントだ。

Windows 8でも重要な機能となる「Always On Always Connected」。CPUがアクティブのときは、電力消費が大きいため、待機状態ではS3 Stateでスリープに入り、NICがパケットのフィルタリングを行い、重要なパケットを受け取ったときのみ、CPUをアクティブにして処理を実行する

これがあれば、混乱していたから議事録がない、といえなくなる

 「Smart Meeting Assistant」は、会議記録システムの一種で、発言内容をリアルタイムで文字に変換し(キャプショニング)、さらに文字化された発言情報を翻訳エンジンにかけてリアルタイム翻訳する機能も備える。Smart Meeting Assistantのデモは、過去のR@Iでも行っていたが、今回は、「複数人の音声を同時に聞き分けて別々に記録」「キャプション化は現在のノートPCだけで処理可能」という手軽さと高い精度を実現していた。現在は英語のみの対応だが、簡単なエンロール処理で人物ごとの聞き分けが可能なので、いろいろと応用が利きそうだ。多人数が参加するミーティングや、インタビューなどで、議事録の作成やインタビュー音声の文字化(この作業は、録音にカセットテープを使わなくなった今でも“テープ起こし”と呼んでいる)の手間が省けるので、作業の効率が大幅に改善することが期待できる。

「Smart Meeting Assistant」のデモは、以前のR@Iでも何度か行っているが、今回のデモは、複数の人の音声を聞き分けてリアルタイムでキャプションを表示し、さらに記録できるシステムに進化した。これに翻訳エンジンを組み合わせることで、リアルタイム通訳も可能になるという

 PCだけでなく、スマートフォンを利用したデモにも興味深いものが多い。「屋内位置情報システム」では、GPSの信号が届かない屋内でも、少ない誤差で位置を把握しようというものだ。具体的には、Wi-Fiの位置情報システムを使いつつ、デバイスに内蔵した各種センサー(加速度センサーやジャイロ、磁気センサーなど)を使って、屋内の地図データから1〜2メートル程度の誤差で正確な場所を求める仕組みになる。いろいろな応用も考えられていて、屋内でのウォークナビゲーションのほか、施設での作業指示など、小型デバイスを使って人の挙動をシステム側で正確に把握できるようになる。

屋内ナビゲーションシステム。屋外ではGPSと3GやWi-Fiを組み合わせたA-GPS方式で比較的短時間に位置を特定できるが、屋内ではGPSは利用できず、ちょっとの誤差が大きな“ずれ”となってしまう。そこでWi-Fiのロケーションシステムと各種センサー(加速度センサーや磁気センサー)を使って位置の補正を行うシステムを提供する

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