連載
■登場人物の紹介
――乙女(文系女子)
デジタル製品に興味はあるが、細かいスペックの話をされるとよく分からない。結局、デザイン重視で選びがちだが、どうせ買うなら、きちんと製品の性能を理解して自分に合ったいい物を買いたいという思いがある
――ムサシ(理系男子)
自称デジタル人間。スケジュール管理に紙なんて論外。デジタル製品のことなら、細かいICの隅々まで、何でもこい。基本的には物静かだが、得意分野となると熱く語り始める。女の子に「すごい!」といわれると、やる気が出る
とある日の夜中、乙女ちゃんは理系男子・ムサシくんに突然呼び出された。あまりの唐突さにちょっぴりどきどきしている自分に気づきつつ、彼女は待ち合わせ場所に向かって走る……。呼び出しの理由はいかに。
はぁはぁ……こんな夜遅くにどうしたのー?
見せたいものがあってさ……。ちょっと付き合ってくれないかな。
(ドキッ)え、うん。あんまり遅くなるとあした起きられなくなるから、長くは居られないけれど……どうしたの?
よし、じゃあすぐに終わらす。乙女ちゃん……。
え!? まさか……(ドキドキ)。
これ見て!
ん!? な、何これ! ビルの壁に映像が映ってる!
ふふん。すごいだろ、いいだろー。不思議だろ?
えー! これ、魔法!? ちょっとすごいかも! 見直した!
……見直したって……。あ、ちなみにこの世に魔法なんてものはないからね。じゃじゃーん! これプロジェクターなんだけど、今日思い切って買ったんだ。ポケットに入るくらいの小さいやつが前から欲しかったんだよね。今は、手の中に隠して投影してみたんだ。
……なんだ、魔法じゃないんだ。も、もしかして自慢するためにこんな夜遅く呼び出したの? ……もう帰る。
ま、待て! 悪かった。えーとえっと、ちなみに乙女ちゃん、プロジェクターがこれほど小型にできる理由って知ってる?
……知らない。
ううう……なんだか納得いかないけど、教えてください。
いったん夢中になると周りが見えなくなるムサシくん。夜中に呼び出された理由が、プロジェクターの自慢話とあってはさすがの乙女ちゃんもおかんむり。ここまで来たらせめて技術をしっかり学んで帰るしかない。果たしてプロジェクターの構造を乙女ちゃんは理解して帰ることができるのか。
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