> レビュー 2003年7月7日 03:19 PM 更新

CONTAX Tの系譜に連なる最高級コンパクトデジカメ
京セラ CONTAX TVS DIGITAL(1/4)

製品写真
総合評価7
画質9
カメラ性能8
デジタル性能7
デザイン・インタフェース7
機動力6
レイティングポリシー

評価のポイント

画質

     色が濃くて鮮明な画質。黒の締まりもいい。さすがにカールツァイスのT*レンズだけあって、逆光に強いのもいい。やや赤が強く出る傾向があり、それはそれでいいのだが、その分赤い物体が飽和しやすかったり、赤の暗部がノイジーになりやすいが、デジカメくさくない画質とは言えよう。うまくヒットすると鮮やかでメリハリのある、すごくきれいな絵が撮れる。

カメラ性能

     3倍ズームでF2.8とスペックはノーマルだが、搭載しているレンズがCONTAX Tと同様、カールツァイスのバリオ・ゾナーT*レンズというのが一番のウリ。ただ、マクロモードがワイド端のみで15センチまでしか寄れないのはデジカメとしては非力だ。撮影モードはプログラムAEと絞り優先AEだが、ISO感度を1/3ステップで細かくセットできるため、露出に対して柔軟な対応ができるのは素晴らしい。ただし、オートホワイトバランスにブレがあったり、AFのミスがまま見られるのが難点。

デジタル性能

     シャープネスと彩度をそれぞれ調整できる。コントラストの調整がないのは残念。ホワイトバランスはカスタムセットも可能なほか、ホワイトバランスブラケット撮影機能もある。撮影時のリアルタイムヒストグラム表示も可能だが、それが液晶のど真ん中に表示されるのはいかがなものか。液晶は、京セラ得意の「デイファイン液晶」。晴天下でも見づらくならないというウリは嬉しいが、最新の透過型液晶に比べるとコントラストや発色は今一つでやや眠い絵に見えるため、プレビューを見てもどのくらいうまく撮れているか判別しづらいのは難点。晴天下以外ではメリットを発揮しないのではないか。

デザイン・インタフェース

     CONTAX TVSと銘打たれているが、大きさはCONTAX T2、デザインはCONTAX T3風。チタン素材で高級感があり、CONTAX Tがそのままデジタル化されたといって過言ではない。前面がフラットでレンズが右手側に寄っているため、思ったよりグリップしにくい。一方、背面は、非常によく考えられている。撮影時によく使う露出補正、ホワイトバランス、ISO感度を一つのボタンにまとめ、カメラメニュー、デジタルメニューという切り口でメニューを分けたアイデアは秀逸だ。

機動力

     幅が112ミリ、厚さが33ミリで、重量も210グラムとそれほど大きくないが、持ってみると大きく感じるのは、コンパクトさを期待させるデザインのせいかもしれない。とはいえ、レンズが沈胴すると全体がフラットになるので収納性はいい。残念なのは速度。特に起動と終了時間が全体に遅めで、機動力という観点では不満だ。特に、このサイズで起動に5秒ちょっと(256Mバイトのメディアを入れた場合の実測値)かかるのは問題だろう。使っていてイライラすることもしばしばである。

総合評価

 良いレンズを搭載し、伝統のある名前で、AFやオートホワイトバランスにやや不満はあるものの、写りもメリハリがあって色濃くてよい。光をうまく使えば鮮やかな写真を撮れる。カメラとしても、銀塩高級カメラくさいところとデジタルならではの工夫がうまく融合している。ただ、10万円以上払う価値があるかというと疑問だ。

 銀塩のCONTAX T、特にCONTAX T2が出たときは存在感は断トツで、無理してでも欲しいと思わせるインパクトがあった。CONTAX TVS DIGITALにそれだけのインパクトがあるかというと、残念ながらない。しかし、CONTAX Tを知ってる人には「よくぞここまで同じに作ってくれた」と思わせる完成度はある。よって、コストパフォーマンスも含めて考えると、CONTAX Tに対して何の思い入れもない人には7点、思い入れがある人には9点という総合評価が似合う。で、多くの人は特にそういう思い入れはないだろうと考えて7点とした。個人的には、もっと値段が高くなってもいいから圧倒的な仕上がりを見せてくれた方が、“CONTAX Tらしかった”気がする。

ベンダー製品担当者からの一言

 Tシリーズの初代機が誕生したのが1984年。以来、「T2」「TVS」などを発売し、Tシリーズは多くのお客様に愛され続けてまいりました。「TVS DIGITAL」は、シリーズ初となるデジタルカメラであり、カール ツァイスT*レンズの描写力を銀塩カメラよりそのまま継承しています。T*コーティングにより得られる、逆光に強く、ヌケのよいクリアな画像、カール ツァイスレンズの持つ優れた色再現性、豊かな階調表現をデジタルの世界でも存分にお楽しみいただけます。(京セラ 広報部 東京広報)

主要スペック

有効画素数約500万画素
レンズ35〜105mm相当(35mm換算)、F2.8〜4.8
ズーム光学3倍ズーム
最大画像解像度2560×1920ピクセル
記録メディアSDメモリーカード/マルチメディアカード
バッテリ専用リチウムイオン充電池
サイズ(W×D×H)112×33×60mm(突起部を除く)
重量約210g(本体のみ)

[荻窪圭, ITmedia ]

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