開発コンセプト
市場特有のニーズ及びソフトから見る、東芝のビジネスノートPC(2/2)
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東芝にしかできないソフトウェアソリューションを提供
ビジネス市場特有のニーズは、ハードウェア的な面だけで解決できるものではない。そこにはソフトウェアが必要となる。
東芝は、BIOSを自社開発する世界でも数少ないPCメーカーだ。このことは、ハードウェアとOSのマッチングを最適化することができ、PCのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるということを意味する。
自社開発したBIOSでは、OSが起動する前にできることが多いのが強みだ。OSが起動する前にBIOSの段階でパスワードをかけることが可能となるほか、HDDを抜き取られてもデータを閲覧できないようにパスワードを設定することが可能なHDDパスワード、OSの起動段階での認証セキュリティや、電力供給を制御するピークシフト、ドライブやポートの使用を制御できるデバイスロック設定ユーティリティなどのオリジナルユーティリティも実用化。
ネットワークの切り替えに便利なConfigFreeも、現ネットワーク接続をキャプチャするという斬新な発想で作られている。
東芝オリジナルの、各種ユーティリティは、ソフトウェア部隊がハードウェア部隊にアプローチし、研究所、開発センター、工場の開発部門が密接に連絡をとりながら、研究開発が進められているという。PC事業部・PCマーケティング部・PCニューコンセプト推進担当グループ長の妹尾奉典氏に聞いた。
妹尾:東芝では、ソフトウェア部隊とハードウェア部隊が一体となって「デバイスロック設定ユーティリティ」や「ConfigFree」「ピークシフト」、そして「東芝マネジメントコンソール」などを作り上げてきました。
また青梅工場のテレビ部隊やHDDレコーダーの部隊など、PCとは一見縁がなさそうな部門とも連携しながら、将来を模索しています。東芝にしかできないソフトウェアソリューションを提供することが、他社に対するアドバンテージでしょう。冷蔵庫や洗濯機などの白もの家電から、AVシステム、そして、ビジネスPCと、すべてがそろうメーカーというのは、実は、他にはいないのです。
液晶ディスプレイ、ハードディスク、各種ドライブなどのハードウェア、オリジナルユーティリティ、そしてBIOS。ノートパソコンを構成する重要な要素をすべてグループ内で開発できる技術力こそが東芝の強みなのだ。
ビジネス市場のニーズを念頭に置きつつ、ハードウェア・ソフトウェアの品質・機能を組み合わせる。基本的なことをきちんと実践する東芝のたゆまぬ努力が、東芝のビジネスノートPCの完成度を高めていると言っていいだろう。
ソフトウェアと対になる、ハードウェア技術に関連する開発コンセプトについては、青梅事業所取材記事にて語られることになる。こちらも期待いただきたい。
[山田祥平, ITmedia
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