IT仕事塾

ファイルメーカーで商用ウェブサイトを構築する
第1回 メルマガからウェブサイトへ ZDNet実践編(1/4)

3年前、ZDNet MacがまだMacWIREでもなく、メールマガジンのMacintosh WIREとウェブマガジンのMacWEEK Onlineにわかれていたころ、ファイルメーカーを使った、ウェブ制作システムの開発・運用がスタートしました。そこから、社内システムとの競合、リプレース、そして統合という道を歩んでいる最中ですが、どのような経緯で、ファイルメーカーが商用情報サイトの基幹を担うようになったかを解説します。

 みなさん、ファイルメーカーProを知ってますか?(ZDNetの読者なら知っているとは思いますが) 念のために説明しますと、Macで長い歴史を持ち、いまではWindowsでもMicrosoft Accessに次ぐナンバー2の、そしてサーバとしてはLinuxでも動くようになったデータベースソフトウェアです。Palmとのデータベース連動、そしてiモードのコンテンツ作成もできるようになりました。

 そのファイルメーカーを使った社内システムが、ここZDNet JAPANでも動いているのです。実をいうと、ZDNetのウェブコンテンツのかなりの部分はファイルメーカーを使って制作されているのです。この連載では、ZDNet JAPANのファイルメーカーベースのコンテンツ制作システムの開発と運用を例に、データベースソリューションの導入のノウハウをさぐっていきたいと思います。


現在、ZDNet Macで運用中のファイルメーカーベースの制作システム(インデックス作成用画面)


同じく、記事作成用の画面

 われわれのようなIT系の商用ウェブメディアがファイルメーカー中心でコンテンツを作っている例は、あるかもしれませんが、表には出てきていません。ひとつには、ファイルメーカーがコンシューマー向けの製品だという認識があるのかもしれません。実際、使いやすさにおいてはコンシューマー向けですが、ZDNetのような大掛かりなサイトでも十分に通用する、というか、これ以外ではシステムを構築するのがいかに困難を極めたかというのが、この連載を通じてわかっていただけると思います。

 では、第1回としては、ファイルメーカーを使った制作システムの歴史を振り返ってみましょう。それは、Macintosh WIRE、MacWIRE、ZDNet Macの歴史でもあります。

ライター濱田氏のMacintosh WIREデータベース化プロジェクトでスタート

 現在ZDNet Macとして知られているメディアは、もともとは、休刊になった紙の雑誌「MacUser日本版」に端を発しています。1993年に創刊したMacUser日本版は米国MacUser誌のMacworld誌への統合・合併に伴い、1998年に休刊しましたが、1997年から有料メールマガジン「Macintosh WIRE」を創刊。これと、その一部をウェブで掲載するサブセット版の「MacWEEK Online」という、オンラインメディアのみに専念することになりました。

 このMacintosh WIREの初期企画のなかで、ライターの濱田宏貴氏が執筆した、「Macintosh WIREのメールデータをファイルメーカーに取り込む」という記事が、この制作システムのもともとの発端なのです。この当時は、メールには記事のテキスト全文が入っていて、その一部だけがウェブに掲載されるというスタイルで、メールマガジンのMacintosh WIREを読むためには、メールソフトを使う必要がありました。しかし、メーラーを使って閲覧するには限界があり、検索機能も不足しています。そこで、濱田氏は、MacPerlを使ってメールボックスにあるMacintosh WIREのバックナンバーを切り出し、ファイルメーカーのデータベースにインポートするためのプログラムを作りました。この企画は好評を博しました。


Macintosh WIREのメールを書き出したテキストファイルから、ファイルメーカーに取り込むときに使う、各種ファイル、スクリプト

 この企画は、読者の反響も大きかったのですが、編集部の制作体制にアイデアを与えてくれました。これまでは、記事ひとつひとつはテキストエディタで執筆し、それを手作業でメールマガジンにまとめ、それをさらにMacWEEK Onlineのウェブマガジンにこれもまた手作業でHTML化していたのですが、それを1つの制作過程で実現できないかと考えたのです。

メールマガジンMacintosh WIREの発行で楽をするために

 つまり、最初から記事を1つのレコードとしてファイルメーカー上で作って、メールマガジンをつくり、送信設定をし、それをウェブにも書き出しができるといいわけです。

  1. 記事ひとつひとつを執筆・校正する
  2. 記事タイトル、記事本文をそれぞれまとめて、1つのファイルに書き出す
  3. メール送信サーバにFTP
  4. telnetを使って送信日時を設定

 という工程を、それぞれ手作業で行っていました。手作業でこれだけのことをやると、必ずミスが生じます。送信サーバを設定するためのPerlスクリプトは洗練されたものではなく、atコマンド (コマンドの起動時間を設定するためのUNIXコマンド) をほとんど素のままで使うというものでした。ユーザーインタフェースもなにもあったものではありません。だから、メールの送信作業は熟練した、ごく限られた人間しかできなかったのです。まあ、大量のメール送信をするわけなので、熟練してなければ困るのですが。

 メールマガジンの制作で楽をするためには、記事の執筆が分業でき、コマンドひとつで最終的なメールのテキストを作ることができ、送信設定までボタンをプッシュするだけで可能でなければなりません。そのための最も身近にあったツールが、ファイルメーカーだったわけです。幸い、濱田氏の記事によって、記事をデータベース化したらどんなに便利かというのはわかっていたので、ファイルメーカーの選択は非常に自然なものでした。

 当時、メールマガジンの制作に直接かかわっていた数人分のファイルメーカーProを購入後、メールマガジン制作システムはスタートしました。しかし、メディアは水もの。めまぐるしく変わっていきます。

[松尾公也, ITmedia ]

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