> ニュース		2003年6月13日　07:18 PM 更新

Let'snote LIGHT W2の跳ね上げドライブがもたらすメリットとは（1/2）

　光ディスクドライブ内蔵で最軽量のノートPC「Let's note LIGHT W2」が本日から出荷を開始している。1.3kgを切る筐体にドライブを内蔵するための涙ぐましい軽量化については、先日掲載したLet'snote LIGHT W2」ダイエットの秘訣は「AZ31B」でも紹介したが、今回は、いよいよ内部基板の話から、いろいろと意見の多い「ディスクドライブの配置」「丸いタッチパッド」などなど、開発者が考える「W2のデザインノート」をお伝えしよう。

Let'snote LIGHT W2の筐体内部。光ディスクドライブ、HDD、メイン基板が文字通り「ぎっしり」詰まっている

　CPU、チップセットを実装する基板の理想的な形状は「正方形」。同期信号を遅延なく伝達し、各チップからデータを流す配線を無理なく配置するには、基板を正方形にして、その中心にCPUとノースブリッジを配置したいところ。その周りにメモリスロットやサウスブリッジ、各種インタフェースを搭載するのが、基板設計者にとって最も幸せな仕事になる。

　しかし、不幸なことにW2の基板は横に長く、加えてドライブスペースを確保する不規則な切り込みのために、四角形からも程遠い形状になっている。

Let'snote LIGHT W2のメイン基板表側。画面上が筐体手前になる。ドライブを設置するために、右上に見えるややこしいラインにカットされた

Let'snote LIGHT W2のメイン基板裏側。サウスブリッジ（ICH4-M）やメモリスロットなどが配置されている

ちなみにこちらは理想的な正方形に近いLet'snote LIGHT T2のメイン基板。載っているパーツの種類や数はTもWもそれほど変わらない

　このため、配線の取り回しは困難を極め、「通常6〜8層ですむところが、W2では10層基板を採用することになった」（松下電器産業 テクノロジーセンター ハード設計第1チーム主任技師 星野央行氏）。10層基板の採用は軽量化という面で非常に不利である。

　そのために並々ならぬ軽量化が求められたわけだが、すでに紹介している筐体プレートの軽量化以外にも、「搭載するパーツのセミカスタマイズで軽量化を図っている」（松下電器産業 機構設計チーム主席技師 島田伊三男氏）。

　パーツのセミカスタマイズとは、すべてをイチから開発するのではなく、「組み上がっているパーツをいったんばらばらにして、自分たちが手を入れられる部材をより軽量化したものに替えていく」（星野氏）

　例えば、内蔵された光ディスクドライブ。ノートPCでは通常トレイ排出方式を採用しているが、W2では筐体と一体化したドライブの蓋が跳ね上がる方式を採用。このおかげでトレイの排出機構を省略できた。

　また、液晶パネルでは「ベンダーから調達した液晶パネルそのものはそのまま使い、パネルを収容するフレームをより小型化、パネル部材もTシリーズで使った0.4ミリの2枚重ねではなく、0.3ミリの2枚重ねを採用している」（星野氏）など、細かい部分で少しずつ詰めていき、最終的に「チリも積もれば山となる」的な軽量化を実現している。

　ちなみに、セミカスタマイズ手法はLet'snoteシリーズの特徴である「長時間のバッテリー駆動」でも使われている。例えばHDD。通常2.5インチHDDは駆動電圧5.5Vであるが、Let'snoteシリーズは、特注の3.3V駆動のHDDを採用している。

　また、実装しているチップについても「我々が手を入れられるチップについては、安定動作の検証を行った上で、駆動電圧を下げている」（島田氏）と、やはり細かい削減を積み重ねることで大きな省電力を実現している。 　 　W2が発表されたときに注目された、筐体の一部を跳ね上げるディスクドライブの方式は、実をいうと「過去に使ったことがある」（星野氏）アイデア。Let's noteという言葉が登場するはるか昔に、 米国向けポータブルPCの開発で「あちらのビジネスマンはスーツケースにPCを入れてそのまま使うケースが多かった。この場合、トレイが飛び出す方式は使えないので、筐体を跳ね上げるようにした」（星野氏）というのが、そもそもの出発点だ。

[長浜和也, ITmedia ]

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