期待の新CCD「スーパーCCDハニカムIV SR」を搭載した富士写真フイルムのコンパクト機「FinePix F700」。特性の異なる2種類の撮像素子構造で、ダイナミックレンジを大幅に向上しているという。2度の発売延期を経て“やっと”登場した注目の1台の実力を探ってみた。
富士写真フイルムの独自CCD「スーパーCCDハニカム」の第4世代モデルが今年1月に発表された。新バージョンでは、「HR」と「SR」という性能の異なる2タイプが用意され、翌2月にはHR搭載の「FinePix F410」と、SR搭載の「FinePixF700」が同時に登場するなど“スーパーCCDハニカムの世代交代”は順調に進むかに見えた。
期待の新CCD「スーパーCCDハニカムIV SR」を搭載した「FinePix F700」 だが、HRを採用したF410が翌月には出荷されたのに対して、SR採用のF700は当初予定されていた5月上旬を過ぎても店頭に登場せず、さらに2度に渡る発売延期のアナウンスを経て、9月14日に“やっと”発売された。発表から約7カ月もユーザーを待たすというのは、製品サイクルの速いコンパクトデジカメの世界では極めて異例のケースだ。 新CCD「SR」によって、デジカメのウイークポイントといわれている「ダイナミックレンジの狭さ」を大幅に改善したという注目の1台の実力を探ってみた。
従来の微細化技術の延長線上で“高画素化”を目指したHRに対して、ダイナミックレンジを拡大することに重点を置いたSRは“画質重視”のユーザーから注目と期待を集めていた(SRの技術詳細は別記事を参照)。だが、特性の異なる2種類の撮像素子をハニカム内に収めた「主画素(S)/副画素(R)」という従来にない新規構造が、SR採用のF700発売を遅らせてしまった原因だったことは同社も認めている。 それほどまでに時間をかけて世に送り出したF700の“売り”は、やはり「ダイナミックレンジの広さ」だ。 近年のデジカメは高解像度を競うあまり、より多くの画素をCCDの中に作りこんできた。その結果、数値上の解像度は向上したものの1画素当たりの撮像素子はどんどん小さくなり、ダイナミックレンジや感度などが低下するという弊害を生じていた。 ダイナミックレンジが低下すると、明るい部分(ハイライト)が白くつぶれてしまう“白とび”が発生し、逆に暗い部分(シャドー)は真っ黒になるなど階調表現が貧弱になる。デジカメが画質面で銀塩フィルムに追いつけないといわれる理由の一つがこれだ。 F700に搭載されたSRは、銀塩フィルムのメカニズムを基に、ダイナミックレンジを従来の第三世代ハニカムに比べて約4倍に向上させているという。その実力を確かめるため、わざと明暗の差がきついシチュエーションで撮影してみた。
オートモードで撮影(1/320秒、ISO200、F5.6) 撮影時刻は午後1時過ぎで、手前側の大きなカボチャ(アトランティック・ジャイアント種?)には直射日光が当たっている。真ん中のバラエティ豊かなカボチャは日陰となり、奥のショーウィンドウには日光がほとんど入らず室内照明だけというデジカメにとっては過酷な条件だ。
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