OS X Lionのリリースから1年と4日、ついに待望の次期Mac OS「OS X Mountain Lion」がリリースされた。
前バージョンの特徴は、アップルを時価総額で世界トップに押し上げた「iPhone」や「iPad」の特徴をMacに取り入れ、パソコンをiOS機器主流時代にあわせた機械に進化させようというものだった。名前に「Lion」の4文字を残した最新リリース「Mountain Lion」はこの流れを引き継ぎ、さらに洗練度を深めたOSとなっている。
新機能は200以上、派手に見た目が変わったところが少ないので、この記事で紹介する画面だけを眺めた人は「あまり変わっていないな」と思うかもしれない。だが、Moutain Lionを使い始めて数分も経つと「そう、ここ! こんな風になったらいいな、って思っていた!」「なるほど、ここはこう変えてきたのか」と、Lionを使いこなしている人ほどうなりたくなる変化が満載で、満足度は高い。
2012年、マイクロソフトはWindows 95以来最大規模の変更を加え、同社のスマートフォンである「Windows Phone」の見た目と特徴を取り入れた「Windows 8」をリリースし、OSとともにマイクロソフトの戦略そのものも再創造をしようとしている。奇しくも同じ年に、一足早くパソコン用OSにスマートフォン的特徴を取り入れたアップルは、見た目の変化は最小限で、洗練の深さは最大限というアップグレードで勝負をかけた。
この「洗練」という部分がOSを使い続けるウチにジワジワときいてくる。使い始めてしばらくは、そこかしこに見える気の効く改良に感心し続ける状態が続くが、それが落ち着いたころに、久しぶりに旧バージョンを使ってみると、これまでは優秀に見えたOS X Lionが「ああ、ここも足りない」「これもLionでは実現していなかったのか?」と、逆に驚かされる。
OS X Mountain Lionは、当たるか外れるかの“大ばくち”ではなく、1度でも体験したら元には戻れなくなる、ものすごく納得感の大きな進化をもたらすOSなのだ。
OS X Mountain Lionにアップグレードすると、あなたのライフスタイルがどんな風に変わるのか、ある1日の風景を描いてみよう。
朝、目を覚ましてMacに向かう。今日は忙しい1日になるけれど、きちんと早起きできた。あまり電話をかけられたり、メールを送られてきても困るので、なんとなくTwitterで忙しいことをにおわせておこう。
そう思ったら、トラックパッドの外側(右)から内側に向かって、指2本をスライドさせる。すると、画面の右端から通知センターと呼ばれる情報一覧が表示される。一番上に「ツイート」というボタンがあるので、これをクリックすれば、Webブラウザすら起動せずにツイートできる。
入力欄が現れたら「fn」キーを2回押して「今日は移動も多くて忙しいので、あまりメールの返事とかも書けないかも」とMacに向かってしゃべり、もう1度「fn」キーを押す。
すると、話した通りの文面が音声認識され、入力欄に表示される。ちょっとした文章の入力なら、キーボードより音声のほうが圧倒的に楽。ちなみに、ここまでかかった時間はMacに向かい始めてからほんの数十秒だ。
その後、Mailに切り替える。Power Napという機能に対応したMacを持っていれば、スリープ状態にしておいてもバックアップやメール受信を続けてくれているため、Mailに切り替えた後「受信」ボタンを押さなくても、夜中に届いたメールはすでに受信箱に入っている。
全部のメールに目を通す時間がない場合は、「VIP」と書かれたフォルダだけのぞけばいい。家族や仕事の取引先、同僚などこの人のメールだけは見逃すわけにいかない、という相手だけをVIP登録しておくことで、その人たちからのメールは自動的にVIPフォルダにも表示される。新規取引先の相手をVIP登録するのも簡単で、受信メールの差出人をクリックして、メニューからVIP登録を選ぶだけだ。
その後、Webブラウザに切り替えたり、添付ファイルをプレビューで見たりしている間もVIPからメールが届くと(あるいは全メールに設定することもできる)、画面の右上に「通知ウィンドウ」が現れ、差出人と件名や本文の一部が表示される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.