> レビュー		2003年5月28日　11:59 PM 更新

定番デジカメの名にふさわしい完成度
ソニー　サイバーショットDSC-P8（1/3）

	総合評価 8 デザイン・ユーザーインタフェース 8 基本性能 8 各種機能 7 機動力 7 メンテナンス性 8 レイティングポリシー

評価のポイント

デザイン・ユーザーインタフェース

　各社がどんどん小さい製品を出す中、デザイン的なインパクトはなくなって「定番」化しているが、昨年版に比べてさらに小さく薄く軽くなっており、軽快感は増している。ユーザーインタフェースやグリップ感も着実に進歩しており、長年指摘された背面の十字キーが改善されて使いやすくなった点も注目したい。また、今までは中指がフラッシュをふさぎやすい形状といわれたが、今回グリップ部に指をひっかけるパーツがついたことで、そこを使って握ればフラッシュをふさぐこともなくなった。ちょっとしたアイデアだ。

基本性能

　1/2.7型320万画素CCDを搭載したデジカメとしてはクオリティは高い。自然で素直な発色をするし、階調も滑らかだが、コンシューマー向けの製品ならもう少し記憶色系の鮮やかさが欲しいところ。忠実なのもいいが、このクラスの製品を買う多くのユーザーは記憶色重視の鮮やかな発色を求めているはずだ。

　描写力は200万画素だった「DSC-P2」よりは遙かに上でレベルも上がっているが、1/1.8型サイズのCCDを使っていた「DSC-P7」に比べるとややエッジ強調が強めといったところ。上位機種の500万画素機「DSC-P10」と比べると、DSC-P10の方が色鮮やかに出る傾向があり、画質を求めるならそちらを選んでもよさそう。

　ホワイトバランスは強く合わせてくるタイプで、かなり偏った照明下でも白いものを白く合わせるが、その副作用で、同じ場所でも構図を変えただけで色が変わることもある。AFはなかなか高速で、暗いときには補助光も出る。

各種機能

　基本的にフルオート系のデジカメで、凝った撮影は想定されていない。が、7種類用意されているシーンモードを使えば、凝った撮影もできる。風景モードにすれば青空や緑はノーマル時より鮮やかに描写されるし、高速シャッターモードにすると強制的に1/250秒以上のシャッタースピードになるなど、1つ1つのシーンが思い切った作りになっている。動画機能も強化され、640×480ピクセルのフルサイズ動画を秒16コマでメディアがいっぱいになるまで撮れるMPEGムービーVXモードも搭載している。ただ、連写機能は弱く、連写モードにしても2枚まで。そこは残念なところだ。

機動力

　2002年モデルのサイバーショットDSC-P2/P7/P9などに比べるとひと回り小さく薄くなって、より携帯性は上がった。重さも撮影重量で200gとかなり軽く感じる。もっと小さくて高速な機種もあるが、このくらいの大きさ、速さなら十分コンパクトと呼べる。

　速度も悪くない。起動時間こそ実測約2.8秒と最近の高速モデルに比べると遅く、もうちょっと速いと嬉しいが、それ以外は、撮影間隔もAFもそこそこ速いし、全体の操作はキビキビとしていてストレスを感じない。気軽に使うには十分な機動力といえよう。

メンテナンス性

　バッテリは本体内で充電する方式で、インフォリチウムのCタイプを採用。2002年モデルの同タイプバッテリより容量が約15％増加し、電池の持ちも良くなっている。インフォリチウムの良さは常時残り時間が表示されること。あまり電気を食わない作業をしているときは長く、撮影など電気を食う作業をしていると短く表示されるが、かなり目安になる。ACアダプタは以前より小型になって、場所を取らなくなったのは嬉しい。ただ、アダプタの両側から電源ケーブルとDCケーブルが飛び出ているタイプで、ちょっと置き場所には困る。

　記録メディアはメモリースティック。フォーマットに時間がかかるのが難点だが、「メモリースティックPro」を使えば解消できる。

　パソコンとはUSBで接続する。カメラ側の端子はミニBと呼ばれる標準的なもので、パソコンにつなぐ規格はマスストレージクラスかPTPのどちらかを選べる仕組みだ。これはいいが、付属ソフトがいまひとつ使いにくいのは残念だ。

総合評価

　「サイバーショットP8」は、「IXY Digital」「FinePix」と並ぶデジカメ界のベストセラーシリーズ「サイバーショットP」の新型で、2003年のボリュームゾーンである300万画素3倍ズームデジカメとして投入されたもの。2002年までのサイバーショットPシリーズに比べるとかなり進化しており、機能も大きさ・軽さも速さもバッテリの持ちもグリップ感も操作性も、全体が少しずつ良くなっている。特に欠点もなく、定番デジカメの名にふさわしい完成度に仕上がっている。しかし、そろそろ新鮮味は薄れてきた。オシャレでハイテクっぽいデジカメが欲しい、という万人にお勧めできるモデルではあるが、そろそろもうひと味欲しい頃かも。

ベンダー製品担当者からの一言

　よりコンパクトに、高性能に進化したスティックスタイル。スピード性能の向上でサクサク撮れる、スタミナ撮影枚数のアップでバシャバシャ撮れるカメラです。4色のカラーバリエーションでお気に入りのカラーを手軽に持ち歩くことができます。（ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部 蔭下孝樹）

主要スペック

有効画素数	約320万画素
レンズ	39−117mm相当（35mm換算）、F2.8−5.2
ズーム	3倍
最大画像解像度	2048×1536ピクセル
記録メディア	メモリースティック／メモリースティックDuo／メモリースティックPRO
バッテリ	インフォリチウム充電池
サイズ（W×D×H）	108×35.1×51.5ミリ（突起部除く）
重量	約172グラム（本体のみ）/約200グラム（バッテリ、メモリースティックなどを含む）

[荻窪圭, ITmedia ]

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