> レビュー 2003年6月17日 05:04 PM 更新

日本HP deskjet 5650――四辺縁なし印刷に対応。美しさと実用性を備える待望の新製品(3/3)


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 ハイライトの描写では粒状性が見られる部分もあるが、専用のプレミアムフォトプラス用紙に印刷した場合は、シャドウ部にかけての階調が滑らかで、高濃度部分での立体感がきちんと残る。

 基本的な画質や色傾向は、昨年レビューした5550の記事に準ずる。だが、本機はドライバも進化を見せており、特に5550で問題となった写真の自動補正機能が、より実用性の高いものに進化している。

 HP性プリンタの写真自動修正機能は、色バランスや彩度補完、解像度補完、露出不足補正、シャープネス補正など多岐にわたっており、それぞれに階調飛びなども少ない良好な処理が行われる。コントラストも高く、色も鮮やかで見栄えのする仕上がりになるため、撮影した写真を何も考えずにきれいに出したい場合には良い傾向をもたらすことが多い。

 ただ、5550/5551のドライバはこれらの機能を完全にオフにすることができず、効果を弱めることしかできなかった。このため、レタッチソフトなどで好みの色を作ったり、露出を意図的に適正外にずらしている場合などにも補正がかかり、狙った絵柄で出力できない場合があった。また自動処理である以上、ドライバの補正機能がかえって写真としての品質を落としてしまうこともマレにある。

 これに対して、5650の写真自動修正機能は補正の種類ごとに効果の強さを指定するだけでなく、完全にオフに設定することも可能となった。多少コントラストや彩度が強調される傾向は見られ、特にキヤノン系の柔らかな描写に比べるとアクが強いが、すべてオフにした時は以前の機種よりもずっと自然な仕上がりになった。これでレタッチ派にも、受け入れられる製品になった。

 また従来のHP製プリンタがsRGB色空間しかサポートしていなかったのに対して、本機ではAdobeRGBモードを持つようになった。AdobeRGBモードでは、プリンタが入力されたRGB色空間をAdobeRGBと判断して処理を行う。AdobeRGB対応カメラの画像を直接印刷したり、レタッチソフトの出力デバイス色空間をAdobeRGBに設定するなどして印刷することで、プリンタが本来持っている色再現域をフルに活用可能になっている。

実用性と美しさを両立

 ファーストインプレッションというとで、速度や画質に関する詳細なベンチマークはまだ取っていないが、従来のHP機にあった不満が解消されたことで、非常に選びやすい製品となった。価格的に手頃なことや、スマートで圧迫感のないデザインも評価したい。普通紙へのカラー印刷からモノクロ文書、写真に至るまで広い用途をカバーできるため、安心して勧めることができる。

 ただ、スペックの上では5550/5551よりも高速になっているが、もともと速度的な不満が少ない機種だったこともあって、特別に高速なプリンタという印象はない。また、インクカートリッジが従来機と同じということもあり、写真印刷時には他社6色機と比べて2倍程度のランニングコストになってしまう問題もそのまま。写真印刷における問題点が解決したとはいえ、大量に写真印刷を行う人には向いていない。

 4色インク時にはランニングコストもグッと下がるため、普段は4色モードで普通紙を中心とした実用プリンタとして使い、たまにデジカメ写真を印刷したい時にフォトインクを使うという運用ならば、ランニングコストの問題もある程度は緩和できるだろう。

 最近はインクジェット複合機に軸足が移っていた感のあるHPだが、久々にHPらしい実用性と美しさを兼ね備えた製品が登場した。

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[本田雅一, ITmedia ]

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