> ニュース 2003年9月8日 04:04 AM 更新

開発担当者たちが語るMSマウスとキーボード、その舞台裏(1/3)

米Microsoftが先日公開した新型ワイヤレスマウスやキーボード。なぜこうした製品になったのか、その製品の技術的な背景など「開発の舞台裏」とも言える情報を同社開発担当者たちが披露した。

 先日、米Microsoftは同社製ハードウェア新製品の詳細を紹介するイベント「Wireless World」において新型マウスおよびマウスとキーボードのセット製品を発表したが、9月4日には新製品の開発に携わった開発担当者、マーケティング担当者が勢ぞろい。製品の技術的な背景、目標など、開発の舞台裏を披露した。

100を超える試作から生まれたチルトホイール

 Microsoftの新型マウスにはさまざまな新しい性能、機能が実装されているが、中でももっとも目立つ機能アップが、ホイールを左右に傾けることを可能にし、高精度でスムースな回転も実現したチルトホイールだ。

 チルトホイールは初日のレポートでも報告したように、高精度化されたホイール回転によるスムーススクロール、スクロールアクセラレーションなど操作感の大幅なアップもさることながら、やはり注目点は左右への動きを実現したところだ。

 製品企画担当者は「1996年に開発したホイールボタンは大成功を収め、デファクトスタンダードとなった。しかし横スクロールの操作は手付かずのまま。ユーザーテストでも横スクロール操作に苦労する人が多いことが分かっていた。そしてその問題を解決するため、100以上もの方式を考え出し、モックアップを作成した」という。

 どのような方式がもっとも使いやすいかは、単純な思いつきではなく、数々のユニークな方式を試していく中で判明するものなのだとか。ほとんどのアイディアはゴミ箱行きとなるが、別の機能を実現する上で、かつては捨てたアイディアが役立つ用になることもあるという。

 新旧取り混ぜた100以上のアイディアは、例えば十字型のタッチパッドや小型トラックボールをマウスボタンの間に配置したり、親指で操作可能な位置に2個目のホイールスイッチや十字キーを配置するなど。


左右スクロールを実現するために作られた試作


こちらは親指の位置にホイールを追加したもの

 それらの中から生き残ったのが、ホイール全体が左右にスイングするチルトホイールだった。左右にチルトするスイッチは、オン/オフだけのデジタル操作でアナログ入力による速度変化は付けることができない。このためWordやExcelでは便利だが、Internet Explorerでの使い心地は今一つ。

 別の開発者は「アナログスイッチという発想ももちろんあった。しかしきちんとカスタマイズすれば、デジタルスイッチでも操作性は大きく変わらない。一方、傾きをアナログで入力する操作には慣れも必要だろう。将来的な可能性はあるが、現時点ではデジタル操作の方がベスト」とのこと。

 もっとも、個人的には左右に傾く操作よりも、スムースなホイール回転とそれに伴うなめらかなスクロール、そして加速機能の方が気に入った。しかし従来とは異なる操作感に違和感を訴える記者もいた。

 要は“慣れ”とも言えるが「パフォーマンスが低い時代なら、スムーススクロールは生産性を落とす原因にもなりかねなかった。しかし現在のPCはパフォーマンスも高く、画面の更新が遅れて気持ち悪いなんてこともない」といった要素もあるとか。もちろん、従来のホイールに慣れている人は違和感を感じるかもしれないが、慣れてしまえば以前のガクガクとした操作感には戻れなくなりそうだ。


チルトホイールの構造図

本当にアップした?!省電力性能で充電池式は不要

 さて新製品でチルトホイール以外で強調されているのが、ワイヤレス機能の大幅な性能アップである。

[本田雅一, ITmedia ]

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