技術へのこだわり
dynabookに見る“コダワリ”のモノ作り(1/3)

東京・青梅市にある東芝青梅事業所は、これまで幾多の東芝製ノートPCを生み出してきた。現場の技術者への取材を元に、dynabookに込められた“こだわり”、そしてこだわりがもたらす製品としてのアドバンテージを探ってみることにしたい。

 東京・青梅市にある東芝青梅事業所。都心からもほど近いロケーションにある青梅事業所は、これまで幾多の東芝製ノートPCを生み出してきた。コスト面では決して有利とは言えない青梅という場所において、なぜ青梅事業所がいまだに高い競争力を持つのか。

 現場の技術者への取材を元に、dynabookに込められた"こだわり"。そしてこだわりがもたらす製品としてのアドバンテージを探ってみることにしたい。

青梅事業所だからできること

 コモディタイズが進むPC業界にあって、PCの完全な国内生産は非常に難しい状況にある。東芝青梅事業所にあっても「台湾や韓国のベンダーにコストで勝つことは難しい」と話すが、決してギブアップしているわけではない。

 パーツ共通化など設計面での低コスト化に加え、新規製品の製造ライン立ち上げや国内向け製品の製造に特化し、ワールドワイド向けの出荷は海外拠点(フィリピン、中国など)の工場に任せることにした。技術的な優位を生かせる場面で効果的に青梅の力を生かすことで、トータルのコスト競争力を高める事に成功している。

 その背景にあるのは、開発から設計、試験、製造に至るまで、モノ作りを行うための、すべてのインフラが青梅事業所にそろっていることだ。だからこそ、最新技術を積極的に導入し、軽薄短小化、省電力、長時間バッテリー駆動にこだわることができる。またハードウェアだけではなく、自社製BIOSや独自ユーティリティなどのソフトウェア開発部隊が、ハードウェア開発と一体になって製品力向上に取り組んでいる点も見逃せない。

 例えば青梅事業所内には、設計部門が作ったCADデータをベースに、熱、耐久性、剛性などをシミュレートする解析チーム、実際に試作した製品の品質や不具合の原因を追及する分析チームが存在。ハードウェアの開発・設計部門と協力しながら、製品力を高める。青梅事業所でモノ作りを行うアドバンテージ。それはPCの品質を高める総合力と言える。


PC品質保証部・部長の竹谷光巨氏


PC設計第一部・第三担当クループ長の渡辺稔氏


メカニカル開発センター・第一担当主務の中村博氏

解析・分析結果を即座にフィードバック

 例えば製品の設計がスタートした時、最初に行うのは必要なコンポーネントを並べ、必要と思われる熱処理対策を施すことだ。熱を多く出すプロセッサ、チップセット、グラフィックスチップ、ハードディスクのレイアウトに加え、タッチパッドやキーボード、光学ドライブなどのコンポーネントを並べた上で、空気の流れを考慮しながら吸排気口を配置する。

 基本レイアウトや筐体構成をある程度固めた段階で、CADデータをベースにした解析にかけると、即座に各部温度と空気の流れる方向、流速を計算で割り出すことができる。解析ツールには市販の汎用製品を用いるが、「こうした情報の解析は実証データを元に、いかに正確なフィードバックを施すかが重要」と担当者が話すように、使い手次第でシミュレーションの精度が変わってくる。


(左)PC設計第一部・第三担当主務の島本肇氏 (SSシリーズ設計担当)、(右)PC設計第一部・第三担当主務の高橋登志夫氏(SS3500シリーズ設計担当)


(左)メカニカル開発センター・第二担当主務の村山友巳氏(筐体設計担当)、(右)PC設計第一部・第七担当主務の永江明人氏(回路設計担当)


PC設計第一部・第八担当の蜂谷尚悟氏

[本田雅一, ITmedia ]

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