> レビュー 2003年12月15日 04:37 PM 更新

「ああ今年もこんな時期に」と思っているあなたへ
速攻で作成できる年賀状指南(1/5)

何かと忙しい年の瀬は、年賀状の用意をつい後回しにしてしまいがちだ。「まだ何にも準備していない」という人でも、最新版の年賀状ソフトで手早く作れば、駆け込みセーフ。今頃こんな特集かい、と思っているあなた。年賀状、作りました? 今日15日から受け付け開始です。

 「今年こそは早めに済ませてしまおう」と心に誓ったはずだった。それなのに、気が付けば今年ももう残りわずか。PC誌の年賀状特集では「早めに準備を始めて心のこもった年賀状を」なんて書いている筆者も、実はまだ何にも準備していない。いや、怒涛の年末進行で、仕事がものすごく忙しいし……。

 などと言い訳していても始まらないので、筆者と同様に「年賀状?まだー」という方は、残り少ない日数で何とか間に合わせなくてはならない。平成16年用の年賀はがき総発行枚数(約44億5千万枚)のうち、約半数の20億枚はインクジェット用の無地はがきなのだそうだ。それだけ自宅のPCで年賀状を作る人が増えたということだろう。

 確かに、PCで年賀状を作るようになって、宛名書きや文面作りははるかに効率的になった。それでも、住所録の入力をしたり、文面のデザインに試行錯誤していると、それ相応の時間を取られる。

 そんな現代人の年賀状事情を反映してか、今年の年賀状ソフトは「早い、簡単、見映えがよい」を強調しているものが多い。それらを使っていったいどのくらい手抜きが……もとい、効率的に年賀状が作れるものだろうか。

 そこで今回は、主要各社の最新版年賀状ソフトの実力を探り、「手間をかけず、いかに手早く年賀状を作れるか」を見ていきたい。文面デザインの簡易作成コースや、住所録の入力のしやすさなどを見て、これから年賀状ソフトを買って駆け込みで作成する際の参考にしていただきたい。

今年の「筆まめ」は「和」テイスト

 いまや年賀状ソフトの代名詞として、長年トップシェアの地位をキープし続ける「筆まめ」。通常版は他社より1000円ほど高い価格設定だったり、今年は限定1万本のプレミアム版「筆まめ豪華版 匠」(9800円)まで発売するあたりからも、メーカーサイドの自信の程がうかがえる。


 今年の「筆まめVer.14」は、ずばり「和風」志向だ。趣のある墨絵や書画、家紋などのイラスト素材を豊富に収録して、落ち着きのある日本的な文面デザインを可能にしている。また、一般的なプリンタで金色の飾り文字を擬似表現する「金筆」機能を新たに搭載。「謹賀新年」などの賀詞にこの金筆を使うと、文面がゴージャスに仕上がりそうだ。


「金筆」機能で、金色の飾り文字を簡単に作成できる。特殊なインクを使わなくても、通常のプリンタで金色を表現できるのがポイント

 さっそくこの「筆まめVer.14」をインストールしてみたが、標準インストールは5分ほどで終わった。ただ、CD-ROM版の場合は3枚組で、デザインテンプレートや電子電話帳は別ディスクになっているので、必要に応じて入れ替えるのが面倒だ。DVD-ROMドライブをお持ちなら、DVD-ROM版を購入するのがオススメだ。

 さて、今回のテーマ「手早く作る」についてはどうか。まず文面作成では、新たに「年賀状特急デザイナー」が搭載されている。従来の簡易作成ウィザードをもう一段進めて、わずか3ステップで文面が作成できるという。すでに完成されたデザインテンプレートを読み込み、イラストや文章を差し替えるだけで完成するという具合だ。その種類も豊富で、来年の干支である「さる」(デジカメ用も含む)のテンプレートだけでも300点近く用意されているはうれしい。


「年賀状特急デザイナー」なら、デザイン済みのテンプレート選び→イラストの入れ替え→文章の書き換えの3ステップで完成。「さる年賀状」だけで219点、「さる年賀状(デジカメ用)」も含めると300点近いデザインが用意されている

 「年賀状特急デザイナー」は確かに手順が少なくてよいが、ちょっと気になったのは「イラスト入れ替え」のところ。サムネイル表示された素材イラストをクリックするだけで置き換わってしまい、アンドゥ機能がないので元に戻せなくなる。

 また、テンプレートによっては背景とイラストが一体化されているものもあり、そのことが画面上では把握できないため、イラストだけを差し替えるつもりが全体のデザインを崩してしまう場合もある。また、「年賀状特急デザイナー」上では、文章の再編集やフォントの変更はできるものの、文字色の変更ができない。


イラストの差し替えは簡単だが、サムネイルをクリックしただけで別のイラストに置き換わってしまうので、元のデザインに戻すにはテンプレートを選び直すしかない

 住所録の作成については基本的に旧バージョンから変わっておらず、カード形式で個人情報を1件ずつ入力していく方式だ。約44万件に及ぶ姓名辞書がアシストしてくれるおかげで、氏名の入力は比較的楽に行える。

 ただ、「筆まめ」ならではの住所録機能の充実ぶりが、手早く済ませたい場合には邪魔に思えることもある。例えば「自宅住所」と「会社住所」をタブで切り替えながら両方とも入力できるのは、住所録ソフトとしては理想的だ。

 しかし、年賀状でどちらの住所を印刷するかを選択し忘れると、宛名欄が空白のまま出力されてしまうこともある。実は、筆者もこれでよく印刷ミスをしてしまうので、初めて「筆まめ」を使う方は要注意だろう。


手早く済ませたい場合は、「カード」ではなく「一覧表」で住所録を入力した方が効率的かもしれない

 素材、付属ソフトなど、とにかくボリューム感たっぷりということもあって、手っ取り早く作るつもりがつい凝りたくなってしまいそうな「筆まめVer.14」。住所録にしても文面作成にしても、個人的には「もう少しシンプルでもいいかな」という印象だった。

[星紀明, ITmedia ]

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