> 特集		2003年10月17日　08:50 PM 更新

VALUESTAR TX VX900/7Fの水冷システムを細かくチェック（1/2）

前回は、VALUESTAR TX VX900/7F（以下VX900/7F）の基本的なスペックを紹介したが、今回はVX900/7Fの最大の特徴である水冷システムについて詳しく見ていくことにしよう。

　前回は、VALUESTAR TX VX900/7F（以下VX900/7F）および、VALUESTAR TX　Web直販モデルの基本的なスペックを紹介したが、今回はVX900/7Fの最大の特徴である水冷システムについて詳しく見ていくことにしよう。

静音性を高めるために水冷方式の冷却システムを採用

　空冷方式の冷却システムでは、熱を熱伝導体（多くの場合、熱伝導率の高い金属）に伝導させ、熱伝導体から空気に熱を発散（放射冷却）させる、という方法で冷却を行う。熱伝導体の表面積が増えれば冷却能力が高まるため、たくさんのフィンを設ける場合が多い。

　しかし、フィンの周囲に温度の高い空気の層ができやすく、しかもそれによって冷却能力が低下するという欠点がある。そのため、高温の空気の層を取り払うために強制的に風を送り込むファンが取り付けられる場合がほとんどだ。一般的なCPUクーラーなどに採用される、多数のフィンが設けられたヒートシンクと空冷用のファンを利用した空冷システムは、まさにこの原理でできているわけだ。

　それに対し水冷方式の冷却システムでは、熱伝導体として液体を利用する。発熱する部分に液体を通すと、その液体が発熱する物体から熱を奪う。そして熱くなった液体をラジエータなどの冷却装置に送って冷却する。冷却された液体は、また発熱する物体に送られる。このサイクルを繰り返すことで冷却が行われるわけだ。

　ちなみに、液体を冷却するラジエータには、液体を通す細い管が網目状に設置され、そこに液体が流れる間に熱が放射冷却される。つまり、水冷方式の冷却システムも、最終的な放熱システムは空冷方式になるわけだ。

筐体を開けると、CPU用ヒートシンクが見当たらないなど、一見して通常のPCとは異なることが見てとれる

冷却効率は明らかに水冷の方が高い

　ところで、パソコンのCPUやグラフィックスチップを冷却するシステムを考えると、空冷方式と水冷方式とを比較して、冷却効率は水冷方式の方が明らかに高い。

　空冷方式の場合、CPUやグラフィックスチップの熱を冷却する空気はPCのケース内の空気となる。ただ、それらを冷却することによって熱せられた空気がPCケース内に充満すると、どんどん冷却性能が低下してしまう。

　それに対し水冷方式の場合には、最終的な冷却用のラジエータの設置場所を比較的自由に設定できる。もちろん、ラジエータをケース外に置くことも可能であり、熱がこもって冷却性能が低下する、といったことが比較的少なく、安定した冷却能力が発揮できる。そして、この水冷方式の冷却効率の高さが、静音性を高める場合にも非常に役立つことになる。

　空冷方式の場合、冷却効率を高めるために、ケース内の換気を強制的に行うためのファンを取り付けるなどの対策が必要となり、結果的に多数のファンが取り付けられ、非常に大きな騒音を発する原因となってしまう。

　しかし水冷方式の場合には、CPUなどの発熱はラジエータに運ばれるためケース内に熱がこもりにくく、ケース内の換気も空冷方式を採用するパソコンほど気をつかう必要がなくなる。

　つまり、ラジエータを効率よく冷却するためのファンさえあればよくなるため、パソコンに取り付けるファンの数を大幅に減らすことができ、それだけ静音性が高めやすいわけだ。VX900/7Fの静音性は、まさにこの観点から水冷方式の冷却システムを採用したからこそ実現できたのである。

PCケースに搭載するファンは1つだけ

　VX900/7Fの冷却システムを詳しく見ていこう。まず、リザーブタンクに冷却用の液体が保存されている。そして、リザーブタンクの冷却液がポンプによってCPUに取り付けられた水冷ジャケットに送り出される。冷却液が水冷ジャケットを通ると、CPUの熱を奪って熱せられる。熱せられた冷却液は水冷ジャケットからケース背面に取り付けられているラジエータへと送られる。ラジエータに送られた冷却液は、ラジエータを通る間に放射冷却によって冷却される。そして冷却された冷却液がリザーブタンクに戻される。あとはこのサイクルを循環させることでCPUを冷却するわけだ。

CPUを覆って配置されている水冷ジャケット

関連リンク
VALUESTAR TX　Web直販モデル
NECのWebストア「121@store」

[平澤寿康, ITmedia ]

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