> コラム 2003年6月9日 07:50 AM 更新

「いい音」の復権はPCから(2/3)


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 今回お話を伺ったのは、このSonicStage Mastering Studio(以下SMS)の商品企画を担当する、ソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーの宮崎琢磨氏だ。


SonicStage Mastering Studioの商品企画担当、宮崎琢磨氏

 「僕、Zeppelinのすごいファンなんですよ。で、リマスターCDが出てるんですけど、あの音は僕が若い頃の記憶にある音じゃなくて、すごい不満だったんですよね。でもこのソフトができたんで、リマスター前のCDを買ってきて、自分でリマスターしたんです」(宮崎氏)

 SMSは、多くのメディアでアナログソースを録音していい音でマスタリング、といった使い方で語られることが多い。だがもちろんCDからリッピングしたデータも同じように扱うことができる。

 LPの頃の音源は、現在ではかなりレアなものまでCD化されているが、単にメディアがCDになったというだけで、音質的にプアのままというものもある。

 特に70年代のロックでは、マルチトラックは普及したものの、技術的に未成熟な部分もあって、マスターから音が悪いなんてのがザラにある。こういうものを自分の記憶の音どおりにリマスターできるとしたら、どうだろう。このあたりがもっとも手軽で、しかも需要のあるところではないだろうか。

 「CDからリッピングしてマスタリングする場合は、読み込み時に24bit/96kHzでアップサンプリングしながら読み込ませることができます。これで処理するほうがいい音になります」(宮崎氏)


CDからリッピングした音楽データも、24bit/96kHzでアップサンプリングできる

 SMSの特徴は、この24bit/96kHzサンプリングをベースに、プロ用プラグインを使って音処理ができるところにある。現状のCDが16bit/44.1kHzであるのはご存じの通りだが、24bit/96kHzはだいたいDVD-Audio相当だ。だが、DVD-Audioが一般的なPCでは再生できないことからも分かるように、それはWindowsアーキテクチャーがまだ追いつかないスペックである。

どうやって聴くのか

 しかしここに大きな疑問がある。マスタリングするためには、当然エフェクトのかかり具合を聴きながら調整しなければならない。しかしWindowsアーキテクチャーに対応していない24bit/96kHzの音を、どうやって聴くのか。

 ここで必要になるのが、「ASIOドライバ対応デバイス」なのである。

 ASIOとはドイツのSteinberg社が開発したデバイスドライバで、DTMの世界では標準的な位置を占めるという。この効用は、Windowsが対応していない24bit/96kHz機器がPCで扱えるようになることだ。

 逆説的に言えば、現在のPCで24bit/96kHzを扱うなら、ASIO対応オーディオデバイスがなければ、その音を聴くことができないということになる。

 「WindowsではIntelが提唱したAC'97アーキテクチャーの制限があって、通常のサウンドデバイスではCDクオリティを超えられないという問題があります。またWindowsのミキサーがレンダリングして音をミックスしたりするときに、音が悪くなるんです。しかしASIO対応機器なら、Windowsのミキサーをバイパスできるんで、いい音が出せるんです」(宮崎氏)

[小寺信良, ITmedia ]

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