> レビュー		2003年6月2日　09:00 PM 更新

新PXテクノロジーを採用したコンシューマー向けプリンタ
セイコーエプソン　カラリオプリンタ PX-V700（2/3）

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カラリオプリンタシリーズのデザインを踏襲し、ややコンパクト化されたデザイン

高い耐水性を持つ新PXインクテクノロジーを採用

　インクジェットプリンタの高画質化と高速化は目覚しく、銀塩写真をもしのぐようになっている。その半面、ずっと解決されない問題として残っていたのが「耐水性」や「耐光性」だ。特に耐水性は、長期保存したいデジカメ写真の出力や、雨に濡れる可能性のあるポストカードの出力、屋外掲示用のプリントには重要な性能の一つ。

　この耐水性、耐光性の問題を解決するのが、顔料インクだ。しかし、これまでの顔料インクは粒子が粗く、紙の表面に付着した顔料の凹凸で光が乱反射し、染料インクのような美しい発色が得られないという欠点がある。

　顔料インクの特徴である耐水性、耐光性を生かしつつ、これまでの顔料インクでは出せなかった美しい画像を出力するのが、セイコーエプソンが開発した「PXインクテクノロジー」だ。

　「PXインク」は、顔料インク。ただし、顔料の粒を従来の10分の1程度のサブミクロンオーダーまで細かくし、さらに顔料の表面を樹脂で覆ったものを色剤として採用している。顔料をこのような構成にすることで、ライン画像を滑らかにし、さらに紙の上にのった顔料を樹脂でコートすることで顔料表面の凹凸をカバーして光の乱反射を防止して、発色の良い画像を得ている。

　「PX-V700」に採用されている「新PXインク」は、さらに顔料表面の樹脂の組成をコントロールして疎水部分を増やし、紙の中に点在する撥水性のあるサイズ剤部分にも顔料が乗るように工夫されている。このようにすることで、普通紙に写真やイラストを印字したときに発生する、白い色抜けを防止している。

　顔料の高い耐水性、耐光性、にじみのないシャープな画質と、写真の出力にも耐えうる高画質を両立する新PXインクを、コンシューマー向けA4機に初めて搭載したのが、「PX-V700」である。

幅は47センチで、高さから受ける印象よりは意外と小さい

給排紙を広げた側面。前後に設置面積を要するが、高さには圧迫感がほとんどない

※カメラ位置などの関係で、実際のサイズとは違った見え方になる場合があります

本体背面から給紙し、本体前面のトレイに排紙する、一般的な紙パスを採用

インクタンクは各色独立の独立タンク方式。インクジェットのヘッドは本体に直付けされていて、なくなったインクだけ交換する

写真画質はイマイチだが、普通紙印字は快適スピード

　画質とスピードの実力を検証していこう。まずは、この製品の売り物でもある、普通紙への画質とスピードだ。

　普通紙へのテキスト印字は、全色顔料インクベースで、にじみもなくメリハリが付いて見やすい。若干文字のシャープさに欠けるが、これは標準モードの解像度設定が低いためだと考えられる。きれいモードで出力すると、時間はかかるが、よりシャープなテキスト印字も可能だ。

　グラフの入ったビジネス文書や地図サイトのWebページ印字も、全体的に色みがくすんだ印象はあるものの、やはりメリハリがある画質だ。

　普通紙への出力スピードは、モノクロテキストで1枚あたり約7.8秒、カラービジネス文書で約37秒、地図サイトの出力が約34秒と高速だ。モノクロテキスト出力のスピードは、現在あるインクジェットプリンタではトップレベル。カラー画像の出力も、かなり速いほうである。

[田中裕子, ITmedia ]

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