> ニュース		2003年10月28日　06:10 PM 更新

iTunes Music Storeを陰で支えるMuzeのCEOに聞く

iTunes Music StoreはAppleが単独で築き上げた訳ではない。MacCentralではAppleのダウンロード販売に情報コンテンツを提供しているMuzeのCEOに話を聞いた。

　Apple Computerの音楽ダウンロード販売サービス、iTunes Music Storeの情報コンテンツの大部分はMuzeが提供している。Muzeは音楽、書籍、ビデオ、ゲームのエンターテインメント製品情報源である。同社の創業者兼最高経営責任者（CEO）、ポール・ズーロ氏は、オンラインの音楽体験は日々改善されることになるだろうと考えている。

　「Appleは最高のエンターテインメント技術を、曲タイトルからアーティストの基本的なバイオグラフィに至るまでまとめたMuzeの総合的エンターテインメント情報と統合した。それにより、音楽を発見し、楽しむための楽しく簡単な方法を作り出したのだ」と同氏はMacCentralに語った。

　AppleはMuzeのデータベースソリューションをMac版、Windows版のiTunes Music Store向けにライセンスした。同社がデジタル音楽用のデータベースを最初に開発したのは1980年代のこと。CDが小売り市場で始めて主役に躍り出たときだ。

　「音楽の世界がダウンロード音楽に移行しつつある今、われわれのデータベースはそのレコーディングが何か、このアーティストは誰か、このアーティストとレコーディングにはどのような関連があるのか、といったものを最も正確に反映しているのがわれわれのデータベースなのだ」とズーロ氏。

　同氏の説明によれば、AppleのiTunes Music Store向けにMuzeが提供しているデータベースは複数ある。一つはさまざまな方法で検索可能なレコーディングリスト。もう一つは複数年、複数枚数のアルバムを出し、大衆に愛されてきた主要アーティストの基本的情報である。

　「われわれはバイオグラフィを提供しており、そして長い時代をくぐり抜けてきたアーティストのキャリアもデータに入れている」とズーロ氏。「当社では書籍、ビデオも同様にデータベース化している。Muzeでは主要アーティストだけではなく、事実上、全アーティスト（約1万5000）のバイオグラフィを網羅している」と同氏は説明する。

　MuzeはAppleをはじめとする企業にアーティストが互いにどのような影響を与えているか、そしてどう関係しているかという情報も提供している。例えば、Muzeのデータベースには「U2に影響を与えたアーティスト」と「U2のフォロワー」の情報が含まれている。

　ズーロ氏は25年前にはラジオのプロデューサーで、CDテクノロジーを初期に採用した人物。将来の音楽はCDのような物理フォーマットとダウンロード音楽が混合されたものになると、同氏は予想する。CDは今後数年間、高品質の音楽媒体として存在し続けると予想。SACD (Super Audio CD) と DVDも好調だろうと同氏。実際、多くのクラシック音楽はDVDでリリースされている。

　「さらに、多くのアーティストがすべてのベースをカバーしようとしている」とズーロ氏。「例えば、ボブ・ディランは自分の楽曲をiTunes Music Storeでダウンロード販売した最初のアーティストの一人だ。しかし、彼のアルバムの多くはSACDでリリースされている。いずれ、自分たちのコンピュータで最高の再生品質でエンコード、デコードができるような日が来ると、私は考えている」と同氏。

　世界が「音楽の真の意味でのデジタル化」に向かっている中、Muzeはオンライン音楽ストアでの買い物、そして所有するという体験をよりよいものにしようと取り組んでいる。たとえば、CDに対して長い間言われてきた欠点として、ビニール盤と比べてアートワークが貧弱なものになった、というものがある。CDのサイズが小さくなったせいで、すばらしいアルバムカバー、折り込み、その他のグラフィックは劣るものになってしまった、とズーロ氏。

　「今は、ダウンロード音楽にこうしたものが付属しないという理由はない」と同氏は説明する。「基本的に、これによってオンライン音楽の『重さ』が増えたり、コストが上がったりということはない。Muzeではグラフィック素材をまとめ、均一化してダウンロード音楽体験の一部とすることができるよう、手伝いをしている。そのような素材をアルバム、さらには楽曲レベルにでも入れていきたいと考えている。こうしたグラフィック素材を標準フォーマットに入れるのは、レコード会社とアーティストと協力すべき問題だ」と同氏は付け加えた。

　Muzeはオンラインショッピングを従来型店舗の「よい買い物体験」に近いものにするためのアイデアをマーチャンダイズするこことに取り組んでいる、とズーロ氏。同社ではこれに関し、Appleといっしょにやりたいと付け加えた。

　「われわれはAppleといっしょに仕事をできて非常にうれしく思っている。なぜなら、とてもとてもうまくいっているからだ」と同氏。「Macにおいてはコンピューティングとデジタル音楽体験とはわずかの違いしかない。たとえば客観的にその機能を見ていけば、Macのほうがシームレスだ」とズーロ氏は述べた。

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