> レビュー 2003年6月2日 09:00 PM 更新

低価格かつハイスペックで勝負
レックスマークインターナショナル Lexmark X5150(2/2)

レックスマークが投入したハイスペック複合機。実勢価格は2万円以下。それでいて、被写界深度の深いCCDセンサーを搭載しているなど、コストパフォーマンスは高い。

前のページ

複合機市場での躍進に賭ける


 日本ヒューレット・パッカードとともに、比較的早い時期からインクジェット複合機に取り組んできたレックスマークの最新機種。同社は元々、IBM内のプリンタ部門が独立したもので、米国ではインクジェット、レーザーともにかなり高いシェアを持っている。

 そのレックスマークが日本で高く評価されなかったのは、写真画質競争に追随できなかったからだろう。レックスマークも6色インク機を投入するなどして巻き返しを図ったものの、それまでの低価格戦略が裏目に出て、ブランド力を高めることができなかった。そこで本格参入してきたのが、インクジェット複合機のカテゴリーというわけだ。

 米国では日本よりも早くインクジェット複合機市場が立ち上がっていたため、レックスマークは数年前からインクジェット複合機の開発ノウハウを蓄積してきた。その蓄積を利用して製品開発を行うことで、ライバルとの競争で少しでも前に行こうとしたわけだ。

 最新機種の「X5150」は、低価格かつハイスペックで勝負をかけてきた製品である。プリンタ部に関しては水準レベルの4色機(決して性能が低いわけではない)ながら、CCDセンサー採用のスキャナ部を組み合わせた。ボディデザインもモダンで、さらに漢字表示も可能な液晶ディスプレイを操作部に搭載するなど、なかなか高い質感を持つ製品へと仕上げている。それでいて、実勢価格は2万円を割り込むのだから、コストパフォーマンスは良いと言える。




本体サイズは469(W)×395(D)×240(H)ミリ、約6.6キロ。モダンなメタリックボディデザインを採用

※必要スペースの目安となるように、可動部を全開にして撮影しています。また、カメラ位置などの関係で、実際のサイズとは違った見え方になる場合があります

 それだけではない。用紙種別を自動的に選択する用紙センサーを搭載するなど、ユーザーの使い勝手を押さえた仕様構成をとっている。たとえば写真コピーをする際に、誤って写真用紙をセットする前にコピーボタンを押してしまった場合でも、X5150が自主的に写真用紙への印刷を指示していると判断し、ユーザーに適切な用紙をセットするように促す。

コピー処理能力には不満が

 操作パネルも、機能別にボタンを区切ってレイアウトしており、漢字表記によるガイダンスとともにわかりやすいユーザーインタフェースを実現している。シルバーの外観とも相まって、安っぽい印象はまったくない。


機能別に区切られた操作パネルのレイアウト。液晶ディスプレイには漢字表記のガイダンスが表示される

 ただ、内蔵コントローラの能力が低いのか、それとも内蔵メモリが少ないからなのかは分からないが、カラーコピー時に速度が極端に低下してしまう。モノクロコピー実行時は、高速とは言えないものの、ライバルとも比較できる程度の性能が出ているだけに、なぜこれほど遅いのか理解に苦しむ。

 これがコストダウンのためだとすれば、目に見えやすい部分の機能が良いだけに「分かりにくい部分にコストダウンのしわ寄せを集中させたのか?」と勘ぐりたくなる。なにしろ、スキャナの速度が良好なだけに、手間を惜しまなければ、PCに取り込んでから印刷した方が速く印刷できるのだ。

 また、スキャナ、プリンタともに、単体ではそこそこの性能を有するが、組み合わせた時の画質には不満も残る。写真コピーは多少明るめになる以外はそれほど悪い印象はないものの、普通紙にカラーの誌面をコピーする際などは、全く異なる印象の色になることも少なくない。

 被写界深度が深いCCDセンサーを採用しているにも関わらず、それを生かすだけの画像処理が行われていない。たとえば文字部分は、読みやすくするためにエッジ部分を処理する製品が多いが、本機ではその処理の品質があまり高くない。また明暗差が大きな部分は、階調が滑らかに変化しているはずのところに、画像処理時の問題とおぼしき疑似輪郭が発生する。

価格優先のユーザーに

 ただ、繰り返しになるが、プリンタやスキャナとしての基本的な素性が悪いわけではない。用紙種別の自動判別センサーなど、感心する部分が多いのも事実だ。実売価格が安いこともあり、価格なりに劣る部分を理解して購入するのであれば、決して購入して後悔するものではない。

 少ない予算で本格的なインクジェット複合機を入手したいと思うのであれば、購入候補に挙げるのもいいだろう。ただし、同程度の価格帯には、hpの「psc 750」「psc 1210」という強力なライバルもいる。合わせて検討してみたほうがいいだろう。

Lexmark X5150:印刷サンプル

  • 写真のコピー


写真全体の雰囲気をそのままに、全体に彩度を多少上げたような結果。不自然ではない程度に、良好な色合いになっている。ただし元々高彩度の部分で階調がなくなってしまっている。イチゴや青いボトル、カラーチャートの部分などで色の「サチり」が見られる。また、わずかながら顔の部分には疑似輪郭があり、粒状性も高め

  • PCからの出力


全体に暗くシャドウ部がつぶれた印刷結果になった。一方、ハイライト部の階調性も良くはなく、ガンマカーブが適正ではない印象。たとえば一番左のペンギンの背や各ペンギンの顔は真っ黒につぶれてしまった。またPCからの出力でも粒状性は高め

  • 普通紙へのコピー


「ドメイン」の縁取りや右下の白抜き文字がつぶれ気味。普通紙をターゲットにした4色機だけにコントラストは十分にあるが、にじみは大きい。「MFC-150L」ほどではないが、シャドウとハイライトを強調した絵作りである

[本田雅一, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ


モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!