> ニュース 2003年10月9日 02:29 PM 更新
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「“Panther”はOSの基準となった」――新機能満載のOS X新版が10月24日、発売

Mac OS X 10.3 “Panther”がついに発売される。新機能についてApple上級ソフトウェアディレクターが語った。(IDG)

 Apple Computerは10月8日、Mac OS X PantherとPanther Serverを発表した。これは、UNIXベースのOSであるMac OS Xの最新版である。スティーブ・ジョブズCEOがサンフランシスコで開催されたWorldwide Developers Conference(WWDC)の基調講演でこの最新版を発表してから、ちょうど4カ月後の登場となる。クライアント版、サーバ版ともに10月24日午後8時(米国時間)から出荷される。

 「われわれはちょっと前にまったく新しいアーキテクチャに移行するという賭けをし、その成果を今、刈り取っている」とApple Computerの上級ソフトウェアディレクターであるブライアン・クロル氏はMacCentralに語った。「数の上でもレベルの上でもびっくりさせるほどの機能を盛り込むことができている」と同氏。

 新しいオペレーティングシステムのハイライトとしては、まずAppleが「ユーザーセントリック」と表現する、改良版Finderが挙げられる。「新しいインタフェースでは、フォルダ、ハードディスク、ネットワークサーバ、iDisk、ムーバブルメディアを1カ所にまとめた。ジョブズ氏はこれをiTunesのプレイリストになぞられている」

 「新しいFinderはとても使いやすい――必要な情報はすべて、あなたの目の前にある」とクロル氏。「コンピュータ側のやり方ではなく、ユーザー側のやり方に立った振る舞いをする」と同氏は説明する。

 また、高速化された検索、カラーラベル、そしてWindowsネットワークとの親和性を高められている。PantherではActiveDirectory、Windowsサーバ上でSMBベースのホームディレクトリが使えるようになっており、共有プリンタでの出力など、Windowsとの統合が強化されている。

 「3年ちょっとの間にMac OS Xは4回、メジャーリリースを出している。Windows側は、6年かそこらで1回だけだ」とクロル氏。「Mac OS Xの初期段階で決定した事柄の成果が、これだ」と同氏。

 ExposeもPantherの新機能だ。この機能を使うと、開いているウインドウすべてを一覧し、どれを最前面に持ってくるかを決定できる。Exposeでは重なり合ったウインドウを整理することができる。Pantherが6月に披露されたとき、Appleはインタビューの中で、Exposeはブレイクスルーとなるテクノロジーのひとつだと明言した。

 「Pantherにはすごいものがたくさんある:2、3挙げるとすれば、Finder、iChat AV、そしてExposeだろう」とMac OS Xプロダクトマーケティング担当ディレクター、ケン・ベレスキン氏はMacCentralに6月のインタビューで「ExposeはMacが作られてから、グラフィカルインタフェースでなされた、最も革新的な進歩だ」と語った。

 FileVaultはホームディレクトリの中身を128ビットのAES暗号化で保護する機能だ。ノートブックPCを紛失したり、盗難にあったとき、データを保護するためにモバイルユーザーが必要とする機能である。ファイルはその場で暗号化され、ユーザーは作業を中断せずに作成された文書を保護することができる。セキュリティ面での強化ポイントとしては、IPSecベースのVirtual Private Networking (VPN) がMicrosoft、Ciscoベースのネットワークで可能になったことも挙げられる。PantherではSecure Delete機能も追加された。この機能を使えば、誰かがハードディスクから削除したはずのファイルを取り出す危険性を心配する必要はなくなる。

 Mailも強化され、HTMLメールにはSafariベースの表示エンジンが使われるようになった。新機能としては、iChat AVもある。フルスクリーン、フルモーションのビデオチャットをブロードバンド上で可能にするもので、オーディオもサポートしている。iChat AVはMac OS X 10.2 "Jaguar"向けには米国では29ドル。Pantherには同梱されている。

 「このMac OS X新バージョンの目玉機能を見てみれば、PantherがJaguarよりも優れたリリースだということがわかるはずだ」とクロル氏。

 AppleはMac OS Xに移行したユーザーの数を850万人と推定しており、Mac OS Xネイティブアプリケーションの数は6500本に達している、とクロル氏は述べた。そのネイティブアプリケーションの中にはAppleの最も重要なサードパーティであるQuark、Macromedia、Microsoft、Adobeによる製品も含まれている。

 Panther Serverはオープンソース、オープンスタンダードのソフトウェアを管理ツールと統合し、人気の高いオープンソースのソリューションをMac、Windows、Linuxクライアントで利用可能にしている。新機能としては次のようなものがある:Server Adminで、Mac OX Xに組み込まれたオープンソース・ソフトウェアの設定・管理を行うことができる。Open Directory 2はスケーラブルなLDAPディレクトリ、Kerberos認証サービスをホストすることができる。Samba 3はWindowsクライアントのログイン、ホームディレクトリのサポートを実現。J2EEアプリケーション用にJBossアプリケーションサーバが用意されている。

 さらに、新しいServer Adminではシステム管理者がPanther Server搭載のサービスを設定、管理、モニタリングすることを容易なものにしている。たとえば、ディレクトリサービスと認証サーバを立ち上げるためOpenLDAPとKerberosやWindowsサポートのためのSamba、ウェブサーバのApacheを導入するのは、マウスを数回クリックするだけで済む。

 Panther Serverが備えているその他のオープンスタンダードに基づくネットワークサービスとしては、Open Directory 2がある。これは、OpenLDAP、Berkeley DB、MITのKerberos KDCをベースにしたLDAPディレクトリおよびKerberos認証サーバで、主力産業で利用可能なスケーラビリティーとセキュリティーを備えている。SMTPにPostfixを、IMAPとPOPにCyrusを採用し、オープンソースベースで作り直した新しいメールサーバは、スパムとウイルスフィルタリング・ソリューションを統合し、SSLを使ったセキュアな電子メールも利用可能になっている。Panther Serverに組み込まれた新しいVPNサーバはPPTPとL2TPタネリングプロトコルを使い、Mac OS X、Windows、UNIXクライアントをサポートする。Apacheは最新リリースとなり、Apache Tomcat、Apache Axisによる強力なウェブサービスも可能だ。

 「われわれは現時点でオペレーティングシステムの基準であると考えている」とクロル氏。「われわれは多くの新機能でリードしており、他社はMac OS Xでやってきたことに追いつこうとしている」と同氏。

価格と発売時期

 PantherはAppleの小売りストアまたはApple公認販売店で1ライセンス129ドルで販売される。Apple Storeでは本日から予約が可能。Mac OS X Panther Family Packは同一住所での5ユーザーライセンスが199ドル。ボリュームライセンス、メンテナンスライセンスの価格はAppleのサイトで。標準Mac OS Up-To-Dateアップグレードパッケージは新しいMacを10月8日以降購入したユーザー全員、Pantherを搭載していないPower Mac G5購入者、Mac OS X 10.2 "Jaguar"を10月8日以降購入したユーザーが対象となる。配送費が19.95ドルかかる。

 Pantherの動作には128Mバイトのメモリが必要で、USBを内蔵したMac、iMac、iBook、eMac、PowerBook G3、PowerBook G4、Power Macintosh G3、Power Mac G4、Power Mac G4 Cubeで動作する。

 Mac OS X Server version 10.2 "Panther"は10月24日に、Apple公認販売店から発売される。価格は10クライアント版が499ドル、無制限クライアント版が999ドル。Apple Storeでは本日より予約開始。ボリュームライセンス、メンテナンスライセンスの価格はAppleのサイトで。標準Mac OS Up-To-Dateアップグレードパッケージは新しいMacを10月8日以降購入したユーザー全員、Panther Serverを搭載していないXserve購入者、Mac OS X Server 10.2 “Jaguar”を10月8日以降購入したユーザーが対象となる。配送費は19.95ドル。

 Panther ServerはAppleのXserveラックマウントサーバ・ハードウェアで動作し、128Mバイトのメモリ、4Gバイトのハードディスク空き容量、内蔵USBを備えたPower Mac G5、G4、G3が最低動作条件となっている。

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