> レビュー 2003年7月11日 03:08 PM 更新

SOTEC WinBook WL7150A――コストパフォーマンスと持続力に長けた2スピンドル(1/2)

SOTECのこのノートは10万円をわずかに切る価格で、しかもただ安いだけのマシンではない。実用一点張りではなく、個人ユーザーの求める潤いもそれなりに備えている。

 液晶ディスプレイ込みで7万円台などという驚き価格のデスクトップPCすら登場するデフレニッポン、ノートPCとてその例外とはなりえないのは当然であろう。

 そんな中でも、ソーテックのWinBook WL7150Aは安い。むろん、ソーテックのPCであればユーザーの期待もコストパフォーマンスに集中するのは当然であろうが、BTOで廉価なモデル(WL7150A)を最小限の設定にすると10万円をわずかに切り、9万9800円(消費税別)となる。他社のノートPCで同一スペックのものを探すのは難しいが、似通った実力のものは13〜15万円程度はすることを考えると、いかにリーズナブルな価格であるかがわかるはずだ。


試用したWinBook WL7150C(7150Aに比べてメモリやソフトが多い。価格も2万円程度高めになる)

安い理由は何か?

 現代のパソコンのコンポーネントは汎用品がほとんどだから、魔術でも使わない限り劇的に安くなることはあり得ない。DELLのパソコンにしろ、部品やソフトウェアの価格を合計したものより製品の価格が下回ると言うことはあり得ないはずだ。

 つまるところ、安いパソコンというのは使用している部品のコストを下げ、添付しているソフトウェアの値段を下げ、そしてサポートにかかる費用や利益を削って実現するものなのである(パソコンによってはソフトウェアや通信サービスを提供することでリベートを得る場合もある)。

 そのような視点でWL7150Aを見ると、なるほど各所にコスト削減の痕跡が見られる。

 まず、CPUはAMDのモバイルAthlon XP-M 1500+を採用している。AMDのプロセッサがどれだけコスト削減に効果的なのか、具体的な数字を知ることは難しいが、原稿執筆時点でのAMDのモバイルAthlon XP-Mの価格(AMDのWebサイトに掲載されたものでメインストリームと呼ばれる低電圧版でないもの)は2000+ですら71ドルだ。WL7150A/CのCPUが低電圧版だとしても1500+で71ドル、メインストリームのXP-Mだとしたら1600+(1500+は掲載されていない)で55ドルである。なお、Athlon XP-M 1500+にはPalaminoコアとThoroughbredコアの低電圧版(LV)があるようだが、カタログには何も記されていない。どちらも実クロックは1333MHzである。

 一方でIntelのプロセッサはCentrinoは軒並み200ドルオーバーとなる。100ドル以下のものを探すと、わずかに1.7GHzのモバイルCeleronが96ドルであるだけだ。たかが数十ドルの差だが、もともと安いだけにこの程度の差も重要になるだろう。いずれにせよ、AMDのCPUは抜群のコストパフォーマンスを持っているようだ。

 次に、ソフトウェア。

 本来なら一番コストがかかるOSをLinuxにでもすれば劇的に下がるのだろうが、さすがにそこまで思い切ったことはしていない。その代わりといっては何だろうが、アプリケーションソフトがマイクロソフトのオフィスではなくIBM(ロータス)の「ロータス スーパーオフィス(Lotus Super Office for SOTEC)」になっている。マイクロソフトのオフィスも、OEM向けならかなり価格は下がると聞くが、それでもほかのパーツが値下がりするなか、相対的にアプリケーションソフトやOSの価格がかなり高価となってしまっているのでコスト削減には効果的だろう。

 なお、スーパーオフィス2001は、ソーテックの大邊創一社長自らがIBMに無理をいって提供してもらったものだという。一方で「アプリケーションソフトは付けない」という選択もあったのかも知れないが、やはり初心者もターゲットとしているソーテックのPCではそこまで思い切ったことはできないのであろう。

 なお、スーパーオフィス2001はマイクロソフトのオフィス2000とある程度のファイル互換性があるので、オフィス2000で作成したデータを読んだり、あるいは作成したファイルをオフィス2000で読み込ませたりもできる(あまり凝ったことをすると再現できない場合もある)。

 おそらく、多くの人はワープロや表計算で使うのはごく基本的な部分だけだろうから、少々古くなったスーパーオフィス2001であってもあまり不都合は感じないはずだ。なんといっても、ロータス1-2-3などは一昔前(ふた昔前?)の表計算ソフトの代名詞だったのだから、悪かろうはずもない。

 その他のアプリケーションは……と見ると、WL7150Aは「デジカメNinja」、「乗換案内」、「筆王」、「CDラベル王」、「ホームページNinja 2003」などが付属してくるものの、他社のパソコンに比べると少なめである。ギリギリまでコストを削減しているのかもしれない。とはいえ、メールチェックとWebブラウジング+αという程度にしか使わない人であれば、特にソフトウェアを追加する必要は感じないのではないだろうか。

 一方、上位機種のWL7150Cでは、さらにソフトウェアDVDプレーヤーの「WinDVD4」、地図情報システムの「Super Mapple Digital Ver.3」、記録型DVDとCD-R/RWのライティングソフト「Drag'n Drop CD+DVD3」、家計簿の定番「主婦の友デジタル家計簿2003 LE」、「コリャ英和!」などが付属する。ソフトウェアは単体でそろえるとけっこうお金がかかるので、これらのうち2〜3本でも使う可能性がある人はWL7150Cを選ぶとお得である。


WL7150Cのほうはアプリケーションもかなり充実している。右に見えるのは世界一簡単にCD-Rが焼けるライティングソフトDrag'n Drop

 以上のように、やはり安くするためにいろいろ工夫はしているものの、“安いからそれなり”ではなく“安いなりにもよいものを”という意志が感じられる。これもソーテックならでは、といえるかもしれない。

スペックは決めうち

 もう少し詳しくスペックを見ていこう。

[河野寿, ITmedia ]

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